「ビジネスが多様で、飽きない」― オリックスのデジタル化最前線に立つ人材に聞くやりがいと可能性

多くの企業が、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材を獲得・育成し、業務改革にとどまらず、新たな価値の創出に結びつけようとしている。一方、せっかくの人材を得ても、従来の企業文化や積み上げられた技術資産などが妨げとなり、変革がなかなか進まない企業も多いのではないだろうか。DXを推進するためには、「デジタル人材が活躍できる文化」の醸成が求められている。

では、オリックスはデジタル人材から見てどのような企業なのだろう。デジタル化やDXの最前線に立つ2人に、オリックスというフィールドについて聞いた。

(右)白木 広亮
テクノロジー統括部 データアナリティクスチーム

データ分析会社、事業会社を経て、2017年スペシャリスト採用でオリックス中途入社。データサイエンティストとして、社内全体のデータ共通化、データ利活用、新規ビジネス創出などに取り組む。

(左)松田 健輔
法人営業本部 デジタル戦略推進室

2005年 新卒でオリックス入社。仙台支店と東京本社でさまざまな業種の営業を担当した後、ITによる全社的な業務改革に取り組む部門へ異動。現在は法人営業本部に戻り、業務のデジタル化、データの利活用を推進する基盤の整備に取り組む。

データサイエンスのスペシャリストと、営業の思考を理解する現場経験者

白木 松田さんとは最近よく一緒に仕事をしていますね。今日は改めてよろしくお願いします。

松田 こちらこそよろしくお願いします。せっかくの機会なので、まず白木さんのキャリアについて伺ってもいいですか。オリックスにはデータサイエンティストとしてスペシャリスト採用で入社されましたよね。どのような経歴を歩まれたのですか?

白木 大学時代から統計解析やデータマネジメントに取り組んでいて、初めて就職したのはデータ分析の専門会社でした。そこでチーフアナリストを務めた後、事業会社に転職し、データサイエンスグループ立ち上げなどに関わりました。

オリックスには、縁あってスペシャリストとして中途入社しました。オリックスは多様な事業を展開しているので、さまざまなデータを扱うことができてデータサイエンティストとして成長できそうだと感じたんです。現在はテクノロジー統括部でグループ全体視点でのデータ活用推進に取り組んでいます。

松田さんは新卒からオリックスですよね。最初からデジタルに関わる仕事を志していたのですか?

松田 学生時代はパソコンには慣れ親しんでいたものの、法学部出身でデジタルとはまったく離れた分野を学んでいました。「目に見えないものを売るビジネスがしたい」という思いがあり金融業界を志望していました。「プロダクト」ではない商品の方が、提案の際に人間力を試され、やりがいがあると考えていたんです。入社してからはずっと営業畑で、支店や東京本社で営業を担当してきました。

白木 そこから希望して異動されたんですよね。

松田 通信キャリアの営業を担当していたときに、ITの現場に深く関わることができました。また、多くの企業とお付き合いするなかで、素晴らしいITソリューションを提供する企業でも、自社へのIT導入には苦労している姿を見てきました。「これって、オリックスも同じ状況では?」と、自分たちがお客さまに提供しているデジタル活用による改革を、まず自社で進めることで、その知見をお客さまに提供できるのではないかと考えました。そこで、社内のインフラを整えるために、業務改革をデジタル目線で取り組む部署への異動を希望しました。

現在は、元いた法人営業本部に所属し、現場担当者としてデジタル化やDXを推進する役割を担っています。

「与信審査およびファイナンス能力」と「モノを取り扱う専門性」。デジタルで、事業展開を強化する

白木 世の中では、DXがバズワード化しています。「デジタルでビジネスを変革する」という文脈ですが、実は、私自身はDXを担っているという感覚はあまり持っていないんです。専門のデータ分析を生かしてオリックスのビジネスに貢献し、オリックスの事業を更に進化させたいという気持ちが強いですね。

松田 オリックスの事業展開の特徴は、「与信審査およびファイナンス能力」と「モノを取り扱う専門性」にありますが、データを活用してそれらをより強力にするということですね。

白木 現在は「与信審査およびファイナンス能力」に関するデータ分析を中心にさまざまなプロジェクトに取り組んでいますが、一例を挙げるとリスク管理に人工知能(AI)を導入することで成果が出始めています。リースの与信では、サービスのWeb化に伴い即時に審査結果を返すことが求められていますが、人でそれを担うのはほぼ不可能です。過去の与信パターンをAIに学習させ、即時に審査結果を返す仕組みを導入することにより、サービスの高度化を進める上で必要不可欠な土台を提供することができました。また、ある投資スキームでは回収のリスク分析にAIを活用することで、数百億円の新規投資の創出に寄与することもできました。このような取り組みを、他の事業にも展開していきたいですね。

