サーキュラーエコノミーとは?代表的なサービスから市場規模までまとめて解説

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[監修] 一般社団法人循環型経済研究所 石丸亜矢子
本記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています。

近年、気候変動を始め、人間の行動が環境へ及ぼす影響の深刻化が世界的な課題となっています。廃棄物量の増加や、資源・エネルギー・食料需要増などの懸念も深刻化しており、グローバル規模での経済活動の見直しが求められています。

従来の大量生産・大量消費・大量廃棄のモデルから、モノを長く使い、廃棄を削減していく考え方として、「サーキュラーエコノミー」が注目されています。単なる環境保護活動ではなく、環境への対応と経済的なメリットを両立すると言われるこの概念について、解説します。

サーキュラーエコノミーとは

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従来の「線形経済」から「循環型経済」へ

サーキュラーエコノミーを日本語に訳すると、「循環経済」となります。「大量生産・大量消費・大量廃棄」を基本とする従来型の経済を「線形経済」とすると、サーキュラーエコノミーは「3R(削減・Reduce、再利用・Reuse、再生・Recycle)」を基本としながら、技術革新などを通じて資源循環を促すことで新たな価値を生むことを目指す経済活動やその体系のことを指します。日本におけるサーキュラーエコノミーの定義は、経済産業省および環境省がまとめています。(「循環経済ビジョン2020」経済産業省)

サーキュラーエコノミーの3原則

サーキュラーエコノミーを推進する団体として知られ、イギリスに拠点を置くエレン・マッカーサー財団は「サーキュラーエコノミーの3原則」として以下の内容を挙げています。

  1. 廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う
  2. 製品と原料を使い続ける
  3. 自然システムを再生する

このことを図に示したものが「バタフライ・ダイアグラム」(出典:エレン・マッカーサー財団)と呼ばれています。

具体的には、まず製品の生産においては、できる限り再生利用可能な資源を用い、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を前提とした設計を行います。一度製品が完成した後も、製品寿命を延ばすメンテナンスを行うとともに、リースやシェアリング、IoTやAIなどの技術活用によるサービス化、カスケード利用(資源の劣化に応じた多段階の活用)などを通じて資源利用効率を高め、製品の長期利用を実現します。また、製品の生産者は自主回収などを通じてリサイクルを推進し、廃棄物の削減を図るとともに、リサイクル資源を有効活用し、新たな資源投入を抑えた製品生産を行います。このように、製品の生産から利用、メンテナンス、リユース、リサイクルに至るまでの全体サイクルが循環的に行われるように当初より設計し、地球規模で天然資源への負荷を軽減していくのが、サーキュラーエコノミーの考え方です。

サーキュラーエコノミーが注目される理由

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サーキュラーエコノミーは、持続可能な経済活動を目的とした概念ですが、さまざまな観点から注目を集めています。

地球環境保護への取り組み

近年、世界各地の異常気象や海面水位上昇など、地球温暖化に伴う災害・環境問題が深刻化しており、これまで以上に大きな問題として取り上げられるようになりました。サーキュラーエコノミーの廃棄物を出さない設計や仕組み作りは、温室効果ガス排出の減少やゴミ問題に大きな改善をもたらすことが期待されます。

将来予測される資源不足への対応

レアメタルを筆頭とする希少資源は、将来、枯渇状態に近づくにつれ市場価値が上昇することが予測されています。また地政学的な理由などから、特定の地域においてその供給が遮断されてしまうリスクなどもはらんでいます。そんな予測やリスクに対応するためには、希少資源の循環利用や代替が求められます。

欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)では、2008年のリーマンショックをひとつのきっかけとして、そうした資源が不足する将来に対応した経済復興基本方針「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」が採択されました。日本もほぼすべての鉱物資源を輸入に頼っていることから、この問題は避けて通ることができません。

利益を生み出す機会と事業継続上のリスク要因

経済と環境の利益の一致は、非常に困難で不可能に近いと思われていました。しかし、2010年代以降研究が進み、サーキュラーエコノミーを導入することで、「持続可能性」を維持しつつ大きな経済効果を得られることを民間の研究機関が指摘し、話題となりました。(※注1)

現在、欧州をはじめとするさまざまな国において、サーキュラーエコノミーへの転換が政策的かつ急速に推進されており、循環型の経済活動が適切に評価され、付加価値を生む市場が生まれつつあります。さらには、地球環境の持続可能性を損なう事業活動そのものが事業継続上の重大なリスク要因とも認識されつつあることから、全世界規模でサーキュラーエコノミーに対する企業の注目度が高まっています。

