応募の傾向【働くパパママ川柳】

2017年にスタートした「オリックス 働くパパママ川柳」。過去の応募作品には、その時々の流行や社会的な出来事が色濃く反映されています。時流を反映した応募作品の振り返りと、応募者層の分析をご紹介します。

仕事と子育てを取り巻く景色はこんなに変わった
「オリックス 働くパパママ川柳」
分析レポート
約50万句の川柳から見える
「新しい家族のカタチ」
~パパ育休やじぃじばぁば参画が増加、AIは相談役に?~

働きながらの子育てに奮闘するパパとママ、家族の日常をテーマとする「オリックス 働くパパママ川柳」。2017年から毎年開催し、2026年2月17日(火)より第10回の募集を開始しました。
このたび第10回の開催を機に、過去9年間にわたり蓄積された応募作品(約50万句)を通して、仕事と子育てを取り巻く環境変化を分析。その結果から見えてきたのは、便利なサービスやテクノロジーを活用して時間を生み出し、家族のリソースを総動員して仕事と子育てを両立する「新しい家族のカタチ」でした。

■ 分析サマリー:川柳が映し出す、働きながらの子育て「3つの進化フェーズ」

江戸中期の発祥以降、約270年間にわたり多くの人々に親しまれてきた「川柳」。日常の出来事や時代の潮流をユーモラスに表現する文芸であり、過去の川柳を通して、作品が生まれた当時の社会的背景を知ることができます。

「オリックス 働くパパママ川柳」においても、9年間の応募作品を分析すると、働きながらの子育てを取り巻く環境が大きく3つのフェーズを経て変化してきたことがわかります。また、かつての「ママへの負担の偏り」への気づきを経て、現在はパパママ・祖父母世代・地域の人々などがチームを組んで育児に向き合うスタイルが徐々に広がりつつあることが見て取れます。

一方で、今もなお仕事と子育てに孤軍奮闘する家庭が少なくないことも事実です。これからの少子高齢化社会においては、テクノロジーの活用による負担軽減や周囲の力を上手く借りるための仕組みの拡充が求められます。そして、パパママだけが家庭の問題として育児を抱え込む時代は終わり、「社会全体で子どもを育てる時代」が到来することが期待されます。

<分析対象>
「オリックス 働くパパママ川柳」第1回~第9回(2017年~2025年)の応募作品(約50万句)
※受賞作品は、「オリックス 働くパパママ川柳」ウェブサイトにてご覧いただけます。

■応募作品キーワード別分析

「オリックス 働くパパママ川柳」の第1回・第2回(2017年・2018年)と第8回・第9回(2024年・2025年)の応募作品を対象に、「テレワーク」「AI」「じぃじばぁば(祖父母)」「パパ育休」「タイパ」など、時代を象徴するキーワードの出現回数を比較・分析。働くパパママを取り巻く環境は、「孤独な奮闘」から「柔軟な連携」へと徐々にシフトしてきていることが見受けられます。

※ 各キーワードの出現回数は、関連する意味をもつキーワードの出現回数を合算した数値となります。
例:「テレワーク」はリモート・ウェブ会議・在宅など。「EC/宅配」はUber・配達・デリバリーなど。
※ 「パパ育休」は、「応募者が男性かつ『育休』関連キーワードを含むもの」と「男性を意味する語(パパ、夫など)と『育休』関連キーワードを両方含むもの」を合算し、重複を除外した数値となります。

●「パパ育休」「じぃじばぁば(祖父母)」が増加し、「チーム育児」が浸透
第1回・第2回(2017年・2018年)と第8回・第9回(2024年・2025年)の応募作品を比較すると、「パパ育休」「じぃじばぁば(祖父母)」の出現回数が増えていることがわかりました。

男性の育休取得促進を目的とした「育児・介護休業法」の改正やコロナ禍を経た働き方の変化の影響から、主体的に子育てに取り組むパパが増加したことが見て取れます。また、人生100年時代と言われる中で、孫のお世話や地域の子どもの見守りで活躍する祖父母世代を表現した句も増え、「チーム育児」が社会に定着してきたことが推察されます。

◆パパ育休
以前は育休に対するネガティブな感情が表現された句が目立っていたところ、近年の応募作品からは、男性も含めて育休の取得が定着しつつあることがうかがえます。

「育休を とれば不倫を 疑われ」(2017・受賞句)「育休も 三回目には そっと出し」(2020・受賞句)
「パパ育休 リスキリングは 家事スキル」(2023・受賞句)
「育休の 挨拶メール いいね押す」(2024・受賞句)
「育休は 「取るの?」じゃなくて 「取らないの?」」(2025・受賞句)

