欧米事業 COOメッセージ

オリックスならではの
アセットマネジメントの追求
専務執行役
欧米事業部門 COO
ORIX Corporation USA 社長 兼 CEO
鈴木 喜輝
欧米事業部門が担う使命
私は、欧米事業部門に期待されている役割は非常に明確だと思っています。
欧州には、Robeco※1を中心とした株式・債券などの伝統的資産の運用事業があります。米国では、私自身も長く携わってきましたが、自社のバランスシートを活用しながら第三者資金も取り込み、プライベートクレジットや不動産をはじめとするオルタナティブ資産の運用ビジネスを拡大してきました。
- Robeco Institutional Asset Management B.V.(RIAM)
運用会社の中には、伝統的資産あるいはオルタナティブ資産のどちらか一方に特化している会社も少なくありません。しかし、オリックスにはその両方があります。私は、この2つの強みを結び付けることが、オリックスのアセットマネジメント事業をさらに発展させる鍵になると考えています。その実現に向けて、欧州と米国を別々に運営するのではなく、一つの事業部門として運営する必要があります。
以前から、欧州と米国をもっと一体的に運営できないか、という議論はありました。しかし、協業を継続的な成果につなげるためには、組織として一体運営するための仕組みが必要です。そのために、今回、米国と欧州を一つの欧米事業部門として設立しました。欧州と米国では組織や文化が異なります。また、伝統的資産とオルタナティブ資産では、求められる知見や営業手法にも大きな違いがあります。こうした多様な強みを活かしながら協業を促進するためには、それぞれの特性を尊重しつつ連携を深めていく仕組みが不可欠です。欧米事業部門は、そうした協業を支える組織です。
私たちが目指しているのは、単なる地域統合ではありません。欧州と米国が持つ知見やネットワークを結び付け、新たな価値を創出していくことです。
ハイブリッドモデルを成長の原動力に
私は、米国のCEOに就任した2019年から、第三者資金を活用したアセットマネジメント型ビジネスの拡大に取り組んできました。その背景にあるのは、オリックスが長年培ってきた強みです。米国の大手オルタナティブ運用会社の多くは、他人資本の運用からスタートし、その後、自社のバランスシートを持つようになりました。オリックスは逆です。私たちは何十年にもわたり、自らの資金でリスクを取りながら投資を続けてきました。その経験や実績があるからこそ、第三者資金も取り込めると考えたのです。
私はよく、「まず自分たちで投資してみて、その価値を確かめたものを投資家にも提供する」と話をしています。自ら投資していない案件を、投資家にだけ勧めることはありません。また、他社が組成した案件を購入するだけでも事業は成り立ちますが、それでは本当の意味での差別化にはつながりません。自ら案件を発掘し、自ら投資する。そうしたオリジネーションの積み重ねが、オリックスの競争力につながっていると考えています。
また、私たち自身もリスクを負うことで、投資家と同じ目線で運用に取り組むことができます。このアラインメントは、投資家の資金を呼び込む上での差別化要因であり、長期的な信頼関係を築く上でも重要な要素だと考えています。

私が米国でCEOに就任して以降は、こうした強みを活かしながら、第三者資金を活用したアセットマネジメント型ビジネスの拡大に取り組んできました。第三者資金を活用することで、より大きな案件に取り組むことが可能になります。投資収益に加え、運用フィーや成功報酬も獲得できるため、同じ資本でより高いリターンを生み出すことができます。私は、このハイブリッドモデルがROE15%という目標の実現に向けて重要な役割を果たすと考えています。
もちろん、第三者資金の獲得は簡単ではありません。投資家から資金を預かる以上、運用体制やレポーティング、コンプライアンスなど、一つひとつ着実に整えていく必要があります。正直に言えば、思っていた以上に時間はかかりました。しかし、その積み重ねがあったからこそ、ようやく次の成長に向けた道筋が見えてきたと感じています。
米国事業を次の成長ステージへ
米国事業の収益環境については、多くの投資家からご質問をいただいています。
