オリックスグループ全体が使用するITインフラ基盤更改プロジェクト。ユーザー数が多く影響範囲が大規模で、クラウド環境から自社が管理する機材を使ったオンプレミス環境へ移行するというチャレンジングな取り組みでした。プロジェクトリーダーを務めた2人は、このプロジェクトをどのように推進したのでしょうか。

Profile

基盤設計構築部
サーバ基盤チーム

F.K

旅行会社の社内システムエンジニア(SE)、電機メーカーグループのSIerを経て、より大規模なプロジェクトに挑戦したいという思いから、2016年にオリックス・システムに入社。オリックス生命向けの業務システム開発に従事し、同社へ2年出向したのち本プロジェクトに参画。ネットワーク領域のプロジェクトリーダーを務める。

基盤設計構築部
サーバ基盤チーム

T.K

SIerとして通信キャリア向けユーザーシステム開発や、スマートフォンのゲーム開発を経験。自社システムの設計・構築から運用まで一貫して手がけたいという思いから、2018年にオリックス・システムに入社し、ネットワーク基盤の設計構築を管理する部署にてVPN環境の整備やセキュリティ対策の立案などを手がける。本プロジェクトではプロジェクトリーダーとして、品質や進捗などの管理を担当。

Story 01

グループのビジネスを、ITの力で加速させるために

プロジェクトの概要を教えてください。

F.K 私たちがいま手がけているプロジェクトは、業務システムなどのアプリケーションを動かすために必要な土台づくり。いわゆる「ITインフラ基盤」の構築です。当社だけではなく、オリックスグループのさまざまな会社が共通して使用する非常に大がかりなプロジェクトです。グループの企業数は100を超え、拠点数は国内1,000以上にのぼります。この数字だけでも、規模の大きさが伝わるのではないでしょうか。

今回のプロジェクトは、すでに稼働している基盤を新しい環境に移すというものですが、具体的にはクラウド環境で構築されているITインフラ基盤を、自社で保有するサーバやネットワークなどの機器、「オンプレミス環境」に移行するというものです。あわせて、仮想化技術を導入しサーバなど物理的な機器を効率的に活用することで、コストパフォーマンスや運用のしやすさなどの向上を目指します。

T.K 私たちがオンプレミス環境が適しているという結論にいたった理由はたくさんあります。まず一つ目が、ランニングコストを大幅におさえられる点。二つ目は、運用に関わるすべての領域を自社で担えるため、新たなシステムが必要になった際、最小限のリードタイムで環境構築が可能な点。さらに、カスタマイズの自由度が高いため、柔軟なシステム開発や、スピーディーな事業展開につながる点が挙げられます。だからこそ、多様なビジネスを手がけているオリックスグループにとって最適な選択だったと考えています。

F.K プロジェクトは大枠がかたまった2020年10月頃に本格始動しましたが、私は既存の業務の兼ね合いで、昨年秋ごろに本格的に本プロジェクトに参画しました。以降はネットワーク領域のチームリードを担当しています。T.Kさんは品質や進捗など各管理の主担当としてプロジェクトの立ち上げ時から参加され、プロジェクトマネジャーとともに経営層への提案資料の作成などを手がけていました。

T.K F.Kさんはプロジェクトの検討段階などでも要所要所で力になってくれました。今回プロジェクトリーダーを務めるのは私とF.Kさんの2人。私たちは10年以上システムエンジニアをしていますが、実は2人とも今回使用する製品を扱うのは初めてで、ノウハウを持ち合わせておらず、勉強や試行錯誤をしながら進めています。

Story 02

新しい技術に挑むのは大変だが、仲間と一緒だと乗り越えられる

ノウハウがない中で、どのようにプロジェクトを推進したのですか?

F.K 製品知識をつけるためにメーカーの方にお願いして社内研修を開いてもらいました。その後、概念実証(実際の開発に移す前の検証工程)を行い製品のスペックを調査。問題ないことが確認できたら製品をそろえて環境を組み、検証作業を重ねました。環境がガラリと変わるため、どうしたらいま動いている基盤と同じ性能が出せるのか、いま以上の性能を出すことは可能なのか、検証すべき項目がたくさんありました。仮想マシンをつくったり、ネットワークの設定変更をしたり、実際に運用で行われる手順での環境構築なども行いました。

T.K 手探り状態だったので大変なことは多かったですが、毎朝2時間ほど繰り返した検証作業はF.Kさんをはじめ気心が知れた仲間と新しい技術に触れることのできる充実した時間でもありました。製品仕様を把握し、どんどん自分の中に知識が蓄積されていく手ごたえを感じられ、成長を感じることができてうれしかったです。

F.K 初めて経験する製品ということに加え、現行のクラウド環境を紐解くことにも苦労しました。クラウドサービスを提供しているメーカーではないと分かり得ない設定などが多々あるんです。さまざまな資料を読みあさったり、システム運用の担当者に話を聞いたり、あらゆる手段を駆使しながら要件を整理しました。さらに、一つ一つの要件を踏襲すべきか改善すべきかの検討も行いました。骨が折れる作業ではありましたが、自らの手で次期基盤をつくっているという意識が強まったため、刺激的で良い経験でしたね。

Story 03

風通しがいい職場で、理想のキャリアを歩める

プロジェクトの今後と、これからの目標を教えてください。

T.K データセンターに調達した機材を設置する作業がこれから始まります。2022年9月頃には基盤構築の作業が完了見込みで、その後、グループ各社の業務システムを移行するプロジェクトが始動します。アプリケーション側の領域は専属の異なる部隊が担当しますが、どのシステムにも共通する基盤側の領域はすべて私たちの担当です。つまり、9月以降も私たちのプロジェクトは終わりません。あと2年ほどは、このプロジェクトに携わる見込みです。

F.K まだまだ先は長いですが、本プロジェクトはとてもやりがいがあるため、これからも積極的に関わっていきたいですね。メイン担当として完遂できれば、かけがえのない経験になると感じています。無事にこのプロジェクトを終えたら、次はユーザーの抱える課題を解決するようなソリューションづくりを手がけてみたいです。特に、ユーザーの近くで新しい技術を取り入れるようなことに挑戦したいですね。

T.K 私は、いろいろなことに挑戦してみたいです。システムの安定稼働に向けた取り組みをしたり、新しい技術を取り入れたシステム構築の企画立案をしたり、経験できることはまだまだあります。キャリア入社であり当社で3社目となりますが、ここが私にとってもっとも居心地が良い会社だと感じています。だからこそ、腰を据えてじっくりキャリア形成していきたいと思います。

F.K オリックス・システムは、風通しの良さが抜群。エンジニア同士はもちろん、上長や役職者との関係性もフラットで、声を上げやすいんです。だからこそ、「やってみたい」という思いはしっかり反映してもらえます。また、気軽に相談できるフランクな雰囲気もあり、仕事はとても進めやすいですね。コミュニケーションを丁寧にとれる方だと、きっと働きやすい職場だと思います。