人手不足を「働きたくなる物流施設」で解決する~働きながら健康を促進するというオリックスの提案~

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[Publisher] ORIX Group

物流への需要が、急速な拡大を見せている。ネットショッピングが生活に欠かせないものとなり、「欲しいものを欲しいときに買う」スタイルの浸透によって、物流も高頻度に利用されるようになった。また単身世帯や共働き世帯の増加に伴って時間指定便などのニーズも増し、物流企業への負荷は重くなるばかりだ。

一方、物流を支える人手の不足は深刻だという。現状を打破するために、物流業界ではどのような取り組みが始まっているのだろうか。

業界の動向に詳しい、専門誌『月刊マテリアルフロー』編集長の菊田 一郎氏と、オリックス(株)物流事業部長 清田 衛との対談から、課題解決の「今」を探る。対談は、オリックスがデベロッパーとして手掛けた物流施設「松伏ロジスティクスセンター」(埼玉県北葛飾郡松伏町)にて行われた。

シニア世代や女性など、年齢・性別を問わず居心地良く働ける環境を

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(左):オリックス(株)不動産事業本部 物流事業部長 清田 衛(右):『月刊マテリアルフロー』編集長 菊田 一郎氏

清田:本日は、松伏までお越しいただき、ありがとうございます。菊田さんはさまざまな物流センターを取材されていますが、ここ松伏ロジスティクスセンターはいかがでしたか。

菊田:明るく、開放的な施設だなと感じました。センターで働く人たちがくつろげる空間として、このように眺めが良く、広くて居心地の良いカフェテリアがありますし、フィットネスルームがあることも魅力的ですね。また、ウエアラブル端末を無償で貸し出し、歩数の記録やアプリを介した健康相談など、従業員の方が健康管理できるサービスも提供されています。「ここで働きたくなる仕掛け」が多数あることに興味を持ちました。

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清田:テナント企業の声を聞くと、人手不足は物流業界が抱える大きな問題の一つであることを痛感します。私たちはデベロッパーとしてその解決の一助となるべく、シニア世代や女性の方をはじめ、多くの方が働きたくなるような施設にしたいと考えました。「働きながら健康を促進する」を開発コンセプトにしています。

現場の負荷を、ロボットによる効率化でサポート

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菊田:物流の現場は、“キツい仕事”というイメージを持たれがちです。重いものを運んだり、深夜作業があったりという印象から、働き手が思うように集まらないという課題を各社が抱えています。

そうした背景のなかで、御社の手掛けるロボットのレンタルサービスにも、可能性を感じました。ロボットの導入は、現場の負荷を下げることができますから。

自律移動ロボットは単体でも400~600万円と高額で、自動搬送ロボットのシステムとなればさらに巨額な投資が必要となります。高額な初期投資を行う前にレンタルで試すことができ成果とコストを見比べながらロボットの導入を進められそうです。

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ZMP社製の台車型物流支援ロボット「CarriRo® (キャリロ)AD(自律移動モデル)」

清田:省力化は、人手不足の解消のために避けて通れません。松伏ロジスティクスセンターを含めた新規開発物件で展開しているロボットの6カ月無償レンタルサービスは、グループのオリックス・レンテックと協業し、「RoboRen」というロボットレンタルサービスの一部として展開しています。導入後も、ロボットの不具合対応や、操作方法のレクチャーまで、高度な知識のあるエンジニアが対応します。ロボットの初期設定は無償で対応しますし、お客さまのご希望があればWMS(倉庫管理システム)とのデータ連携を含めてフルサービスをご提供することもできます。まずは無償レンタルでお試しいただいて、気に入っていただければ、リース契約への移行もできるようにしています。いまは建物ができた段階で、テナントに入っていただけそうなお客さまへ営業中なのですが、興味を持ってくださる方も多いです。

都心に出やすく、人を集めやすい立地を見極める

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菊田:ところで、この機会に伺いたいことがあります。オリックスさんと物流というイメージが、当初はすぐに結びつかなかったのですが、実際にはもう10年以上、物流施設の投資に取り組まれています。どんなきっかけでこの業界に進出されたのですか。

