効率的な人材活用の実現と社員のキャリア形成支援を目的とする「タレントマネジメントシステム」。その導入プロジェクトにおいてオリックス・システムは、グループの人事部門とシステムを提供するパッケージベンダー(協力会社)の間に立ち、膨大な人材データを新システムに連携・移行する役割を担いました。グループ社員の活躍を支えるシステム導入に携わったメンバーが、さまざまな課題を乗り越えたプロジェクトを振り返ります。

Profile

開発・保守統括部
バックエンドチーム
人事システム保守担当(当時)

N.Y

2018年に新卒でオリックス・システムに入社。以降、総務人事システムチームで人事システム保守を担当し、自身初のシステム導入案件として本プロジェクトに参加。2022年7月からは開発・保守統括部バックエンドチームで活躍中。

オリックスIT支援部
コーポレート人事総務管理チーム
人事システム保守担当(当時)

T.K

前職は印刷会社でシステムエンジニア(SE)として働いており、より上流工程を経験したいという思いから2006年にオリックス・システムに入社。リース事業などを行うオリックス・レンテックのアプリケーション開発を長く担当したのち、2020年から総務人事システムチームに配属。

Story 01

分散した従業員データを一元的に管理し、人材活用をスムーズに

プロジェクトが始動した当時のことを教えてください。

N.Y オリックスグループには1,000社以上、約3万人の従業員がいます。その従業員データを一元的に管理・集約できる「タレントマネジメントシステム」を導入することが、今回のプロジェクトの目的です。これまで従業員の情報は人事基幹システムのほかに、紙で保存したエントリーシートや各種システムの履歴など、あちこちに散らばっていました。これまでは人事異動の検討のたびにそれらを集める必要がありましたが、あらかじめ情報を一つにまとめることで、人材の配置や異動案を効率的に検討することができるようになります。グループの主要20社ほどを所管するオリックス株式会社のグループ人事部がユーザーで、各社の人事担当も利用できるよう段階的に拡張する予定です。

T.K タレントマネジメントシステムによって、異動シミュレーション機能やキャリアタイムライン機能などより高度な判断を行うための機能が使えるようになります。そのためには、従業員データを移行して一元化し、自動連係機能を構築することが必要不可欠です。プロジェクトにあたって私は当社側の責任者を務め、若手メンバーのN.Yさんの成長の機会になると考え、チームに引き入れさせてもらいました。

N.Y これまではパッケージシステムの保守を担当してきたので、今回のような新しい環境を構築するプロジェクトは初めての経験でした。私は人材情報をタレントマネジメントシステムに移行する際のエラー解消や対応の検討のほか、各種機能が正しく動くかのテストなどの業務を担当しました。

Story 02

パッケージベンダーとグループ人事の間に立ち、困難を乗り越える

グループをまたがるシステムの導入にはどのような課題がありましたか?

T.K 実際にデータ移行を行ってみると高頻度でエラーとなってしまい、導入は大変な作業でした。一つ一つエラーの原因調査や対応の検証をするのですが、私たちとグループ人事部、パッケージベンダーが一つのチームとしてコミュニケーションをとり、一致団結して仕事を進めていましたね。コロナ禍での業務という新しい環境に慣れる必要もありましたが、実行に時間のかかる作業も多く、リモートだからこそ乗り越えられた面もあります。想定以上に作業量が増える中で、課題やタスク管理を担ってくれたN.Yさんも大変だったと思いますが、さまざまな場面で活躍していただきました。

N.Y データを移行する順番でも結果が変わり、複数回取り込みを行うことでエラーが解消することもあるので、検証と調査、リトライを繰り返し、みんなで協力をしながら乗り越えていきました。エラーの要因はさまざまですが、一つはタレントマネジメントシステムの仕様と、グループの基幹システムが持つ情報で「履歴」の考え方に違いがあったことです。例えば、グループをまたいだ出向や異動によって複数の社員番号を発行したケースや、社内組織の統廃合によって履歴が途切れた期間の管理など、基幹システムでは問題ないものが新システムではエラーになってしまいました。

T.K オリックスグループという大きな組織だからこそ生じた課題でした。パッケージベンダーにとっても、これほどの規模のシステム導入は想定外のことも多く、今回のプロジェクトを経て機能改修も進めてもらいました。一方で、オリックス側の情報が古かったり、構造的な問題がある部分は基幹システムのデータを整理する必要もあるなど、ケース・バイ・ケースで対応を行う必要があります。私たちが間に立つことで、パッケージベンダー、グループ人事部とともに三位一体となってプロジェクトを進めることができたと思います。

Story 03

若手社員の成長機会が豊富で、プロジェクトに挑戦しやすい環境

困難を乗り越えてプロジェクトを終えた感想や今後の目標を教えてください。

N.Y 多くのエラーを乗り越えて2021年8月、ついに本番データを取り込む際、関わったプロジェクトメンバーがかたずを飲んで見守っていたのが印象的でした。全件データが取り込めたときは、本当に安堵しましたね。その後はデータ連携によって異動シミュレーションをはじめ、プロジェクトの目的だった機能が使えるかを調べる作業を進め、11月にサービスインとなりました。

T.K 当初はリモートでのチームワークに不安もありましたが、N.Yさんはチャットもうまく使いながら社内外と密にコミュニケーションをとってくれたので、課題が多く発生する中でも円滑にプロジェクトが進んだと思います。

N.Y 今回のプロジェクトでは、課題やタスクが発生している中でプロジェクトを前に進めるために、「誰が何をどのような方針で進めるのか」の管理とコミュニケーションを密接に行う必要があると学べました。ユーザーであるグループ人事部の実務を知り、本当の要望に踏み込むという経験もできたので、今後は新しいシステムの開発などにも携わっていきたいと思っています。

T.K 現在N.Yさんはより開発に近い部署に異動しているので、さみしいですが今後の活躍が楽しみです。若手社員でも、ユーザーであるグループ社員とともにプロジェクトにチャレンジしやすい環境がオリックス・システムの魅力だと思います。私自身、システムのプロフェッショナルとして、ユーザーと信頼関係を築きながらビジネスに関わる仕事ができることにやりがいを感じています。そんな環境を魅力に思う方と、ぜひ一緒に働けたらうれしいですね。