DE&I(多様性、公平性、包括性)の推進
DE&I(多様性、公平性、包括性)の推進
オリックスでは、多様な事業を多様な人材が支えています。社員の多様性を尊重し、柔軟な働き方を推進することで、すべての社員が活躍できる働きやすい職場づくりを進めています。
世の中の環境変化に伴い、働き方の多様な選択肢へのニーズがますます高まっています。社員がそれぞれの能力や専門性を最大限に生かしながら、ライフイベントに応じた働き方ができるように、職場環境の充実を進め、仕事と家庭の両立を支援しています。
社員が自らの意思で将来に向けたキャリアを選択できる機会や環境を整備し、働きがいを醸成していきます。オリックスの多様な事業を支え、成長させるためには、各事業に適した能力・専門性が求められます。そのため、画一的なキャリアパスでは不十分であり、多様な選択肢があることが社員のみならずオリックスの成長につながると考えています。管理職となって組織マネジメントを担うキャリアや、専門性を探求するキャリアなど、社員が志向する多様なキャリアを実現できる人事制度の構築を目指しています。また、オリックスとしての一体感を維持しつつ、各事業分野の特性に応じた柔軟な人事制度の導入を検討していきます。オリックスの企業価値向上に貢献する社員に適切に報いることで、今後のオリックスの成長を担う人材がさらに活躍できる環境の実現を目指しています。
女性の活躍推進
オリックスでは、男女雇用機会均等法が施行(1986年)される以前の1982年から、大卒女性の総合職としての採用を始めるなど、いち早く女性の活躍推進に取り組んでいます。ライフイベントをサポートする制度の拡充や、キャリアアップ・役割拡大・能力発揮のためのキャリア支援の強化を進め、また社員の意識改革をうながす取り組みも積極的に行っています。
こうした取り組みの結果、2024年3月末時点の女性管理職比率は、オリックス(株)で31.7%、国内グループ9社で27.2%となっています。また、2024年6月末時点のオリックスの取締役、執行役27名のうち、女性役員は3名で、全役員の11.1%を占めています。
多様な人材の意思決定への参画と平等なリーダーシップの機会の提供のベンチマークの一つとして、「2030年3月期までに、女性管理職比率を30%以上にする」ことを重要目標と設定し、引き続き女性活躍の取り組みを推進していきます。
- 国内グループ9社とは、オリックス、オリックス・レンテック、オリックス自動車、オリックス不動産、オリックス・システム、オリックス銀行、オリックス生命保険、オリックス環境、オリックス債権回収。
シニアの活躍推進
健康寿命の伸長や、年金の支給開始年齢の引き上げなどに伴う経済的な理由により、シニア社員の就労意欲は高まっています。また、企業にとってもシニア社員がこれまでの業務で培った知識やスキルは、貴重な財産です。
オリックスではシニア社員が安心して働ける環境を整えたいと考え、2014年4月に定年を60歳から65歳に引き上げました。多くの経験や専門性を持つシニア社員がチャレンジを続け活躍することが、企業の組織力や活力を高めることにつながると考え、活躍を後押しする制度を整備しています。
60歳以降の社員にも役割・成果に応じた人事・評価制度を導入し、同時に早期に65歳までの中長期的なキャリアを自律的に形成するための制度(キャリアチャレンジ制度、自己申告制度、社内公募制度)も導入しています。
- シニアの活躍をサポートする取り組みはこちら(人材育成体系)をご覧ください。
障がい者の雇用促進
オリックスでは、障がいを持つ社員が働く喜びや成長を実感し、チャレンジ精神をもって生き生きと輝ける職場を目指しており、そのために障がい特性に応じたサポートを行っています。例えば、聴覚障がいを持つ社員に合わせて、面談や健康相談時、新たな業務の説明や会議を行う際など必要に応じた手話通訳者の手配、相互理解を促進するための管理者向け研修や社員向け手話研修の実施、職場におけるコミュニケーション改善のための支援機器の貸与などを行っています。
2007年4月には「オリックス業務支援株式会社」(特例子会社)を設立し、2024年4月現在、92名の障がいを持った社員が在籍しています。グループ各社から書類の発送、保管文書の電子化、封入作業などの定例事務業務を受託し、作業工程を細分化することにより、障がい特性に応じた作業分担と業務効率化を推進しており、グループ各社の業務に寄与しています。事務業務以外にも、社員向けカフェ運営、職場環境の美化サービス、営業車両の洗車・点検業務など新しい業務にもチャレンジを広げています。