清田:2003年からスタートし、これまで42の施設に携わってきました。あまり知られていないかもしれませんが、オリックスは、デベロッパーとして経験とノウハウがあり、ホテル、マンション、オフィスビルの開発をはじめ、ロードサイドに商業施設を建設してドラッグストアなどに賃貸するといった事業も手掛けてきました。オリックスグループには、全国に広がる強固な営業ネットワークと顧客基盤があり、土地の情報が集まってきます。良い物流施設には、交通の利便性と、広い土地が必要です。そうした情報を得られるのはグループの強みですし、物流業界の課題解決に役立つ私たちならではの提案をさせていただきたいと考えて、施設開発にチャレンジしています。

菊田:今回、最新施設の立地として松伏を選んだ理由もそのあたりにあるのでしょうか。

清田:松伏は、一般道でも高速道路でも都心にアクセスできる好立地です。都心に近いので、EC関連業者の拠点としても活用しやすいと判断しました。またテナントエリア内にオフィススペースも用意したことで、例えばコールセンター機能を施設内に集約するといった使い方もできるようにしています。

菊田:働きたい人を集めやすいという意味で、住宅地が近いのも利点になりそうですね。

清田:働き手を募集するのはテナント企業側なので、私たちが立ち入れるところではありませんが、働く人に優しい環境を整えることで、「松伏ロジスティクスセンターで働いてみたい」と思ってもらえるとうれしいですね。駐車場スペースも、近隣の方が車通勤されることを見越して約280台分を確保しています。

オリックスグループの総合力で、ほかにはできない提案を

菊田:先ほど「オリックスならではの提案」というお話がありましたが、ここ松伏でオリックスさんだからこそ実現できたことはどのようなことでしょう。

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清田:事業を幅広く展開するオリックスグループの総合力を生かしていることだと思います。例えば、菊田さんに気に入っていただいたフィットネスルームに入れたフィットネスマシンは、マンションの共用施設を手掛けた知見を参考にしています。また、ロボットはもちろん、テナントがセンター内で使用するあらゆる機器から備品まで、リースやレンタルの提案ができます。もちろん配送車もリースやレンタカーでご提供可能です。テナント企業が最小の初期投資で、新たな拠点で業務を立ち上げられるよう、さまざまな側面からサポートすることができます。

菊田:私は、日本の物流業界が直面する課題として、大きくは「物流需要の拡大に伴う供給力不足」、「人口動態の変化」、「働き方改革の進展」という三点があると考えています。今回、松伏ロジスティクスセンターを見学させていただいて、これらの課題に応えられる可能性があると感じることができました。

清田:ありがとうございます。菊田さんから、何か提案いただけることはありませんか。

菊田:私は、物流業界における複雑で高度な課題は、もはや一企業が単独で取り組むには限界があるのではないかと考えています。物流施設を自社で構えるのではなく、外部施設に入居してキャッシュフローを確保することもその一つではあるのですが、それだけではありません。厚生労働省・雇用政策研究会の資料によると、日本の就業者数は、2017年に6530万人でした。それが、2025年には448万人減り*、6082万人になると予測されています。ロボットによる効率化以上に、働き手の不足が深刻化することを危惧しています。そうなる前に、物流業界でも、働き手確保を含めた物流の共同化など、企業の枠を超えた協働を進めておかなければなりません。松伏ロジスティクスセンターには、最大八つのテナントが入居できると伺いました。テナント間で協働できるような仕組みを作ることができれば、物流における企業間協働の新たなモデルを作ることができます。テナント間で協働を加速できるような仕掛けについて、ぜひ検討いただきたいですね。

*経済成長と労働参加が進まないケースとして予測される値

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清田:ありがとうございます。私たちは、常に新たな価値の創出に貢献できる事業を進めていきたいと考えています。協働化というテーマは、現状ではかなり高いハードルになりそうですが、私たちが支援できるやり方があるかもしれません。ぜひ参考にさせてください。

菊田:オリックスさんは、物流だけをやっていないことも強みになるはずです。幅広い事業を手掛けていることで得られる知見を生かして、物流業界に新しい風を吹き込んでくれることを期待しています。

清田:ご期待に応えられるよう、これからもグループの力を生かして、日本の物流の課題解決をサポートするために、チャレンジしていきます。本日は、ありがとうございました。

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