「家族も社会も、笑って理解し合えたら」爆笑問題・田中裕二さん

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[Publisher] 朝日新聞デジタル[&M]より転載

5回目を迎えた「オリックス 働くパパママ川柳」には、過去最多となる6万1,813作品が寄せられた。特別審査員を務めた田中裕二さんは、妻の山口もえさんと共に、働きながらの子育てに奮闘中だ。時事ネタを自在に操る笑いの名手が、「共感と発見に満ちている」と評した第5回の受賞句を振り返る。

「第5回オリックス 働くパパママ川柳」受賞句発表はこちら

うなった! 2020年を彩った秀逸フレーズ

今年の大賞は「テレワーク 九九の呼吸が 漏れ聞こえ」。子どものそばで仕事をする日常を、一大ブームを巻き起こしたアニメのパロディを取り入れてよんだ一句だ。「一言で現代を表すフレーズにひかれました。ほかにも〈ソロキャンプ〉〈バンクシー〉〈リモート〉などをうまく取り入れた受賞句が印象に残っています。読みながら、色々と振り返ることができて楽しかったです。2020年、健康問題だけじゃなかったよなと」

田中さんいわく、川柳の面白さは「共感の笑い」にあるという。読み手の気持ちを代弁する句は、毎日の奮闘があるからこそ愉快で、軽やかな笑いを生み出す。「人とのつながりを実感しにくい状況なので、みんなが誰かの共感を得たい気持ちになっていると思います。こういう手段で笑ってつながり合うのって、やっぱり気持ちがいいですよね」

共感と発見が家庭と社会をよりよくする

今回、田中さんを苦笑いさせた句があった。子ども目線賞の「パパがいて ママの仕事が ふえている」だ。どうやらこれは、昨今の田中家のことでもあるらしい。「僕が病気で搬送されて退院した後、しばらく自宅で療養していたんです。これまでやっていた子どもの送り迎えも毎日は行けないし、妻には負担をかけました。忙しくしているのに、妻は常に僕を視界の片隅に入れて気にかけてくれて」。そして、一点を見つめてぼんやりしがちだったという退院当初の田中さんに、元気を取り戻すために、もっと人と関わってみたらとアドバイスをくれたそう。「自分ではまったく気付かなかったので、伝えてくれたことに感謝しています」。伝え合うことは、理解し合うことの第一歩。川柳も、そんなツールの一つだ。わかるわかる!と心が軽くなる共感が得られることに加え、知る由もなかった相手の気持ちに触れて新たな一面を発見することもできる。

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「実は僕、優秀賞の『マスクして 朝の5分を 手に入れた』の句がピンとこなかったんです。審査会でメークのことだと知って、なるほど!とひざを打ちました。妻が忙しくしているのは毎朝見ているし、助け合いたいとも思ってきたけれど、5分の切実さを知ると本当に頭が下がりますね。そういう男性は多いと思いますよ」。家族間で夫が妻を理解するだけでなく、妻や子どもにもそんな発見がありそうだ。例えば佳作の「お帰りを 言える嬉しさ テレワーク」、と田中さん。「これは女性の作品でしたが、僕はパパもこういう気持ちだと思うんです。この公募川柳は働きながらの子育てに関わるみんなの胸中を、さまざまな角度から見ることができますよね。共感と発見は、家族と社会をちょっといい方向に変えていくはずです」

家族との時間をもっと楽しむために

新しい生活様式が実践されるようになり、仕事をする場に変化が生じた。当面は在宅勤務を継続するという人も、少なくないだろう。働くパパとママが家族との時間をより充実させるには、どんな工夫が必要だろうか。田中さんはまず、子どもときちんと向き合って遊んでみてはと提案する。手本は、優秀賞の「会社では 守った首も 子に斬られ」だ。

「僕も最近は毎日、スポーツチャンバラの刀でメッタ斬りにされています。皆さん、自分だけではありません。ここは腹を決めて斬られましょう(笑)。ただ時々、親の趣味に引き込んでみるのもいいかもしれません。僕は子どもに猫好きになってほしくて、かわいい猫動画をよく見せているんです。あとは、野球観戦や『スター・ウォーズ』も好きで、その面白さと奥深さを伝えています。今のところ反応は悪くないので、これからが楽しみです」

家族の笑いにつながるコンテンツはもちろん、お互いが好きなものをシェアして共通項を増やしていく――。田中さんのほほえましくも緻密(ちみつ)な計画は、家族との時間をいつまでも楽しみ、充実させるためのヒントになりそうだ。

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【プロフィール】

田中裕二(たなか・ゆうじ)
1965年東京都生まれ。88年にお笑いコンビ「爆笑問題」を結成。以後ライブをはじめ、テレビやラジオ番組で人気を博す。2015年に山口もえさんと結婚。17年に「イクメン オブ ザ イヤー」を受賞した。 13歳、10歳、3歳の3児の父。

http://www.titan-net.co.jp/talent/bakushomondai/



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