Profile
入社:2008年
専攻:総合政策学部政策科学科
研究内容:インターネット証券の将来性(経営学)
入社後、情報通信部にてリース業務や通信キャリアとの協業推進に従事。その後、地デジ化に伴うECOポイントを活用したテレビレンタル事業に携わる。2011年、松山支店に赴任。2015年、「キャリアチャレンジ制度※1」を活用して、現職に異動。船舶・コンテナのオペレーティング・リースを担当している。
1キャリアチャレンジ制度:異動を希望する部門へ自らをアピールし、双方が合意すれば異動が実現する制度

やりたいことは、
働きながら見つけられる。

まずは、就職活動当時のことを教えてください。
私がずっと抱いていたのは、「世の中になくてはならない機能を提供し、多くの人の役に立ちたい」という想いでした。そこで、そうした側面が強い金融・商社業界に加え、輸送インフラを支える海運業界に興味をもっていました。とはいえ、やりたいことが具体的に決まっていたわけではありません。そこで出会ったのがオリックスでした。多角的に幅広い事業を展開していることから、オリックスに入社すれば、働きながら自分のやりたいことに出会えるのではないかと考え、入社を決めました。
現在は、その海運業界の仕事をされているそうですね。
そうです。島国であり資源が乏しい日本では、輸出入はほぼ100%海上輸送で行われており、世界でもトップレベルに海事産業(海運業・造船業・船用工業など)が発展しています。オリックスは1970年代に日本でパイオニアとして船舶リースを開始して以来、ファイナンス、船主業、オペレーティング・リース、債権購入などのビジネスを多様化させながら、約50年に渡り海運ビジネスを展開しています。その中でも私が担当しているのは国内外の海運会社向けに、一隻何十億とするような、ばら積み船などの船舶を長期にわたって貸し出す「オペレーティング・リース」の組成です。これは、海運会社が船舶などをリース調達する際の一つの手段で、効率的に船舶を調達したい海運会社はもちろん、融資をする銀行や投資意欲のある国内法人投資家など、すべての関係者にとってWin-Winな取り組みとなるように、弁護士や税理士など各専門家とともに案件を組成し、実行するのが私のミッションです。
なんだか複雑そうな業務ですね。
目的は案件によって異なりますが、オペレーティング・リースの仕組み自体は非常に複雑で繊細です。ただ、国内外における船舶需給バランスや金融情勢にも関わるダイナミックな業務です。関係当事者も多く常に巧みな交渉が求められますが、お客さまやパートナーからの信頼を獲得し、また次の仕事につながったときには大きなやりがいを感じますね。



自分の価値とは何なのか、
徹底して考え抜く。
仕事への姿勢を大きく変えた出来事があったそうですね。
入社8年目、海運業界の大不況に見舞われ、船舶ローン債権を売却する金融機関が増加し始めました。そのような中で、英国の銀行から船舶ローン債権の譲渡について打診を受け、主担当として検討していたときのことです。パートナーや売り手との初会合で、15人ほどの外国人に囲まれながら自己紹介をする場面があったのですが、冷や汗をかきながら一生懸命に話した自分の英語は、まったく彼らに伝わりませんでした。一方彼らは、「今までこんなことをやってきた」と、これまでの豊富な経歴を自信満々に語るのです。語学スキルのみならず、彼らと対等になれるだけの専門スキルを磨かなければグローバルでは活躍できないことを痛感しました。「自分の価値とは何だろう」と考えさせられ、仕事に対する考え方や向き合い方が大きく変わるきっかけとなりました。
その後はどのように進めていったのですか。
債権譲渡契約の締結後、譲渡の実行までにもタスクは山のようにありました。一方で、サポートはありながらもオリックス側の担当者は基本的には私一人でした。パートナーであるドイツ人や借主との意見の食い違いも起こる中、泥臭く一つひとつのタスクをこなしていきました。債権譲渡自体は無事に実行したのですが、その後、購入債権の一つがデフォルト※2し、ギリシャで船舶抵当権の行使※3に迫られました。行使をするにしても、海外での船舶抵当権行使に精通した弁護士が国内におらず、一から海外弁護士にアドバイスを求めながら進めました。ギリシャの債務者との仕事はなかなか期日通りに進まず大変でしたが、船舶の差し押さえ、競売までを実行した経験は、非常に刺激的であり貴重な経験でした。
2デフォルト:債権不履行のこと
3船舶抵当権の行使:債権者が担保である船舶などを競売し、その代金を債権の弁済に充てること


考え抜いて行動し、
諦めずに伝え続ける姿勢。
船舶ローン債権譲渡の取り組みは学びも多かったそうですね。
仕事が思うように進まず苦悩していた時、ふと気がついたのです。「相手も自分と同じ感覚でいるだろう」と思い込んでいる自分に――。言葉も違えば、文化も慣習も異なるのだから、国内でのやりとり以上に丁寧に伝える必要があると実感しました。それを機に、「なぜそれが必要か」、「どれほど重要なのか」を相手に伝わるまでコミュニケーションをし続けることを意識しました。また、もちろん、相手に理解してもらうには、ファイナンス・法務・税務などの専門知識による裏付けも欠かせません。彼らと対等に話せるように知識を習得し、伝え続けた結果、当初意見が食い違ってしまっていたドイツ人のパートナーとの間にも信頼関係が築かれていきました。時間はかかりましたが、相手を理解しながら丁寧に対話する、諦めない姿勢が受け入れられたのだと思います。この案件で学んだ姿勢は、今に続く自分の仕事の軸となっています。
現在の山枡さんの姿につながっているのですね。では、これからの目標について教えてください。
ファイナンスの知識やノウハウを軸に、多種多様な業界との関わりの中から、新規ビジネスの展開を模索していくことが、中長期的な目標です。そのためにもまずは、日々の仕事を通じて専門性を高め、求められるファイナンサーとして成長していきたい。まだまだ知識は十分ではありませんが、今後も専門分野を増やし、それぞれブラッシュアップしながら、自分の価値を高めていきたいと思っています。

1日のスケジュール
10:00
出社。メールチェック
11:00
社内の稟議書作成
12:00
昼食
13:00
外出。銀行と資金調達に関し面談
15:00
クライアント(船主)と新造船に関するリモート会議
17:00
契約書の確認
18:00
チームミーティング、進捗状況の確認、課題共有
19:30
退社