進化するごみ処理、バイオマス発電が切り拓く地球環境の未来

[Publisher] ORIX Group

 

地球環境にまつわるごみ問題。日本全国にあるごみ処理施設はごみを燃焼させる焼却処理が主流ですが、世界的に高まるサステナビリティへの関心から、可燃ごみをエネルギーとして再利用するという、新しい潮流が生まれています。バイオマスによる再生可能エネルギー発電に取り組むのは、オリックス資源循環。埼玉県大里郡寄居町にあるバイオガスプラント、そこから見えてきたごみ処理の未来とは?

ごみが持つ資源の価値を引き出す「乾式メタン発酵」とは?

オリックス資源循環は、オリックスグループの廃棄物処理事業者で、埼玉県大里郡寄居町に整備された工業団地「彩の国資源循環工場」で、2006年から民間の処理施設(焼却・溶融)としては日本最大規模となる大規模リサイクル施設を運営しています。この施設では工場から出る産業廃棄物、家庭から出る一般廃棄物を処理し、アスファルト舗装の材料(スラグ)や融雪剤(工業塩)などに再資源化しています。

その工業団地において、2021年6月には、バイオマスによる再生可能エネルギー発電施設「寄居バイオガスプラント」を竣工しました。寄居バイオガスプラントは、一般廃棄物を活用した国内最大規模となる乾式のメタン発酵バイオガス発電施設です。これは、食品廃棄物や紙ごみなどの一般廃棄物を菌の働きにより発酵処理し、生成されるバイオガスを発電燃料として活用する、CO2の排出削減に寄与する次世代型の発電施設となっています。メタン発酵には「湿式」と「乾式」による二つの技術があります。湿式メタン発酵は、排水処理の汚泥、家畜ふん尿などの液体~半液体状のバイオマスの処理が可能な技術。乾式メタン発酵は、「湿式」では処理が難しいとされる、水分含有率の低い有機物の発酵処理が可能なため、リサイクルの対象となる幅が広がるのです。食品廃棄物にプラスチック類などの発酵しない廃棄物が混じっていても発酵処理できるため、分別にかかる手間やコストを省くことができます。

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寄居バイオガスプラント

メタン発酵の「湿式」と「乾式」にはどんな違いがあるのでしょうか。湿式メタン発酵技術は、半液体状の家畜ふん尿をメタン発酵槽内でメタンガスを発生させ、焼却あるいはタービンを回すことによってエネルギーを得る方法。発生したメタンガスは燃焼させることによって電力利用や熱利用が可能なので、CO2の排出削減に寄与します。

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「ピット」と呼ばれる集められたごみを貯めておく場所

寄居バイオガスプラントで採用する乾式メタン発酵は、水分含有率の低い有機物の発酵処理が可能でリサイクル対象の幅が広いという特長のほか、湿式メタン発酵においてはメタン発酵に伴い発生する消化液の発生がほとんどないことが挙げられます。このことは、処理水が放流できないためにメタン発酵によるメタンガス生成が困難であった地域においても、周辺水域の水質を保全しつつバイオマスを効率的に活用することを可能とします。

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寄居バイオガスプラントの発電フロー

日本国内のゴミ処理施設は約2,000カ所あるとされていますが、メタン発酵施設はどれくらいあるのでしょうか。オリックス資源循環 バイオガス事業部長の亀岡 真人は言います。

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オリックス資源循環 バイオガス事業部長 亀岡 真人

「日本国内の家庭ごみの活用を目的としたメタン発酵施設は約30カ所です。稼働している乾式は民間ではたった2例だけなんですよ。もっと言えば、関東圏における乾式メタン発酵バイオガス発電施設の竣工は、寄居バイオガスプラントが初めてとなります。このプラントの年間発電計画は約9,800,000kWh。規模で例えると、一般家庭約3,140世帯分の年間消費電力に相当する量になります。メタン発酵によるバイオガス事業はごみ処理を工夫することによって、ごみそのものが持っている資源の価値を引き出す役割があると個人的には捉えています」

資源循環型社会の形成にいち早く取り組んできた

1964年、オリックスはリース事業からスタートしました。リースが終了した後に必要となるのは廃棄という処理工程です。自社の所有物件を適正に処理するにあたり、廃棄物は協力会社に処理してもらっていたものの、自社で賄うことも必要だと考えるように。2006年当時のことを、オリックス資源循環 代表取締役社長の花井 薫一は振り返ります。

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オリックス資源循環 代表取締役社長 花井 薫一

「当時、世の中ではダイオキシン問題がクローズアップされていました。また近年では地球温暖化問題の話題も大きくなり始め、われわれとしても、何か世の中のためになる新しい処理方式ができないかと埼玉県と相談していくなかで、県の空き用地を活用して乾式メタン発酵方式による、バイオマス発電事業をカタチにすることができたという経緯があります」

