オリックス不動産のDXを加速。「経営とシステムの一体化」を実現する東京コンサルティングのオーダーメイド型支援とは

[取材先]
東京コンサルティング株式会社 執行役員 伊藤 宜和氏
オリックス不動産株式会社 IT企画部 担当理事 南部 幸久
本記事は2026年4月時点の情報を基に作成しています。

深刻化する人材不足を背景に、業界や企業規模を問わずDX推進は急務となっています。DXの実現には、経営とシステムを一体で捉え、時には業務プロセスの再構築にまで踏み込む必要がありますが、これらを既存の経営体制で変革することは容易ではありません。

こうした課題に対し、経営の視点に立った戦略策定から現場のIT実装まで伴走する稀有な存在が、東京コンサルティング株式会社です。

同社の伴走により、オリックスグループはDXを加速させています。かつてオリックス不動産は、多角的な事業・業務ごとにシステムが点在し、不動産事業全体でのシナジーを生み出しにくいという課題を抱えていました。それをどのように解決へ導いたのか。東京コンサルティング 執行役員 伊藤 宜和氏と、オリックス不動産 IT企画部 担当理事 南部 幸久に、その舞台裏を伺いました。

IT部門も投資基準もない。100以上のシステムが混在していた不動産事業

──まず、東京コンサルティングがどのような会社なのか教えてください。

伊藤氏:私たちは、「経営とシステムの一体化」を掲げ、顧客企業が抱える課題を根幹から解決することに特化したコンサルティング会社です。クライアントの状況を詳細にヒアリング・調査し、それぞれの企業の課題に合わせた経営・事業戦略の策定から、その実現に欠かせないガバナンス構築や組織強化を含むシステム戦略の策定・実装まで、オーダーメイド型の一貫した支援を行っています。

東京コンサルティングのサービス全体像。ベンチマーキングなどによる客観的診断から、戦略策定・実行支援など、課題に応じ、効果があがるまで一貫してコンサルティングサポートを行い、顧客企業の本質的改革を実現する。

──オリックス不動産との協業は、どのような経緯ではじまったのでしょうか。

伊藤氏:もともと2010年代から、オリックス生命をはじめとするグループ各社の業務改革やシステム支援に携わっていました。そうした実績を経て、2020年頃にオリックス不動産をご紹介いただいたのがきっかけです。

東京コンサルティング株式会社 執行役員 伊藤 宜和氏

南部(オリックス不動産):オリックスグループの不動産事業は、オフィスビル、商業施設、物流施設、住宅などの開発から、旅館・ホテル、水族館の運営、さらにビルやマンションの工事・管理に至るまで、不動産に関する約20もの幅広い事業を展開しています。

2020年当時、オリックスグループは大京を完全子会社化したことで事業構造が大きく変化するタイミングにありました。それと同時に、100以上ものシステムが混在する組織となりましたが、不動産事業全体としてのIT企画やシステム投資を見通すことができない状況にありました。その現状を変えるべく、私は当時、オリックス不動産の経営企画部長という立場でしたが、急遽システムの責任者も兼務することになりました。

私はシステムの専門家ではありませんし、社内に知見を持つ壁打ち相手さえいない。そうした状況の中、経営視点を持って伴走してくださる東京コンサルティングは、まさに求めていたパートナーでした。

オリックス不動産株式会社 IT企画部 担当理事 南部 幸久

事業構造や現状を深く理解し、目指すべき方向性を共に描く

──オリックス不動産のこうした状況を伊藤さんはどう捉えられましたか。

伊藤氏:IT活用を経営として統制する仕組みが整っていないと感じました。各事業部門で異なるシステムの投資判断基準が運用されていたため、各事業部門の目線では最適と判断された投資であっても、経営層が不動産事業全体を俯瞰して、各システム投資案件の必要性や優先度を判断することが困難な状態でした。

──その解決のため、具体的に何から着手されたのでしょうか。

伊藤氏:約半年をかけて徹底的な現状調査を行い、経営層自身がシステム投資の必要性・有効性・優先度を適切に判断するために必要な情報の定義や、会議体の設置・運営など、共通の「システム投資ガバナンス」を構築しました。