2020年8月からは、公益財団法人東京しごと財団が主催する職場内障害者サポーター企業として登録をしています。
キャリア採用・海外での新卒採用
ビジネス環境の変化に対応し、オリックスの多様な事業を維持・成長させるためには、新たな事業に対応できる人材の確保が重要です。オリックスでは、日本での新卒採用に加え、キャリア採用や海外での新卒採用にも注力しています。
会社設立時より積極的にキャリア採用を進めており、その前職は金融だけでなく、製造業、コンサル、商社、不動産、サービスなどさまざまです。2024年3月期は入社した社員の62.8%がキャリア採用※でした。環境エネルギー、プライベートエクイティ投資などの注力事業分野に加え、デジタル化推進、IT・情報セキュリティ、多様な事業を支えるためのガバナンス機能(リスクマネジメントなど)の専門性を有する人材を、外部から積極的に登用することを推進しています。
2016年からは日本国内の留学生だけではなく、中国、台湾の大学でも新卒採用を実施するなど、多様な価値観を持つ学生の採用にも力を入れています。
- オリックス、オリックス・レンテック、オリックス自動車、オリックス不動産、オリックス・システム、オリックス銀行、オリックス生命保険、オリックス環境、オリックス債権回収の国内グループ9社の合計数字。
ORIX Group Employee Engagement Survey
(オリックスグループ 従業員エンゲージメントサーベイ)
オリックスでは、さまざまな取り組みを通じて、積極的に社員とコミュニケーションを図っています。社員が仕事に対して日ごろどのように感じているのかを調査し、今後のさまざまな人事施策等に生かすために、2004年以降、従業員満足度調査(モラルサーベイ)を導入し、調査結果を社内に公開しています。また、2024年からは従業員エンゲージメントサーベイとして、従業員エンゲージメントのトレンドを把握するとともに、「ORIX Group Purpose & Culture」の組織への浸透状況の把握にも活用しています。調査結果は、すべて匿名で扱われた上で、オリックス株式会社、オリックスグループ各職場における組織マネジメントへの活用のほか、人事施策決定の参考情報、あるいは現在実施している人事施策の効果を検証することを目的に利用されています。
職場環境の充実
オリックスグループでは多様な価値観を持った社員が健康的に安心して働くことができる職場作りを推進しています。国内外の法令遵守にとどまらない過剰な労働時間の削減に取り組みます。日本国内では「36協定」を遵守します。
オリックスでは、生産性向上と長時間労働の是正を目的に、2017年4月から終業時間を17時20分から17時へ変更しました。また、年次有給休暇取得率※が80%以上となるよう促す施策として、社員のリフレッシュを目的としたリフレッシュ休暇取得奨励金制度を新設しています。
- 年次有給休暇取得率=1年間の年次有給休暇取得日数÷当年度に新たに付与された年次有給休暇日数
仕事と家庭の両立支援
仕事と家庭の両立を支援し、結婚、出産、育児、介護などのライフイベントに応じた柔軟な働き方を実現するためのさまざまな制度を設けています。社員ぞれぞれの事情に応じて、必要なサポートは異なります。社員が状況に合わせて制度を組み合わせながら活用できるように幅広い選択肢を整備しています。
例えば、スーパーフレックスタイム制度(コアタイムのないフレックスタイム制度)、時間単位の年次有給休暇制度などで時間に柔軟な働き方を選択可能とし、サテライトオフィス、モバイル環境の整備などにより、柔軟な働き方を後押ししています。
また、制度面での支援に加え、両立のための心がけなど、より具体的な悩みに応えるべく、出産・育児休職者向けのセミナーを行っています。2016年度からは育児中の社員を対象とした、夫婦で仕事と家庭の両立を考える夫婦参加型両立セミナーや、家族の介護に関する介護セミナー等も実施しています。
人事制度
オリックスは、男女雇用機会均等法の施行(1986年)以前から女性を積極的に採用するなど、法律で定められた制度よりも進んだ人事制度を早くから充実させてきました。社員一人一人のライフステージやキャリアをサポートする人事制度を充実させることで、それぞれの専門性や能力を最大限に発揮し、生き生きと働ける環境づくりを推進しています。
