保険事業 オリックス生命保険 社長メッセージ

片岡 一則

社会的使命を果たしながら、
オリックスグループの持続的な
成長に貢献

オリックス生命保険株式会社
代表取締役社長
片岡 一則

オリックスグループを支える生命保険事業

オリックスグループには、多様な事業があります。国内での金融や不動産ビジネスに加え、グローバルな事業投資やアセットマネジメント事業も展開しています。その中で生命保険事業は、お客さまとの長期的な関係を基盤とし、安定的な収益を生み出すという特徴を持っています。

私は、この特性こそがオリックスグループにおける生命保険事業の重要な役割だと考えています。成長を追求する事業と、安定的な収益を生み出す事業の両方があることで、グループ全体の持続的な成長が支えられるからです。

一方で、安定した事業だからこそ、変化を恐れてはいけないとも考えています。お客さまに長期にわたり保障を提供し続け、保険金・給付金をお支払いする責任を確実に果たしていくためには、将来を見据えて事業モデルを進化させ続ける必要があります。実際にオリックス生命は、これまでも環境変化に対応しながら事業モデルを変革してきました。私は、お客さまへの責任を果たし続けるためにこそ、変わり続けなければならないと考えています。

生命保険会社としての社会的使命を果たしながら、安定的な利益創出と健全な財務基盤を通じてオリックスグループの持続的な成長に貢献していく。そのことが、私たちに求められる役割であり、オリックス生命が目指す姿です。

将来の収益基盤をつくる

オリックス生命は、長年にわたり医療保険を中心に成長してきました。2006年に医療保険「キュア」を発売して以降、個人保障分野での事業基盤を拡大し、多い年には70万件を超える新契約を獲得しました。多くのお客さまにとって、オリックス生命は「医療保険の会社」という印象が強いかもしれません。それは、私たちがこの領域で事業基盤を築いてきた結果でもあります。しかし私は、この成功体験に安住していては、将来の成長は難しいと考えていました。

医療保険は、身近なリスクに備える保障として、お客さまにとってわかりやすく、ニーズの高い商品です。一方で、比較的小口の契約を数多く販売するビジネスモデルであり、競争が激しくなるほど収益性は低下しやすくなります。また、掛け捨て型の商品が中心であるため、保険料収入は得られても、将来の運用収益につながる資産が十分に積み上がりにくいという課題がありました。金利のある世界が戻ってきた時に、その恩恵を十分に取り込めないのではないか。私はそこに強い問題意識を持っていました。

そこで私たちは、2017年頃から、医療保険中心の事業モデルから、終身保険を軸とする死亡保障領域へと大きく舵を切りました。目指したのは、契約件数を追い続ける成長ではありません。保険料収入を伸ばし、同時に資産を積み上げることで、将来の運用収益につながる事業構造をつくることでした。

この転換は、当社にとって大きな経営判断でした。短期的な成果よりも将来の成長基盤を優先するという決断であり、医療保険で成長してきた当社にとって、新契約件数の減少を伴う戦略転換には相当の覚悟を要しました。実際、新契約件数はピーク時の約71万件から、直近では約19万件まで減少しました。しかし、一契約当たりの保険料は上昇し、収入保険料と総資産は着実に拡大しています。

特に重要なのは、総資産の拡大が運用収益の成長につながっていることです。保険会社は、保障を提供する会社であると同時に、長期にわたり資産を運用する会社でもあります。資産を積み上げるだけでは十分ではありません。その資産をどのように運用し、収益につなげるかが、生命保険会社の競争力を左右します。

そのため私たちは、商品戦略の転換と並行して、資産運用体制の高度化にも取り組んできました。外部から運用の専門人材を招聘し、資産運用本部の体制を見直すとともに、従来の債券中心の運用から、より多様な運用手法へと幅を広げています。現在では総資産の約10%をオルタナティブ投資に配分し、オリックスのグループ会社であるRobecoやORIX USAとも連携しながら、運用力の強化を進めています。

