
[取材先]株式会社オリジナルあい(愛知県)
本記事は2026年4月時点の情報を基に作成しています。
愛知県に本社を置く総合ギフトメーカー、株式会社オリジナルあい(以下、オリジナルあい)。ブライダルギフトで全国トップクラスのシェアを確立し、近年は法人向けやフューネラル(葬儀・仏事)へと事業領域を広げています。
少子高齢化や未婚率の上昇によりブライダル市場が伸び悩む一方、国内ギフト市場は拡大基調が続いています。2024年の市場規模は前年比102.7%の11兆1880億円、2026年には11兆7750億円に達すると予測されています※。
こうした市場環境の変化を捉え、同社はコロナ禍の逆風を乗り越えて成長を加速。2025年6月期には売上高52億円を達成しました。その成長を支えているのが、企画から製造、梱包、物流までを一気通貫で担う体制と、顧客の期待を的確に捉えて商品やサービスに落とし込む企画力です。
二代目として同社を率いる代表取締役社長の纐纈 暁久(こうけつ あきひさ)氏に、オリックス 名古屋支店の田中 成幸、村上 佳菜子がお話を伺い、時流を的確に捉えた成長戦略と、競争力の源泉である製販一体体制と企画力の実像に迫りました。
「製販一体」を武器に、ブライダルギフトで全国区のブランドを築く

──まずは創業の経緯と、纐纈社長が事業を継承された経緯についてお聞かせください。
纐纈氏:1981年に母が創業しました。当時、結婚式場で働いていた父から、披露宴で新郎新婦が列席者に手渡す「プチギフト」が流行し始めていると聞き、その卸売を手掛けたのが原点です。いち早くニーズを捉えたことで売り上げは順調に伸長しました。
そんな中、母から「事業を手伝ってほしい」と声をかけられたことがきっかけで入社し、2003年に代表取締役社長に就任しました。私の入社当時はバブル崩壊の影響でブライダル市場が冷え込み、年商は5000万円前後で伸び悩んでいました。そこで、カタログギフトやリーフレットを整備し、全国へ販路を拡大。販売数を増やす仕組みをつくり、事業を再び成長軌道に乗せました。
──事業を軌道に乗せる上で、どのような戦略がターニングポイントになったのでしょうか。
纐纈氏:ウェディングプランナーが抱える「発注先の管理が煩雑」といった課題に着目し、「取り扱い領域の拡大」「商流の転換」、そしてそれらを支える「製販一体体制の構築」を戦略の柱にしました。
まず取り組んだのが、「取り扱い領域の拡大」です。主力のプチギフトで基盤を築いた後、より単価の高い引菓子、さらに引出物へと段階的に領域を広げていきました。
引菓子ではパッケージデザインに注力し、コンビニに並ぶ菓子の製造元を調べて自ら仕入れ交渉を実施。商品ラインアップを拡充していきました。また、カタログギフト「LUX・AUS(ルクアス)」を制作し、高単価商品を魅力的に見せる工夫をしました。
その後は、引菓子だけでなく、鰹節や昆布などの縁起物、さらには引出物へと取り扱いを拡大。商品カテゴリーごとにブランドや見せ方を変えながら提案の幅を広げていきました。

次に進めたのが「商流の転換」です。卸売中心の取引から、ホテルや式場に直接提案する直販モデルへとかじを切りました。卸売中心では、当社は数ある仕入れ先の一社に過ぎず、価格競争に陥るリスクがありました。そこで、企画段階から納品まで一貫して対応できる体制を整備し、お客さまごとの細かなニーズに応えられるようにしたのです。
これらの戦略の土台となったのが「製販一体体制」です。
ブライダルギフトは、お客さまや式場ごとに商品の組み合わせが異なるため、在庫管理や出荷作業が複雑になります。多くの企業が敬遠する領域ですが、当社はそこにあえて踏み込みました。多様な商品を仕入れるだけでなく、「アッセンブリ(同梱・組み合わせ)」まで対応することで、他社との差別化を図ったのです。

さらに、直販で選ばれる付加価値を高めるため、自社で企画・開発・製造・出荷まで担うメーカー機能も強化していきました。
具体的には、2015年8月にファーストページより体重ベア事業を承継し、2018年2月には有限会社愛月堂本舗より製造工場(焼き菓子・生菓子)を取得。M&Aを活用しながら自社製造商品のラインアップを広げ、企画・開発力を高めてきました。

ブライダルの3大ギフトである引菓子・縁起物・引出物を取り扱い、企画から納品まで一気通貫で対応できる体制を構築したことで、「発注を一本化できる会社」として独自のポジションを築いてきたのです。
ブライダルで培った企画力が、法人ギフトでも真価を発揮

