ビジネスの現場では、データの入力や情報の転記などさまざまな事務作業が発生します。それらを自動化し、生産性を向上するのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の技術です。オリックス・システムでは、グループ各社のRPA導入を支援することで、膨大な作業時間の削減に貢献しています。この導入支援プロジェクトの詳細をご紹介します。

Profile

基盤運用部
プラットフォーム運用チーム

H.E

3万人規模のグループ社員が使うシステムの開発に携われることに魅力を感じ、2020年に新卒でオリックス・システムに入社。以降、現在までグループ各社が利用するRPAの開発・保守・運用業務に従事している。

Story 01

事務的な業務を自動化し、時間削減を実現する“ロボット”を提供

RPAプロジェクトの概要を教えてください。

H.E 私が携わる業務自動化アプリケーション(RPA)プロジェクトは、人間が行う事務的な業務を自動化させる“ロボット”を開発し、グループのさまざまな会社で導入後の利用状況を管理するというものです。日々の業務の中で「ボタンを押す」「データを転記する」といった単純作業、「ときめかない仕事」をロボットにまかせることで、人的リソースを有効活用することがプロジェクトの目的です。RPAはあらゆる業界で進むDX戦略の一つとなる技術で、すでにオリックスグループの各社20部署以上で自動化と時間削減を実現しています。

RPAを使いたいというユーザーのために実際にロボットを開発したり、ユーザー自身がロボットを開発する場合にはアドバイザーとしてノウハウを伝えたり、といったサポートを行っています。実際に、「データを基幹システムへ入力する」といった機能は積極的に利用されており、年間数万時間分の業務が自動化されています。とはいえ、RPAの導入は決して人の仕事を奪うという発想ではなく、何にでも使えるわけでもありません。人間の判断が多く求められる業務や機密性の高い情報を扱う業務では使用しないなど、ガイドラインに沿った導入を支援することも私たちの役割です。

Story 02

グループの幅広い事業を理解し、早くもプロジェクトのメイン担当に

RPA導入というプロジェクトならではの特徴や大変なことはありますか?

H.E グループ内のさまざまな業種の方々から依頼や相談が寄せられる中で、「どんなロボットが必要なのか」という要件定義や、実際の設計、質問への回答など、直接コミュニケーションをする機会が多いことが特徴です。そのため、ユーザーと一緒にロボットを作り上げていくことが大きなやりがいになっています。要件定義を行うためには単純なRPAの知識だけでなく、金融や不動産などすべての領域の事業内容を把握しなければなりません。現場で利用しているシステムについての知識も必要になるため、最適な提案ができるよう日々の勉強が求められますね。

また、開発のサポートだけでなく、各社の担当者が自分で作ったロボットの中身を解析し、ガイドラインに沿っているかの確認も行っています。毎日いろいろな種類のロボットを見ることができることも、このプロジェクトの面白さです。多くは経理面でのデータ処理を自動化するRPAですが、中には「人間が行った入出金が予定通りに登録できているかを照合する」機能など、“ロボットが人間の業務を二重チェックする”というユニークなものもありました。

私は2020年の新卒入社から一貫してRPAプロジェクトを担当していますが、チームを離れる先輩社員から業務の多くを引き継ぎ、早々にRPAメンバーの中で1番の古株になりました。覚えることが多く最初は大変でしたが、「自分のアイデアを反映できるチャンスだよ」という先輩の助言も受けて、主体的に取り組んできました。今では開発経験の豊富なメンバーにナレッジを共有し、自分が感じた課題を反映した業務の改善にも貢献できています。

Story 03

RPAの知名度と活用事例を広め、さらなる貢献を目指す

今後の目標やプロジェクトで学んだことを教えてください。

H.E オリックスグループ内でRPAの知名度をもっと上げて、幅広く活用してもらいたいと思っています。そのために、グループ向けの広報ページ内に専用のコンテンツを作成し「RPAとは何か」「グループでどのように活用されているか」「使用した際の価格表」など、基礎知識や活用の実態を伝えています。自分たちの業務に利用できるかを確認するチェックリストや、実際に開発をはじめたい方に向けた、初級・中級・応用編に分かれたロボット開発の手順書なども用意し、知識のない方でも活用できるように工夫しながら情報を発信してきました。

さまざまな業務に携わるグループ各社の担当者とコミュニケーションをする中で、「本当に必要とされているのは、単なる手段や道具の提供ではない」ということを学びました。RPAは使い方を間違えれば、誤った処理を大量に実行し取り返しがつかなくなってしまう道具です。そうならないためにも、単にアプリを提供するのではなくユーザーの目線に立って話を伺い、RPAが本当に正しい手段なのか、最適な方法は何なのかを一緒に考えていくことが大切だと感じています。

相談に乗って作り上げたロボットが業務で活躍しているのを目の当たりにしたり、業務削減に効果が出ているという話を伺ったりすると、本当にうれしいですね。社員の皆さんは、オリックス・システムに限らずグループ全体で見ても穏やかな方が多く、上下の分け隔てなく意見交換ができる雰囲気があります。私はまだまだ勉強中の身ですが、今回のプロジェクトで得た業務知識も生かしながら、開発案件のマネジメントなど、より大きな役割を担っていけるようになりたいです。少しずつでも着実に、今の自分にできることの範囲を広げていけるように精進していきます。