CFO/CSOメッセージ

ハイブリッド型のアセットマネジメント事業モデルへの転換が、
次の成長ステージの基盤になる
取締役 兼 専務執行役
グループCFO、グループCSO
財経部門管掌
山田 正啓
バランスシートとAUMを成長させるハイブリッド型の事業モデルへ
「当期純利益1兆円」「ROE15%」「信用格付A格水準の維持」を同時に実現するためには、バランスシートの拡大だけに依存した成長には制約があります。今後は、成長戦略と財務戦略を一体で考え、資本効率と成長の両立を図っていくことが重要になります。そのため、自己勘定投資による投資利益だけでなく、第三者資金を活用したフィー収益も拡大できるハイブリッド型のアセットマネジメント事業モデルへの転換を進めています。
オリックスはこれまで、投資機会を見出し、自らリスクを取りながら事業価値を高めることで成長してきました。今後はその強みを生かしながら、より資本効率の高い収益構造へと進化し、持続的な成長を実現していきたいと考えています。

投資機会の創出と資産価値の向上がオリックスの強み
アセットマネジメント事業モデルを進めていく上で、オリックスの最大の強みは、投資機会を自ら創り出し、その価値を高めることができる点にあります。アセットマネジメントビジネスでは、投資家にとって魅力的なアセットを継続的に提供できるかどうかが重要です。オリックスは、不動産、再生可能エネルギー、輸送機器、インフラ、プライベートエクイティ、プライベートクレジットなど、幅広い事業を展開しています。こうした事業基盤を通じて、投資家に提供できるオルタナティブ資産を自ら発掘・組成できることが当社の強みであり、日本市場においては非常にユニークな存在であると考えています。
また、自社のバランスシートを活用できることも大きな特徴です。私たちは、自らアセットを創出・バリューアップした後にも第三者資金を呼び込むことができます。このサイクルを自ら回せることが、オリックスのアセットマネジメント事業の大きな優位性につながっています。
私たちは単なる金融プレイヤーではありません。私はオリックスを「金融のマインドセットを持ったオペレーター」だと考えています。不動産であれば開発や運営、再生可能エネルギーであれば発電事業、航空機であればアセット管理やリースなど、事業運営に深く関与しながら価値向上を実現してきました。投資後もハンズオンで事業価値を高めることができる点は、一般的なアセットマネジャーとの差別化要因だと考えています。
国内外で積み上げてきた実績が、アセットマネジメント事業拡大の土台となる
オリックスが目指すアセットマネジメント事業モデルは、決してゼロから構築するものではありません。すでに国内外には土台となる実績があります。
例えば不動産事業では、2025年3月期に国内不動産ファンド「ORIVAⅠ」を組成しました。当初1,000億円規模を想定していましたが、投資家からの強い需要を背景に最終的な資産規模は1,200億円まで拡大しました。これは、オリックスが長年培ってきた不動産投資・運営ノウハウやトラックレコードに対して投資家から評価をいただいた結果だと考えています。
事業投資分野では、カタール投資庁(QIA)と共同で25億米ドル規模の国内プライベートエクイティ投資プラットフォームを立ち上げました。オリックスとして初めての日本市場に特化したPEファンドであり、当社60%、QIA40%の出資により運営しています。国内大型M&A案件への投資機会を拡大するとともに、第三者資金を活用したアセットマネジメントモデルの実践例の一つです。
海外では、米国のNXT※1を中心に自己勘定投資から第三者資金を活用したモデルへの発展を進めてきました。NXTでも、トラックレコードを積み上げながらAUMを拡大し、現在では多様な投資家基盤を持つビジネスモデルへと進化しています。
- NXT Capital Group, LLC
現在、オリックスグループ全体のPrivate Asset AUMは約7兆円です。一方で総資産は約18兆円であり、AUM/総資産比率は0.4倍。他の大手グローバルオルタナティブ資産運用会社A、B、Cと比べると、低い比率にとどまっています。


私は、この状況に大きな可能性を感じています。オリックスにはAUMを成長させる余地がまだ大きく残されていると考えています。
この事業モデルを本格的に発展させていくための施策は明確です。まずはバランスシートの活用に対する全社的な発想の転換です。今後は、投資家資金の活用を前提に事業を考え、案件を組成し、バランスシートを戦略的に活用しながらアセットを育成していく発想が求められます。また、投資家ニーズを起点としたアセットの組成能力をさらに高めていく必要があります。投資家が求めるリスク・リターン特性と、現在オリックスが保有している資産が必ずしも一致するとは限りません。今後は投資家ニーズをより深く理解し、それに応じたアセットクラスや投資機会を創出していくことが重要になります。
さらに、グローバルなディストリビューション体制や投資家基盤の強化を目的として、CRM機能やレポーティング体制、ミドル・バックオフィス機能など、これまで培ってきた運営基盤をさらに高度化し実績を積み上げていきます。
2035年3月期 ROE15%、当期純利益1兆円に向けた挑戦
私は、日本のプライベートアセット市場には大きな可能性があると考えています。世界的に運用資産の多様化が進む中、海外のインフラファンドやソブリンウェルスファンド、年金基金に加え、日本の生命保険会社などもプライベートアセットへの投資を積極化しています。日本市場は海外と比較するとまだ発展途上の段階にありますが、その分、大きな成長余地を有しているとも言えます。
また、当社のように、投資家が求める魅力的なアセットを継続的に創出し、その価値を高めながら投資機会として提供できるプレイヤーは決して多くありません。自ら投資機会を創出し、事業運営を通じて価値を高め、その後に第三者資本を呼び込む。この一連のサイクルを実行できることこそが、当社の大きな競争優位性だと考えています。

投資家から評価される優良なアセットを継続的に創出し、その価値向上を通じて投資家資金を呼び込む。そして、その資金を新たな投資機会へと再投資していく。この好循環を拡大することで、バランスシートとAUMの双方を成長させるハイブリッド型の事業モデルをさらに進化させていきます。
私は、このハイブリッド型のアセットマネジメント事業モデルこそが、オリックスの次の成長ステージを支える重要な基盤になると考えています。そして、「ROE15%」「当期純利益1兆円」「信用格付A格水準の維持」という長期的に目指す姿に向けて挑戦し、持続的な企業価値向上につなげていきます。