環境へ配慮した取り組みを推進することで、コストの改善やモノやサービスにおけるイノベーションが加速し、企業として新たなエコシステムの構築につなげられる可能性もあります。環境と経済の両立は、これからのビジネスにおける必須の考え方と言えるでしょう。

(※注1)ピーター・レイシー, ヤコブ・ルトクヴィスト (2016)『サーキュラー・エコノミー デジタル時代の成長戦略』, アクセンチュア・ストラテジー訳, 牧岡宏・石川雅崇監訳, 日本経済出版社

サーキュラーエコノミーの市場規模と世界の動き

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2030年までに4.5兆ドルに成長

総合コンサルティング企業アクセンチュアの調査(2015年)によると、サーキュラーエコノミーは2030 年までに4.5兆ドルもの利益を生み出すと予測されています。そこで“循環”されるものには、ゴミなどの廃棄物だけでなく、空き部屋、使われていない自動車など、誰かの所有物でありながら長い時間使われていない、身近な「遊休資産」なども含まれます。そのため、サーキュラーエコノミーは企業のみならず一市民としての私たちの生活にも大きく関わってくることが予測されています。

シェアリングエコノミーとの関連性

「遊休資産」と言うと、空き部屋を貸し出す民泊や、自動車を貸し出すカーシェア、乗用車の相乗りの需要をマッチングするライドシェアなどのシェアサービスが想像されます。いわゆる「シェアリングエコノミー」と呼ばれる経済活動に属するサービスですが、これもサーキュラーエコノミーの一部と捉えることができます。

同様に、日本でも一般利用されているフリマアプリなども、製品の廃棄を防ぎ、さらには売買で経済効果を生むことから、サーキュラーエコノミーの一例と言うことができます。

世界/日本の取り組み状況

先述の通りEUは早期から経済成長戦略として「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を議論してきたことから、サーキュラーエコノミーについて世界をリードする立場にあると言えます。またEUは「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」に基づく法的規制により、適合しない企業を将来的に排除する可能性があります。そのため、世界の企業は早期の対応が求められることになるでしょう。

日本は1991年に施行された「再生資源利用促進法」や、1999年に経済産業省が打ち出した「循環経済ビジョン」などにより、すでに3Rを筆頭としたサーキュラーエコノミーへの準備を行ってきたという実績があります。さらに2020年5月には経済産業省から『循環経済ビジョン2020』が発表されるなど、最新の世界的潮流を押さえた動きも進んでいます。これまで進めてきた3Rを政府と企業が一体となって、サーキュラーエコノミーに対応するかたちでアップデートするフェーズにあると言えます。

サーキュラーエコノミーの今後

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サーキュラーエコノミー の普及とサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)への期待

サーキュラーエコノミーを実現することで、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄によって生まれていた数多くの環境問題の解決が期待されています。さらにサーキュラーエコノミーは環境問題解決を通して持続可能な成長を実現するばかりか、新たな価値創造や雇用創出によって、これまで以上の経済効果を生むことが見込まれます。

サーキュラーエコノミーへの移行は、企業の事業活動の持続可能性を高めるとともに、中長期的な競争力の源泉となりうるものです。特に近年では、環境問題の深刻化や感染症、災害の発生など、企業を取り巻く環境の不確実性の高まりとともに、社会のサステナビリティに対する要請が高まっています。「企業のサステナビリティ」(企業の稼ぐ力の持続性)と「社会のサステナビリティ」(将来的な社会の姿や持続可能性)を同期させる、「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」が必要とされています。

新型コロナウイルスとどのように付き合っていくか

新欧州委員会は2020年3月、「サーキュラー・エコノミー・アクションプラン」を公表し、サーキュラーエコノミーへの移行を、気候変動対策としてのみならず、新たな産業政策であり成長戦略としても位置付けると明示しました。また、EU加盟国のうち15カ国の環境大臣は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると同時に、イノベーション促進と雇用創出を行う「欧州グリーンディール」をコロナ禍以降の経済復興の中心施策とすべきだという考えを、オープンレターとして2020年に公開しました。EUにおいてサーキュラーエコノミーは「欧州グリーンディール」の一部とされており、サーキュラーエコノミーによる新たな価値創造や雇用創出はコロナ禍以降の経済回復策としての効果が期待されています。

また、コロナ禍においては輸出入が不安定になったことから、資源の輸入依存の危険性があらためて浮き彫りとなりました。サーキュラーエコノミーによって、国家や都市としての強度を高めることが今後さらに求められていくことでしょう。日本にとっても、気候変動対策と国家成長戦略、そして経済的な安全保障の各側面からサーキュラーエコノミーの実現が重要な意味を持つと考えられます。

photo:Getty Images

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