人事制度一覧
柔軟な働き方の支援
●働く「時間」と「場所」に関する制度
フレックスタイム制度 | スーパーフレックスタイム制度 |
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1カ月以内の一定期間の総労働時間を予め定めており、社員がその範囲内で各日の始業・終業時刻を選択して働く制度です。 | 通常のフレックスタイム制度からコアタイム(11時~15時)を廃止。1日の最低勤務時間を1時間とし、5時~22時までの間で出退社時間を自由に設定できる制度です。 |
ノー残業デー | 在宅勤務制度 |
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時間外勤務時間削減のため、各部署において任意の曜日をノー残業デーとして、定時退社を心掛けるよう推奨しています。 | 会社が認める範囲内で在宅勤務を活用することができる制度です。働く場所の選択肢を増やすことで労働生産性の向上を図ることを目的としています。 |
●休暇取得に関する制度
時間単位の年次有給休暇制度 | リフレッシュ休暇取得奨励金制度 |
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1時間単位で有給休暇が取得できる制度です。年間5日分の年次有給休暇を1時間単位に分割して取得することができます。 | リフレッシュを目的とした年次有給休暇を5営業日連続で取得した場合に奨励金を支給する制度です。1年間に一人一回利用でき、支給対象はリフレッシュを目的としたレジャー関連費用(交通費・宿泊費・飲食費などで、同行した家族や友人の分を含むことも可)としており、奨励金の確実な消費を促しています。 |
ボランティア休暇制度 |
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社員がボランティアや社会貢献活動を行う際に取得可能な休暇・休職制度です。 |
●キャリアの継続を支援する制度
キャリアセレクト制度 | 配偶者転勤エリア変更制度 |
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育児や介護などの理由により、現在の職種・等級に求められる役割・成果責任の発揮が困難になった際、本人の希望に合わせて一時的に役割を限定した職種・等級へ転換できる制度です。本制度は本人の希望により元の職種・等級に再転換することも可能です。 | 地域限定型社員が配偶者の転勤により、現エリアでの就業が困難な場合、勤務エリアの変更を認める制度です。 |
配偶者転勤休職制度 | カムバック再雇用制度 |
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配偶者の転勤に伴い、転居先でのエリア変更による就業が困難な場合、最大5年間の休職を認める制度です。 | 退職者が、退職時の理由を問わず(転職による退職も可)、再入社したい旨を応募できる制度です。再雇用時の職種・等級は、退職時と同等以上を保証します。 |
両立支援(出産・育児・介護)
妊娠・出産支援
●勤務時間に関する制度
妊娠期の短時間勤務制度 | 産前時差勤務制度 |
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産前休暇前日まで1日最大2時間かつ20分単位の短時間勤務を認める制度です。 | 妊娠中の女性社員は、会社が定める勤務時間に対し、前後1時間の範囲で時差勤務をすることができる制度です。 |
●通院時間に関する制度
産前通院時間制度 | 産後通院時間制度 |
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妊娠中の女性社員が、定期検診等のため通院する場合は、勤務時間内の通院を認め、通院のための時間は有給とする制度です。 | 出産後1年以内の女性社員が、保健指導等のため通院する場合は、勤務時間内の通院を認め、通院のための時間は有給とする制度です。 |
育児支援
下表のように法定以上の制度を整備しています。
制度名称 | 法定 | オリックス | |
---|---|---|---|
出産・育児 | 育児休職制度※1 | 2歳に達するまで | 3歳に達するまで |
育児時間の取得※2 | 1日あたり1時間(無給) | 1日あたり2時間(有給) | |