特に留意したのは「最大公約数」を見つけることです。統制を強めれば現場の業務推進のスピードを損ない、逆に基準がなければ経営としての投資判断が難しくなります。このバランスを見極め、実効性のある体制を整備しました。

南部(オリックス不動産):非常に助かったのは、東京コンサルティングが経営と現場をつなぐ「翻訳者」になってくれたことでした。現場はどうしてもシステムの技術的な説明に終始しがちです。しかし東京コンサルティングは、現場から上がってくる情報を経営判断に必要な形へと翻訳・可視化するためのダッシュボードを構築してくれました。各事業部門の予算消化状況や重要案件の進捗、対応方針などが一目で分かり、全体を俯瞰して判断できるようになりました。

組織の強化・自走に向け、現場の実務にまで入り込む支援スタイル

──ガバナンス構築と並行して、組織強化や人材採用にも取り組まれたと伺いました。

伊藤氏:まずは、不動産事業全体のIT企画やシステム投資を統括する部門として、「IT企画室(現:IT企画部)」を立ち上げました。これにより、各事業部門がどのような投資を控えているかを早期に把握し、各投資が構築したガバナンスに沿っているかの事前確認や、不動産事業全体の戦略や中期計画、業務改革にどのように組み込むべきかといった方針策定が可能となりました。

次のステップとして、IT企画室でキャッチアップした各投資案件を着実に実行していくために、組織体制強化に向けた人材採用が不可欠と判断しました。当時はIT人材が不足していたため、まず必要な人材の要件定義から着手しました。

中期的な事業戦略に基づき、プロジェクトに必要なスキルセットを定め、具体的なジョブディスクリプションを作成しました。採用の精度を上げるための土台づくりを行ったのです。

南部(オリックス不動産):驚いたのは、東京コンサルティングが採用プロセスの実務まで担い、書類選考などを通じ、候補者のスキルの見極めまで行ってくれたことです。正直、ここまで寄り添ってくれるコンサルティング会社はほかにないのではないかと思います。

伊藤氏:私たちは「コンサルタントがいなくても、お客さまが自走できること」をゴールに据えています。ただ、採用は組織の根幹ですから、体制が整うまでは、より丁寧に行う必要があると考えました。売り手市場で採用難易度が高い中でしたが、「求める人材の質は絶対に落とさない」という方針のもと、南部さんたちと粘り強く活動を続けました。

南部(オリックス不動産):その成果として、現在は多数の応募が集まる中から、優秀な人材を厳選して採用できる体制が整っています。東京コンサルティングが最初に高い採用基準を作ってくれたおかげで、入社したメンバーが即戦力として活躍し、組織全体のレベルが底上げされています。

「情シス不在」の中小企業を救う。オーダーメイドの解決策を日本中へ

──最後に、今後の展望をお聞かせください。

南部(オリックス不動産):東京コンサルティングの支援を経てガバナンスの基盤が整い、優秀な人材も集まりました。2023年4月にはDX推進の核となるIT企画部も新設し、ここからが本当のスタートだと思っています。生成AIの活用など、攻めのDXにも挑戦し、単なる「事業を支える裏方」ではなく、事業部門に伴走し、さらには事業をリードしていく存在へとIT企画部を進化させていきたいと考えています。

伊藤氏:オリックス不動産の事例は、私たちにとっても「経営とシステムの一体化」を体現した象徴的なプロジェクトとなりました。

今後は、こうしたノウハウをもっと多くの企業に届けていきたいと考えています。中堅・中小企業の多くが「情シスが1人しかいない」「経営者がITの判断を下せない」といった悩みを抱えています。大掛かりなシステム導入ありきではなく、まず経営目線で課題を整理し、身の丈に合ったガバナンスや組織づくりから支援する。そうしたオーダーメイド型のコンサルティングを通じて、企業の競争力向上に貢献していきたいです。

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