こうした取り組みの結果、運用収益は大きく伸び、2026年3月期にはセグメント利益が1,000億円を超える水準に到達しました。これは、単に金利環境が変わったから実現したものではありません。資産が積み上がる商品へ転換し、その資産を運用する体制を整えてきたことが、ようやく成果として表れてきたものだと受け止めています。

オリックス生命が目指しているのは、過去の成功モデルを守り続けることではありません。お客さまに必要な保障を提供しながら、保険収益と運用収益の両輪で成長できる事業基盤をつくることです。医療保険で培った顧客基盤とブランドを大切にしつつ、将来の収益力を高めるために事業モデルを進化させる。私は、この転換こそが、オリックス生命の次の成長を支える最も重要な基盤になると考えています。

次の成長ステージへ

商品戦略の転換と資産運用力の強化によって、オリックス生命は保険収益と運用収益の両面で収益基盤を高めてきました。次に私たちが取り組むべき課題は、この基盤をさらに成長させ、長期的な企業価値の向上につなげていくことです。

そのために重要になるのが、成長領域への経営資源の配分です。私たちが注目しているのは、法人マーケットと富裕層マーケットです。これらの領域では、保障ニーズに加え、資産形成や次世代への承継など、お客さまの多様なニーズにお応えすることができます。また、一契約当たりの保険料規模も大きく、保険収益と運用収益の双方の成長につながる契約ポートフォリオの構築が可能となります。こうした領域に重点的に取り組むことで、将来の収益基盤をさらに強固なものにしていきたいと考えています。

片岡 一則

私は、生命保険会社の価値を考える上で、単年度の利益だけを見るべきではないと考えています。
生命保険事業は長期にわたる契約を積み上げる事業であり、将来にわたって生み出される価値をいかに高めていくかが経営の本質です。その意味で、Embedded Value(EV)を継続的に伸ばしていくことは、オリックス生命の経営における大きなテーマです。

一方で、生命保険会社にはお客さまへの保障責任を長期にわたって果たす使命があります。そのため、健全性を維持することは何よりも大切です。当社は十分なソルベンシー・マージン比率を確保しており、財務の健全性という点では高い水準を維持しています。

その上で、健全性を維持するだけでなく、資本を有効に活用しながら企業価値を高めていくことも欠かせません。生命保険事業はグループの他事業と同じ尺度だけで語ることはできませんが、オリックスグループの一員として、ROEを含む資本効率もこれまで以上に意識した経営を進めていきたいと考えています。

EVの成長、安定的な利益創出、そして資本の有効活用を通じて、オリックス生命の企業価値を高めていくこと。それが、次の成長ステージに向けた私たちの挑戦です。

構造改革が支える次の成長

私が現在、最も大きな変革の可能性を感じているのがAIです。

生命保険会社は、お客さまへの保障を提供し続けるために、契約管理や保険金支払い査定など、多くのオペレーションを担っています。これまでもデジタル化を進めてきましたが、人による判断や確認が必要な業務は依然として数多く残っています。

一方で、生成AIをはじめとする技術の進化によって、これまで自動化が難しかった業務にも大きな変革の可能性が見えてきました。私たちは支払査定やコンタクトセンター業務などを中心にAIの導入に取り組んでおり、単なる業務効率化ではなく、業務プロセスそのものの見直しを進めています。

私は、AIはコスト削減のためだけに導入するものではないと考えています。重要なのは、人が本来担うべき業務に経営資源を集中することです。定型業務や事務作業を効率化することで、お客さまとの接点や商品開発、より高度な判断が求められる業務に人材を振り向けることができるようになります。

オリックス生命はこれまでも、事業環境の変化に合わせて事業モデルを進化させてきました。医療保険中心の事業モデルからの転換、資産運用力の強化、企業価値向上に向けた取り組み。その延長線上にあるのが、AIを活用した構造改革です。

生命保険会社に求められる役割は、今後も変わりません。お客さまに安心を提供し続けることです。その使命を果たし続けるために、私たちは変化を恐れず、事業モデルや業務運営を進化させていきます。そして、お客さまや社会への提供価値を高めることで、オリックスグループの持続的な成長に貢献していきたいと考えています。