育児短時間勤務制度 | 3歳未満まで | 小学校卒業まで | |
子の看護休暇 | 年5日(無給) | 年5日、2人以上年10日(有給) | |
その他 | - | 小学校卒業までベビーシッター助成制度あり 育児特別休暇制度 |
- 育児休職の取得期間は、通算5年を限度とする。5年を超える育児休職を取得する場合は、該当子の育児休職期間は法定どおり。
- 育児時間の取得は、子が1歳に達する前に復職する社員が対象。
●育児支援に関する制度
育児休職制度 | 育児特別休暇制度 |
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原則、子供が満3歳まで取得を認める制度です。同一の子供についての育児休職は2回まで分割取得ができます。ただし第2子以降に育児休職を取得する場合は、通算で5年を限度とします。 | 0歳児の子を養育する社員で、当該子での育児休職を取得していない社員に対して、特別休暇を付与する制度です(有給、半日単位の分散取得可)。 |
出生時育児休職(産後パパ育休) | 育児時間の取得 |
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育児休職とは別に、産後8週間以内に4週間を限度として取得できる休職制度です。同一の子供について2回まで分割取得ができます。 | 子が満1歳になる前に復職する社員が対象で、子が満1歳まで1日最大2時間取得を認める制度です。 |
育児短時間勤務制度 | 子の看護休暇制度 |
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子が小学校卒業まで最大2時間取得を認める制度です。管理職も利用が可能です。 | 小学校就学の始期に達するまでの子供を養育する社員は、子供が病気、怪我をした場合、世話をするために、1年間につき5日(ただし、小学校就学の始期に達するまでの子供を2人以上養育する場合は年間10日)を限度として有給で看護休暇を受けることができます。午前・午後と半休での使用も可能です。 |
ベビーシッター助成制度 |
---|
保育施設の代わりに提携ベビーシッター派遣会社を利用する場合、一定の補助が受けられる制度です。12才以下の子供を養育する為であれば、男女関わらず、配偶者が無職の場合であっても利用が認められます。 |
介護支援
下表のように法定以上の制度を整備しています。
制度名称 | 法定 | オリックス | |
---|---|---|---|
介護 | 介護休職制度 | 93日 | 6か月 |
介護休暇制度 | - | 年5日、2人以上年10日(有給) | |
介護短時間勤務制度 | - | 1日最大2時間※、対象家族一人あたり3年間(分割取得可) |
グループ各社の取り組み
大京アステージ、穴吹コミュニティ、オリックス・ファシリティーズ
大京アステージ、穴吹コミュニティ、オリックス・ファシリティーズでは、マンションやビル管理、施工管理の現場で、多くの高齢者を採用しています。マンションの管理員では、全体の92.6%にあたる6,810名が60歳以上、そのうち5,964名が65歳以上です。管理員の多くはさまざまな業界での勤務経験を持っており、これまで培ってきた強みや経験を生かして活躍しています。
※ 2024年4月1日時点の実績(管理員総数7,356名中、60歳以上が6,810名)
オリックス生命
2021年4月に、プロフェッショナル人材の確保・育成に向けて、人事制度を改定しました。
従来は、管理職になることがキャリアアップの最大要因でしたが、専門性を発揮し成果をあげることで管理職と同等の評価や報酬が得られる「エキスパート職」を新設しました。これにより管理職にならなくても専門性の向上を通じてキャリアアップを実現することが可能になりました。
一般職(スタッフ職等)を廃止し、総合職(アソシエイト職)へ統合しました。職種により業務範囲を限定していた制度を見直し、社員の能力に応じた職務を割り当てることで、多様な人材がキャリアアップを目指せる制度へと変更しました。
社員の価値観の多様化や、子育てや介護などの家庭事情との両立ニーズを踏まえ、「勤務地(全国型・地域限定型)」を毎年選択可能にしました。全国型を選択した社員は、東京・大阪・長崎のいずれかを「本拠地」として設定の上、原則本拠地エリアでの勤務とし、会社都合により本拠地エリア外での勤務となる場合には、年額最大240万円の遠隔地手当を支給します。