「モノを取り扱う専門性」の方は、これからの取り組みになりますが、例えば人の勘に頼っている在庫管理にデータ分析を生かすことで、需要と供給を精度高く予測できるようにするなどを進められないか考えています。

松田 なるほど。私の場合、「個人が何も意識せずに、やりたいことがかなう状態」をかなえることが、まず取り組むところだと捉えています。まだDXとまでは言えませんが、生産性・正確性を高める業務のデジタル化を徐々に進めています。

まずは、営業取引の社内申請をデジタル化することから進め、利用範囲を広げているところです。昨年度から本部内全国1,200人を対象に手数料取引の申請を電子化し、現時点で実績は2,300件ほど、過去データの投入含めると5,600件ほどになりました。これらについては、顧客や商材、関わった投資家別などの切り口で集計・分析が可能ですし、本部内の誰でもアクセスできることからナレッジシェアも容易になりました。まだ成功というには遠いところですが、これまで紙やPDF、キャビネット内に閉じていた情報を可視化し、分析できる環境が整いつつあります。これを進めることによって、変革やイノベーションを実行しやすい、データ活用の基盤ができると考えています。スタートしたことで、少しずつですが今後のやり方も見えてきました。

いまは与信取引申請の電子化を進めているところですが、申請、つまりクロージングした案件の情報だけでなく、その前で毎年数万件発生する営業プロセスやそのパイプライン管理、最終的な財務会計情報と組み合わせた形での将来的なデータ利活用まで見据えつつ、現場で具体的な成功例を増やしていきたいと考えています。

多様な事業展開と収益化へのこだわりが、オリックスの魅力

松田 私は営業経験者ですし「収益化へのこだわり」は常に持っていたいと思っています。システム導入とそれに伴うプロセス改革はもちろん、長年営業を経験してきたからこそわかる“新規事業の種”を見つけるのも私の仕事です。現場の営業が“稼げるデジタル環境”を整えていきたいと考えています。

白木 グループ内のデジタルに対する意識は、大きく変わってきていると感じます。私が入社したころには、みなさんデータ分析にもシステムにもあまり興味を持っていない様子でした(笑)。最近は、「ダッシュボードを作りたいから相談に乗ってほしい」、「分析のPoCを支援してほしい」など、現場からの依頼も多々発生しています。

松田 オリックスは法人金融だけでなく、再生可能エネルギーの発電や不動産開発などビジネスが多様で、各部門でデータを蓄積しています。現場でデジタル化やデータ分析の有用性が実感できれば、活用しようとする意欲も高まり、データを共通化していく意識がますます高まると思います。

白木 まさに「ビジネスが多様」という点が、私にとってはオリックスで働く大きな魅力です。データサイエンティストは、いろいろなビジネスに触れて、固有のデータを分析することが成長につながります。実は、データが大量にあっても、ビジネスがシンプル過ぎると飽きるんです(笑)。

オリックスには「利益を上げるためにどうするか」を突き詰める文化があると、私も思います。お客さまにどのように貢献するか、自分たちの無駄をどうやって無くすかを常に考えています。そして新たな可能性を感じたら、一歩踏み出してくれるところが面白い。ガバナンスがしっかりしていながら、チャレンジ精神を併せ持っていると感じます。それに、分析で成果を出すことができれば、そのビジネスがより良くなっていくところを間近で見ることができるので、やりがいを感じますね。

多様な専門性とバックグラウンドを持つ人材が連携するオリックス

松田 一般的に、ソリューションと現場のニーズとは、ズレていることが多々あります。そういう点で、私のような営業経験者が現場で導入を進め、DXの専門家との協業を通してより整合性の高い着地を目指すのは良い形だと感じています。

デジタル化が進み、皆がデジタルに慣れ親しみDXへと進んで行くにあたって、オリックスではさらに人材が必要になりますね。いろんな専門知見が求められますが、営業現場からみればプロジェクト推進経験のある方や、対話能力の高い人の需要が大きいと思っています。

白木 私たちデータアナリティクスチームも人材を求めています。データ分析ニーズは増えており、実際に多くの成果が出ています。オリックスが蓄積するデータを分析することで、さらに新しいビジネスモデルも作っていけるはずです。

私のように、データサイエンスをはじめ専門性を高めている人材と、松田さんのように現場をよく知る人材。オリックスはさまざまな人がフラットに連携し合うグループなので、社内外の仲間をもっと増やしていきたいですね。

松田 本当ですね。新しい価値を生むこと、収益化への道筋に挑戦したい人と、ぜひ一緒に取り組みたいです!

持続的な成長を支える人材戦略

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