ニュースリリース

米国の大手LIHTCシンジケーター、Boston Capitalの運用資産を買収
~当事業の運用資産を拡大し、アセットマネジメント事業を強化~

2020年09月15日

オリックス株式会社

 オリックス株式会社(本社:東京都港区、社長:井上 亮)は、このたび、米国現地法人ORIX Corporation USA(以下「OCU」)傘下のBoston Financial Investment Management(以下「Boston Financial」)を通じて、Boston Financialの同業大手Boston Capital(本社:米国マサチューセッツ州・ボストン、以下「Boston Capital」)が持つLow Income Housing Tax Credit(低所得者用住宅税額控除、以下「LIHTC」)を投資対象とする運用資産を取得することについて合意しましたので、お知らせします。今後、規制当局の承認を経て、取得手続き完了を目指します。

 LIHTCは、1986年に米国連邦政府によって制定された、低所得者用住宅の供給促進を目的とした税額控除プログラムです。低所得者向け賃貸住宅の新設・改修を行う民間ディベロッパーは、一定の条件を満たすことで、政府より10年間の税額控除の権利を付与されます。
 Boston FinancialやBoston CapitalなどのLIHTCシンジケーターは、LIHTCの権利を売却し資金調達を図りたいディベロッパーと、LIHTCを取得することによって税メリットを享受したい投資家のニーズを引き合わせます。

 OCUでは、2016年にLIHTC大手シンジケーターのBoston Financialを買収※1しました。Boston FinancialはLIHTCマーケットのリーダーとして、現在対象物件1,125件、98,110戸から成る総額77億米国ドル(約8,000億円)のLIHTCファンドを運営しています。
 本買収により、Boston Financialの預かり資産残高は、約2倍の150億米国ドル(約1兆6,000億円)と、米国LIHTC業界でトップクラスの資産運用事業者となります。Boston Financialにとって、資産拡大とともに業務効率化やシナジーが期待でき、今後追加の戦略的投資によるさらなるスケールアップを企図できる地位となります。

 LIHTCマーケットは、景気後退の影響を受けにくく、新型コロナウイルス感染症拡大による景気不安という状況下においても安定的な成長が見込まれる、数少ない不動産関連ビジネスの一つです。過去のリーマンショックによる不動産市況下でも、対象物件の担保権行使率は低水準に留まっていました。入居者の多くは、政府の家賃補助受給者であり、一般の賃貸物件に比べて賃料も抑えられていることから、入居率は高く、賃料収入は直近においても安定的に推移しています。

 低所得者向け住宅の継続的な供給のための長期にわたる政府戦略により、ファンドの資産に損失が生じた場合、投資家が負担の義務を負うのではなく、ディベロッパーがその責を負うなどの仕組みがあり、LIHTCプログラムは歴史的にサポートされてきました。

 また米国では法令(地域再投資法)によって、地域金融機関に対して低所得コミュニティへの投融資や金融サービスの提供が求められています。地域金融機関にとっては、LIHTCプログラムへの参画は、法令の要件を充足しつつ、安定的な投資機会の獲得につながることもあり、LIHTCファンドに対する旺盛な投資意欲は引き続き見込まれます。

 OCUは1981年に創業以来、米国で金融サービス事業を展開してきました。長年にわたって不動産ファイナンスビジネスを事業の柱の一つとして手掛けてきたことで、豊富な経験とノウハウ、ネットワークが蓄積され、難しいビジネス環境下にあっても本件のように魅力ある投資機会を獲得しています。シンジケーターとしてのLIHTCプログラムへの参画は、米国の社会課題の一つである低所得者向け賃貸住宅開発の促進を後押しするものであり、社会インフラや地域社会への継続的な貢献を図ります。

 またOCUではこれまでも、Boston Financialのほか、RED Capital Group※2、Lancaster Pollard※3、NXT Capital※4、Hunt Real Estate Capital※5を買収し、米国の集合住宅をコアとした各種不動産ファイナンスビジネスにおいて、豊富かつ健全なポートフォリオを築いています。引き続き、不動産ファイナンス分野において、目利き力を生かした注力事業の深堀りと事業領域拡大の両輪で、強固な地位の確立を目指します。

 オリックスは、OCUを中核に米国での事業拡大を重要な経営戦略と位置づけ、今後も既存事業の拡大と戦略的買収等を通じて、不動産関連ファイナンスやファンド運営、アセットマネジメントサービスを含めた不動産領域における金融ソリューションとアドバイザリーサービスを提供し、米国での多角的な不動産関連事業の拡大を進めてまいります。

※1 2016年7月11日付:米国最大手LIHTCシンジケーターを買収
※2 2010年5月10日付:米国の有力ローン・サービシング会社を買収 PDF文書を開きます。[35KB]
※3 2017年9月14日付:米国でローン組成・サービシング会社を追加買収
※4 2018年7月2日付:米国のローン・アセットマネジメント会社「NXT Capital」の株式取得について PDF文書を開きます。[123KB]
※5 2019年11月5日付:米国の不動産ローン組成・サービシング会社「Hunt Real Estate Capital」を買収

お問い合わせ先

グループ広報・渉外部 金岡・小田 TEL:03-3435-3167

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