◆じぃじばぁば(祖父母)
定年退職後に孫のお世話や地域の子どもの見守りで活躍する様子を表現した句や、祖父母世代への感謝を表現した句も多く見られました。

「ありがとう いつも元気な 婆婆ルンバ」(2018・受賞句)
「コロナでも リモートできぬ 孫の守り」(2021・受賞句)
「ベビーカーを 操っている 返納後」(2023・受賞句)「団塊が 少子世代の 見守り隊」(2023・受賞句)
「定年を 待っていたのは 孫と嫁」(2023・受賞句)「初登園 SPばりの 祖父母たち」(2024・受賞句)

●「テレワーク」で増えた家族時間、「タイパ」を向上させるテクノロジー
「テレワーク」に言及した句は、コロナ禍を経て急増。また、「AI」「EC/宅配」「タイパ」といった言葉も多く見られるようになり、便利なサービスやテクノロジーを賢く活用して時間を生み出すスタイルが、現代の子育て世代のスタンダードになりつつあることが見て取れます。

◆テレワーク
コロナ禍で浸透し、近年は子どもの体調不良時などに活用されていることがうかがえます。

「テレワーク 九九の呼吸が 漏れ聞こえ」(2021・受賞句)
「テレワーク ママより仕事 楽と知る」(2021・受賞句)
「子発熱 明日はどっちが テレワーク」(2025・受賞句)

◆AI
AIは効率化の手段としてだけでなく、時には相談相手としても機能していることがわかります。

「AIで 生成願う ママ時間」(2024・受賞句)「AIに 育児の悩み 相談し」(2024・その他)
「連絡帳 AI使うも 愛はある」(2025・その他)「ワンオペで はなし相手は GPT」(2025・その他)

◆EC/宅配
コロナ禍で浸透したECや宅配サービスが、働きながらの子育てで活用されていることがわかります。

「Uberで 届けてほしい 離乳食」(2020・受賞句)
「ウーバーで 持続可能な ママの家事」(2022・受賞句)「宅配食 共働きの 救世主」(2025・その他)

◆タイパ
家事の「タイパ」を向上させることで、家族と過ごす時間を大切にしたいという思いが見て取れます。

「朝タイパ お昼弁当 夜コスパ」(2023・受賞句)
「タイパより スローで見たい 子の寝顔」(2024・受賞句)
「ワーママは タイパ家電で 時を生む」(2025・その他)

■時系列での応募作品内容分析

【フェーズ1:~2019年】負担の気づき期「育児は女性だけのもの?」

この時期は、「働き方改革」が叫ばれ始めたものの、家庭内ではママへの負担偏重が顕著でした。

2016年には「保育園落ちた日本死ね」が新語・流行語大賞トップ10入りし、メディアでも「待機児童」や「ワンオペ育児」といった問題が多く取り上げられました。働きながらの子育てに関する課題が社会的に可視化された時期といえます。「育児は女性だけの問題なのか?」という、女性に偏りがちな育児負担への疑問が顕在化していました。

「オリックス 働くパパママ川柳」においても、第1回大賞に選ばれたのは「カバンには パソコンスマホ 紙おむつ」で、仕事と育児を同時に担うママの切迫感が強く表れています。パパ目線の川柳では、仕事や社会生活の合間にできることに取り組もうとする姿が多く描写されましたが、まだまだ試行錯誤の段階。社会全体で「このままではいけない」という気づきが生まれ、次のステップへ進むための重要な転換期となりました。

また「待機児童」問題に伴い、保育園の入園ハードルの高さが描写された応募作品も目立ちました。

「初詣 合格祈る 保育園」(2017・その他)「目の前に あるのに遠い 保育園」(2017・その他)
「公園は ライバルばかり 保活中」(2018・受賞句)

【フェーズ2:2020~2022年】家庭内シェア再構築期「パパママで分担しよう」

2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行により、社会は一変。「テレワーク」や「フードデリバリーサービス」など、新しい生活様式が急速に浸透しました。物理的に家族が家で過ごす時間が増えたことで、「名もなき家事」への注目や、家事・育児に関する分担の見直しが加速していきました。