2026年3月期は大幅減益となりましたが、私は米国事業の稼ぐ力そのものが低下したとは考えていません。今回の減益の主因は、ポートフォリオの最適化や過去の遺産の減損処理であり、将来に向けてバランスシートを再構築するための取り組みでした。むしろ、ROE向上に向けた経営基盤の強化に取り組んだ1年だったと捉えています。複数のPE投資先の売却もその取り組みの一つであり、キャピタルリサイクリングの一環です。私たちは規模の拡大だけを追うのではなく、規律ある資本配分を通じて競争優位のある領域へ資本を振り向け、持続的な成長につなげていきたいと考えています。
米国のプライベートクレジット市場では、大手オルタナティブ運用会社が大型案件を追う一方、私たちは中堅企業向け市場に注力してきました。この領域は高い目利き力やネットワークが求められ、長年培ってきた実績やオリジネーション力が、私たちの差別化につながっています。また、今後の成長領域として期待しているのが、アセットベースドレンディング(ABL)です。企業の信用力だけではなく、担保となる資産価値に着目する投融資であり、プライベートクレジット市場の中でも成長が期待される分野です。
その成長を支える重要な存在が、2025年に買収したHilco※2です。Hilcoは約40年にわたり資産評価を手掛けてきた企業であり、その目利き力はABLをはじめとする領域で大きな強みになります。ABLや不動産に共通するのは、実物資産や担保価値に着目する点です。市場環境が変化しても、資産そのものの価値を見極める力があれば、投資家に対して差別化された投資機会を提供できると考えています。
- Hilco Trading, LLC
一方で、ABL市場は拡大が続く一方、競争も激しくなっています。私たちは長年、自らの資金でリスクを取ってきたからこそ、案件を見極める目と規律ある投資判断を今後も変わらず大切にしていきたいと考えています。また、Hilcoが持つ資産価値を見極める力やABLの知見については、オリックスのグローバルネットワークを活かしながら、今後は欧州や日本を含めたAPACへの展開も検討していきたいと考えています。
私たちが目指す方向性は変わっていません。ミドルマーケットで培ってきたオリジネーション力を基盤に、第三者資金を活用するハイブリッドモデルをさらに発展させるとともに、ABLや新たな成長領域を伸ばすことで、米国事業を次の成長ステージへ引き上げていきたいと考えています。
グローバルなアセットマネジメントプラットフォームへ
欧米事業部門の発足によって、私たちは新たな成長機会を手にしました。欧州にはRobecoを中心とした伝統的資産運用の強みがあります。一方、米国ではプライベートクレジットや不動産を中心に、オルタナティブ資産運用の強みを培ってきました。欧米事業部門によって私たちが実現したいことは、大きく5つあります。
第一に、顧客基盤と販売プラットフォームの連携です。欧州と米国それぞれが持つ顧客基盤や商品基盤を活用することで、これまで以上に幅広い投資家層へ商品を届けることができます。
第二に、共同での商品開発です。例えば生命保険会社のような機関投資家は、株式や債券だけでなく、プライベートクレジットや不動産も組み合わせながらポートフォリオ全体を設計しています。こうした投資家に対して、伝統的資産とオルタナティブ資産の双方の知見を生かしたソリューションを提供していきたいと考えています。
第三に、知見やノウハウの共有です。Robecoが持つ伝統的資産運用の知見と、米国が持つプライベート資産運用の知見を結び付けることで、双方の競争力を高めることができます。すでに一部ではプライベートクレジット分野で協働も始まっており、今後さらなる連携が期待できると考えています。
第四に、事業機会の拡大です。米国で培ってきたプライベート資産戦略を欧州へ展開し、新たな成長機会を創出していきたいと考えています。Hilcoを活用したABLや不動産関連のビジネスについても、将来的にはより広い地域で展開できる可能性があります。
そして第五に、欧州事業の成長支援です。米国が持つネットワークや市場知見を活用しながら、欧州事業の特に米国におけるさらなる成長にも貢献していきたいと考えています。
私たちが目指しているのは、欧州と米国を別々に運営することではありません。伝統的資産とオルタナティブ資産の強みを結び付けた、一つのグローバルなアセットマネジメントプラットフォームを築いていくことです。まず欧米で成果を出し、その経験をグループ全体へ広げていく。その積み重ねが、オリックスならではのアセットマネジメントモデルを形づくり、企業価値向上につながると考えています。