──コロナ禍ではブライダル業界全体が大きな打撃を受けました。どのように乗り越えられたのでしょうか。
纐纈氏:当社も例外ではなく、売り上げはコロナ禍前の約3分の1にまで落ち込みました。ブライダルという単一市場に依存する経営リスクを痛感しました。
そこで、「法人向けギフト市場への参入」、「法人領域を伸ばすための人材・機能・顧客基盤の整備」、「カタログギフトのカード化」の3つを重点施策として取り組みました。
法人向けギフトは、企業の周年記念や永年勤続表彰などで利用され、ブライダルに比べて1件あたりの受注額が大きく、需要も安定しています。参入にあたっては、2025年4月にトキワイーエーエム株式会社よりメルシー事業を譲り受け、法人ギフト領域の知見やノウハウを確立しました。

その上で、ギフトの品ぞろえも強化。2年弱で取り扱いアイテム数を700点から1万5000点規模まで拡充しました。また、従来の冊子型カタログギフトに加えて、カード型カタログギフトも導入。予算や贈る相手に応じて、重厚感のある冊子型と、持ち運びやすくデジタルで完結するカード型を選べるようにしました。
その結果、業績はV字回復し、2025年6月期にはコロナ禍前を上回る売上高52億円を達成しました。
──法人ギフト市場への参入から商品拡充、ギフトカードへの対応まで、非常にスピーディーに時流を捉えていらっしゃる印象です。
纐纈氏:ありがとうございます。当社は、「驚きをデザインする」を理念に掲げ、コアコンピタンスとして企画力を磨き続けてきました。その積み重ねが、変化への対応力につながっているのだと思います。
こうした取り組みを象徴するのが、2018年に立ち上げた自社ブランド「OCEAN & TERRE(オーシャンテール)」です。味やパッケージデザインの細部にまでこだわり、お客さまのニーズに合わせてつくり込める体制を構築しました。お菓子からお吸い物まで、贈る側も受け取る側も心が弾む商品を多数展開しています。

ギフト市場の未開拓領域に挑み、1000億円企業を目指す

──今後の事業展開について、どのようなビジョンをお持ちですか。
纐纈氏:3つの市場に大きな可能性を感じています。1つ目はインバウンド市場です。江戸切子や西陣織といった日本の伝統工芸品をギフトとして提案し、宿泊先でQRコードから注文すると滞在中に商品が届く。そんなサービスまで含めた新しいお土産の形をつくりたいと考えています。

2つ目は、SNSなどを通じて個人間で気軽に贈り合うeギフト市場です。ギフトの形態がカードからデジタルへ移行する流れを捉え、これまで培ってきたギフト設計のノウハウとデジタル対応の知見を生かし、CtoC(個人間取引)領域を強化していきます。
そして3つ目がフューネラルギフト市場です。ブライダルで培ったノウハウを応用し、新たな事業の柱として本格的に育てていきたいと考えています。
──最後に、貴社が目指す今後の姿についてお聞かせください。
纐纈氏:当社が掲げる「驚きをデザインする」という理念には、商品だけでなく、会社そのものをデザインするという思いも込めています。お客さまに感動していただくのはもちろん、社員が誇りを持って働き、地域からも「あの会社は面白い」と思っていただける存在でありたいですね。
定量目標としては、これまで築いてきた製販一体体制と企画力を強みに、まずは売り上げ100億円を達成し、将来的には1000億円規模の会社に成長することを目指しています。価値観の多様化やテクノロジーによって、ギフトの形や嗜好は変化し続けるでしょう。しかし、人が誰かに何かを贈りたいという気持ちそのものはなくならないと思います。当社はこれからも、「贈る人」と「受け取る人」の心をつなぐ価値を提供し続けていきます。
<取材を終えて>
オリックス 名古屋支店 田中 成幸、村上 佳菜子

取材を通して感じたのは、オリジナルあいが持つ製販一体体制と企画力の強さです。ギフト市場で確固たる地位を築きながらも、さらに法人向けギフトやeギフト、インバウンド市場など新たな領域へ果敢に挑戦し続ける姿勢が印象的でした。当社としても、成長をお支えしながら、日本の贈り物文化の発展に貢献していきたいと思います。
企業概要※ 公開日時点
| 社名 | 株式会社オリジナルあい |
|---|---|
| 本社所在地 | 愛知県一宮市奥町字剱光寺32番地 |
| 設立 | 昭和56年9月1日 |
| 代表者名 | 代表取締役 纐纈 暁久 |
| 従業員数 | 403名(パート含む)(令和7年6月30日現在) |
| 事業概要 | 1. ブライダルグッズの企画・製造・販売 2. ギフト全般の企画・製造・販売 3. 百貨店小売事業 |