インフラ事業 COOメッセージ

挑戦のDNAを活かし、
インフラ事業を
次の成長ステージへ
取締役 兼 専務執行役
インフラ事業部門COO
入江 修二
挑戦する力を成長の原動力に
私がインフラ事業部門のCOOに就任して強く感じているのは、オリックスが本来持っている挑戦する力を、もう一段引き出していく必要があるということです。
オリックスはこれまで、他社が手掛けていない領域や新しい市場に果敢に挑戦し、その経験を次の成長へとつなげながら発展してきました。関西3空港のコンセッション事業や大阪IRも、その延長線上にあります。誰もが様子を見る局面で一歩踏み出し、自ら市場を切り拓いてきたことこそが、オリックスのDNAだと考えています。
私は、成長を阻害する最大の要因は、失敗そのものではなく「機会損失」だと考えています。案件を見送れば損失は表面化しません。しかし、挑戦しなかったことで失われる経験や将来の成長機会は決して小さくありません。リスクを適切に見極めながら、良いリスクを取り、挑戦を重ねていくことが重要です。その積み重ねが、新たな事業機会を生み、次の成長へとつながっていくのです。こうした考え方は、オリックスのビジネスモデルそのものにも表れています。オリックスの強みは、自らのバランスシートを活用し、新たな投資機会を創出できることにあります。新しい市場や事業領域において自らリスクを取り、事業を育て、その過程で得た知見やノウハウを蓄積してきました。私は、この「まず自ら挑戦する」という姿勢こそが、オリックスらしさの源泉だと考えています。
インフラ事業部門は、環境エネルギー、輸送機器、不動産、公共インフラ、大阪IRなど、多様な実物資産を扱う事業で構成されています。それぞれ異なる事業でありながら、「投資機会を見極める」「価値を高める」「運営を通じて収益力を向上させる」という本質は共通しています。また、いずれも長期的な需要に支えられた実物資産であり、安定したキャッシュフローを生み出せる点にも特徴があります。
今回、インフラ事業部門を設立した目的は、各事業を単に束ねることではありません。各事業が培ってきた知見や人材、投資ノウハウを結集し、インフラ事業全体として新たな価値を創出することにあります。各事業で蓄積した知見や人材を横断的に活用しながら、インフラ事業全体を一つのプラットフォームとして運営し、持続的な成長につなげていきます。

「アセットマネジメント化」を成長のエンジンに
インフラ事業部門の成長を考える上で、私が重要だと考えているのが「アセットマネジメント化」です。その目的は、単にフィー収入を増やすことではありません。私たちが目指しているのは、より多くの投資機会を取り込み、事業成長を加速できる仕組みを構築することです。
これまでオリックスは、自らのバランスシートを活用してリスクを取り、資産や事業の価値を高めることで、多様な事業基盤と専門性を築いてきました。一方で、インフラ資産を取り巻く投資機会は今後さらに広がっていきます。オリックスのバランスシートだけで対応しようとすれば、取り込める投資機会には限界があります。そこで重要になるのが、投資家の資金も活用しながら成長機会を拡大していく仕組みです。オリックスが創出した案件に外部資金を呼び込みながら、運営や価値向上を通じて資産価値を高めていく。アセットマネジメント化は、より大きな投資機会を実現し、事業成長を加速させるための重要な手段だと考えています。
また、アセットマネジメント化によって案件が増えれば、経験も蓄積されます。運用資産が増えれば価値向上のノウハウも磨かれます。投資家との接点が広がれば、新たな情報や機会も集まりやすくなります。その蓄積は、人材や組織の成長にもつながります。
そして、アセットマネジメント化を進める上では、投資家との長期的な関係構築も重要です。私たちは投資家を単なる資金提供者としてではなく、共存共栄のパートナーとして向き合っていきたいと考えています。利益を独占するのでもなく、リスクを押し付けるのでもなく、それぞれのリスク許容度や期待利回りに応じた価値を提供しながら、長期的な信頼関係を築いていくことが重要だと考えています。
変化の中に投資機会を見出し、価値を創出する力
2035年3月期の「純利益1兆円」「ROE15%」という目標の実現には、これまで以上に新たな投資機会を取り込みながら、事業規模と収益性の双方を拡大していくことが重要です。
インフラ事業を取り巻く環境は大きく変化しています。インフレや金利上昇、建設コストの上昇は、多くの事業にとって逆風として捉えられています。しかし重要なのは、その変化を単なるリスクとして見るのではなく、新たな投資機会としても捉えることです。
例えば不動産市場では、建設コスト上昇の影響で新規供給が抑制される一方、既存資産の価値向上余地が広がっています。用途変更やリノベーションなどを通じて資産価値を高める機会も増えています。金利が上がったから投資を控えるのではなく、その環境の中でどのように価値を創出していくかが重要だと考えています。

また、中長期的な社会構造の変化も新たな投資機会を生み出しています。エネルギー転換の進展やAIの普及に伴う電力需要の増加は、その代表例です。蓄電池やデータセンターなど、私たちが強みを発揮できる隣接領域にも大きな可能性があります。
私たちは、全く未知の領域へ無秩序に進出するつもりはありません。基本は、自らの強みを生かせる隣接領域への拡張です。市場の成長性があり、私たちが価値を創出できる領域であれば、積極的に挑戦していく。その積み重ねが、新たな成長機会につながると考えています。大阪IRは、こうした挑戦を象徴するプロジェクトの一つです。実物資産への投資、事業運営、パートナーとの協業など、これまでさまざまな事業で培ってきた知見や経験を結集しながら、長期的な視点で新たな価値創出に挑戦しています。
アセットを横断できる人材を競争力に
インフラ事業部門の一体運営を進めていく上で、最も重要な資産は人材だと考えています。

変化の中で新たな機会を捉え続けるには、領域を超えて活躍できる人材の育成が欠かせません。今後は、それぞれの分野で専門性を深めるだけでなく、複数のアセットを理解し、横断的に考えられる人材がますます重要になります。資産ごとに特性は異なりますが、投資判断、価値向上、運営、投資家への提供といった基本構造には共通する部分があります。複数のアセットを経験すると、自分が培ってきた知見を別の領域にどう応用できるかが見えてきます。関西3空港のように、航空機、不動産、公共インフラ運営、海外企業との連携など複数の要素が重なる案件では、そうした経験の幅が大きな力になります。
私は、人材は実際の経験を通じて育つものだと考えています。挑戦の機会が増えれば経験も増える。経験が増えれば知見が蓄積される。その知見が次の投資機会を生み出し、さらなる成長につながる。この好循環を生み出すことが、組織の競争力を高める上で何より重要です。
私自身、これまでさまざまな事業や案件に携わる中で、多くの経験を積んできました。その経験を次の世代に伝えながら、若い人材が領域を超えて活躍できる人材へと成長していく姿を見ることは、大きな楽しみの一つです。インフラ事業部門には、多様なアセットを経験しながら視野を広げられる環境があります。そこで育った人材が事業の枠を越えて連携し、新たな価値を創出していく。その積み重ねによって、インフラ事業全体を一つの成長プラットフォームへと進化させていきたいと考えています。