「オリックス 働くパパママ川柳」においても、パパの日常に「子育て」が組み込まれ、仕事と子育ての両立に奮闘するシーンが描写された句が目立つようになりました。

2020年には、パパのさらなる家事分担への期待をよむ句「イクメンは 名もなき家事が できてから」が大賞を受賞。2022年の第6回では、一般の方々からの投票で決定する「みんなで選ぶ共感賞」を発表し、36歳男性が「自身の子育てへの自戒の念を込めてよんだ」という句「手は出さず口出す夫 うっせぇわ」が共感を集めました。この時期の応募作品からは、家事・育児におけるパパの役割が変化し、「お手伝い」から「主戦力」へとシフトする様子が見て取れます。

また、コロナ禍ならではの子育ての描写や心の葛藤が表現された句も多く寄せられました。

「コロナ禍で ママ友ゼロの 初育児」(2021・受賞句)
「「おかえり」と 駆け寄るパパは 除菌中」(2021・受賞句)
「第2波で 産まれた我が子 5波で立つ」(2022・受賞句)

【フェーズ3:2023年~】チーム育児期「家族のリソースを総動員して子育てに向き合う」

直近数年で「パパ育休」への注目は急速に高まり、取得率も2017年度の5.14%から2024年度は40.5%まで上昇※しました。

「オリックス 働くパパママ川柳」においても、「パパ育休」への言及が増え、かつての「とるだけ育休」といった課題を徐々に乗り越え、主体的に子育てを楽しむパパの姿が定着しつつあります。2023年の受賞作品からは、育休中に家事スキルに磨きをかけたパパが、仕事に復帰した後も家事と仕事を「二刀流」でこなす姿が想起されます。
ほかにも男性の育児が特別なことではなく「日常の一コマ」としてよまれる句が多数寄せられ、2023年~2025年にかけて3年連続で男性からの応募作品数が過去最多を更新。夫婦で協力し合いながら子育てに取り組む様子が自然に描写されています。

外部環境の変化に着目すると、2023年ごろから米不足や物価高が家庭を直撃して、生活の苦しさへの不満や物価高を耐え忍ぶ様子を表現した句が多数寄せられました。
また生成AIの普及に伴い、暮らしにも積極的にAIを活用する様子が描かれ、レシピ考案などの家事のサポート役、悩みや愚痴の話し相手、子どもをあやす子守役など、さまざまな活用シーンが描写されています。

パパママを中心に、時にはじぃじばぁばのサポートを受けながら、AI・便利家電・デリバリーサービスなどもフル活用。家族のリソースを総動員して子育てに向き合う「チーム育児」のスタイルが浸透しつつあることが見て取れます。

「物価高 かさ増しレシピ 命綱」(2023・その他)
「働けど オムツに消える 物価高」(2024・受賞句)
「パン食も 慣れてきました 米高値」(2025・その他)

「AIで ゆうげのレシピ もう決まり」(2024・その他)
「AIに 育児の悩み 相談し」(2024・その他)「連絡帳 AI使うも 愛はある」(2025・その他)
「悩み事 話す相手は AIに」(2025・その他)
「AIが パパより上手く 読み聞かせ」(2025・その他)
「AIに 子守を頼む ウェブ会議」(2025・その他)

「戦友と 交わす盃 就寝後」(2023・受賞句)

「ママ帰るまで ママになる ママのママ」(2023・受賞句)
「ブギウギで バアバハッスル 孫の世話」(2024・受賞句)

※厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」

【フェーズ4:20XX年~】社会全体で子どもを育てる時代へ

これまでの「チーム育児」がさらに進化し、社会全体で子どもを育てる動きが加速すると予想されます。AIが「育児の相棒」として子どもの才能を見いだしたり、シッターや地域の人々など周囲の力を上手く借りるための仕組みが広がったり、川柳にもすでにその兆候が表れ始めています。少子高齢化や人口減少が課題となる中で、パパママだけが家庭の問題として育児を抱え込む時代は終わり、子育てを担うプレイヤーが多様化していくことが期待されます。

「脱ひとり 家事に育児に ファミサポ道」(2024・その他)
「ファミサポの 利用時間は 愚痴タイム」(2025・その他)
「ファミサポで 心が和む 子の笑顔」(2025・その他)
「案山子(かかし)かと 思えば子ども 見守り隊」(2025・その他)
「徘徊じゃない 地域の子供 見守り隊」(2025・その他)

■参考)「働きながらの子育て」にまつわる社会の動きについて

新聞やウェブメディアなどで多く報道された「働きながらの子育て」にまつわる社会の動きと、川柳の応募作品を照らし合わせると、世の中の潮流が川柳の表現にダイレクトに反映されていることがわかります。

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