2011年の東日本大震災が起きる以前、ごみは原則として焼却、という考え方でした。時代も変わり、再生可能エネルギーという考え方が付加されることによって、焼却以外の方式も必要とされるようになったわけですが、寄居バイオガスプラントの実現に行き着くまでにはさまざまなハードルがありました。

「乾式メタン発酵による処理という方式の国内事例は、民間ではどこにもありませんでした。ただ、われわれとしては、他社がやっていないこと、かつ世の中に役立つことをカタチにしよう、ということをコンセプトに進めていました。法規制や廃水処理の問題のほか、近隣住民の皆さんのご理解を得ることにとても苦労はしましたが、幸いにもこの十数年の間に、この場所での実績と地域との円滑なコミュニケーションを培ってきたこともあって、なんとか進めることができました」(花井)

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バイオガス発電機

バイオマスによる再生可能エネルギー発電は、地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの排出を抑制する効果があります。持続可能な社会を実現しようとする世の中の流れから、いわゆる脱炭素、カーボンニュートラルに取り組む企業は増えていますが、オリックス資源循環はなぜ取り組もうとするのでしょうか?

「バイオマス発電は脱炭素社会だけでなく、ゴミを資源として活用する資源循環社会にも貢献する取り組みです。私自身に置き換えると、ごみ処理は人間が生活する上で必要不可欠なものですから、そこに自分が役に立てるという意味でもとてもうれしいことです。オリックスはさまざまな事業を展開する会社ですが、それぞれの事業を通して、社会に貢献しようという想いを持って取り組んでいる人たちがいます。その集合体がオリックスなんだろうなと思います」(亀岡)

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ごみ処理施設に新たな選択肢を

寄居バイオガスプラントは2022年4月に運転開始を迎える予定です。本稼働を迎えるのはこれからですが、現時点でどんなビジョンを見据えているのでしょうか。

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メタン発酵槽

「廃棄物としてどんな道筋をたどっていくのか、ものをつくる生産者側がこういったことを考えていただけると、ごみの分別も進んでいくと思います。将来的にどれだけリサイクル、リユースが進んだとしても、やはり焼却せざるを得ないシーンは無くならないと思うんです。廃棄物をバイオガスとしてエネルギー化していくということは、使えるものはとことん使うといった考え方でもあります。サステナビリティとも深く結びつきますので、できるところまで追求していきたいですね」(花井)

「焼却方式やメタン発酵方式など、これからはごみの性質に応じて適した処理施設の立地と使い分けが必要となってきます。われわれが採用している乾式メタン発酵バイオガス発電施設を、ごみ処理の選択肢のひとつにしていきたいですね」(亀岡)

地方自治体の廃棄物について、基本的に可燃ごみは各ごみ処理施設で焼却処理されています。その一方、ごみ処理施設の老朽化が全国的に進んでおり、立地面や財政面などから建て替え困難な事案が増え続けている状況にあります。

オリックス資源循環のようにごみ発電を実施する施設は全国的に増えているものの、日本国内における乾式メタン発酵の事例はあまりなく、これまでは湿式方式しかほぼ選択肢がありませんでした。湿式では焼却発電に不向きな厨芥類(台所から出る食物を調理した後のくず)だけを分別・回収することが困難などの理由により導入が進みませんでしたが、乾式であればこれらの現状課題を解決でき、またオリックス資源循環としては既存の大規模リサイクル施設をバックアップとして機能させられます。

「今後は厨芥類を含めて行き場に迷うかもしれない可燃ごみの受け入れの増加を目指しています。私は乾式メタン発酵を通じて、業界としてより良いごみ処理事業をつくっていけるという強い想いを持っています。老朽化が進んだごみ処理施設を乾式メタン発酵に置き換えることで、ごみ処理のやり方全体が良くなっていく。そこに貢献できることは、大きなやりがいです」(亀岡)

リース事業者として、ファイナンスだけではなく物件を適切に処理するという責務をはたすために、自ら物件を処理するという意思からオリックス資源循環が設立されました。不用物の処理から、ごみ処理事業への進出に深く関わっていた、ごみを資源として活用しようとする「もったいない」という気持ち。そこから生まれた乾式メタン発酵バイオガス発電事業から、ごみ処理の未来が大きく切り拓かれていこうとしています。

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メタン発酵槽(建屋)

※所属・役職はいずれも取材時点のもの
※演出の都合上、マスクを外しています

事業活動を通じた社会課題への貢献

環境エネルギー事業・サービス

ストック型・循環型社会の形成

脱炭素社会への移行

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