企業文化へ良い影響をもたらすM&Aのために人事部門ができることとは

[Publisher] HR Dive 

この記事はHR DiveのDominique Andrewsが執筆し、Industry Diveの DiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。  

筆者は、英企業ロジカリー社の最高人材活用責任者(CPO)のドミニク・アンドリュース氏による個人的な見解です。

『ハーバード・ビジネス・レビュー』が最近発表したリポートによると企業の合併・買収(M&A)は、全体の70〜90%が失敗に終わっています。M&Aというパズルには数多くのピースがありますが、その成功を左右する決定的要因は企業文化だと言えるかもしれません。実際、二つ(またはそれ以上)のまったく異質な企業文化とワークフローをうまく統合できなければ、重要な人材は不満を抱き、やる気を失い、最終的には他社に転職しようと考えてしまう可能性があります。

しかし、企業の合併によって、必ず企業文化が台無しになるわけではありません。M&Aには混乱や摩擦が生じる可能性が常にありますが、人事の専門家は、従業員がその過程をスムーズに乗り越えるために必要となる知識やツール、インサイトを備えることができます。そして、十分な準備をしていればM&Aのプロセス全体がすべての人にとってより良い体験になる可能性があります。そのヒントをご紹介しましょう。

人事部門の存在感を早期から打ち出し、従業員の味方であることをアピールする

企業がM&Aを発表すると、多くの質問や疑問が飛び交うことになります。そうした疑問に誠実に回答していくことと、人材配置について難しい決断を下さないとならない場面で、質問の背後にいる実際の従業員を優先させることは別のことです。

だからこそ人事部門は、M&Aのプロセスが開始したらすぐに、企業文化を巡る協議に参加する必要があります。従業員の声からM&Aをスムーズに進めるヒントを見出し、初期段階から対応することは、M&Aを成功に導くうえで最も重要な要素の一つです。人事部門が早い段階から協議に参加すれば、「従業員」の課題が、あとからの追加事項とみなされるのではなく、優先的に検討されるようになる可能性が高くなります。

人事部門が存在感を発揮することは、重要な人材を確保するうえでも効果的です。新たに誕生する組織が、その後も発展し続けるために欠かせない人材を失わないよう、人事部門は、移行期間中に、そして新組織としてスタートした後も、従業員が安心して働けるように取り組まなくてはなりません。肝心なのは、人事部門のリーダーたちが従業員の味方であり、新組織の誕生後も疑問があれば頼れる存在であることを、従業員に知ってもらうことです。

企業文化の統合の土台となるタスクフォースを編成する

まずは、二つの企業文化をうまくかみ合わせる役割を担った「タスクフォース」を速やかに編成すべきです。合併に向けて、両社の人事部門の代表者が週一回のペースで顔を合わせ、ワークフローをどう統合し、経営体制をいかに整え、どの福利厚生を継続あるいは廃止すべきか、といったことを話し合う必要があります。最終的なゴールはすべての従業員が心地よく働ける環境を維持することです。

合併の移行期間に入り次第、このタスクフォースは現場で指揮を執ります。買収される企業側の従業員たちが新しい組織の一員となることを助け、日常業務に変更が生じる場合はそのすべてを明確に伝えなくてはなりません。また、従業員は必ずしも積極的にフィードバックをしてくれるわけではありません。つまり人事部門には、従業員が不安や建設的な批判を表明できる場を整える責任があります。合併直後の1カ月ほどは、誰もがオフィスを訪れることができる時間帯を設けたり、個々の従業員と隔週でフィードバックをもらう面談を設けたりしましょう。そうすれば、従業員から不安や疑問を聞き出すことができるでしょう。このように事前に対策を講じておくと、スムーズな移行のベースとなり、問題や企業文化の衝突を早期に発見できるため、のちのち組織が混乱に陥ることが避けられます。

企業の規模と成長速度によって、こうした役割を担うチームやタスクフォースの具体的な顔触れや構成は違ってくるでしょう。どのような形であれ、買収される側の従業員が新組織に円滑に参加できるよう支援するタスクフォースを編成することが賢明です。

買収される側の企業文化を尊重し、そこから学ぶ

重要なのは「統合」です。他社を買収した際に取得できるのは、新しい製品やサービス、顧客、機能だけにとどまりません。ともに働くことになる従業員がどう働き、クライアントとどう対応するのかという貴重な情報も手に入れることができます。新たに仲間入りする従業員たちが、どのような福利厚生を受けているのか、組織をどう構成し、他チームとどのように意思疎通しているのかを理解するようにしましょう。買収する側の企業文化への同化をむやみに求めず、学びを得るよう努めましょう。

買収される側の企業文化、構造、仕事の進め方を徹底的に見直し、うまくいっていることを取り入れつつ、明らかにうまくいっていないことはやめるようにしましょう。そうすれば、買収される側の従業員が、新たな組織でより居心地よく働けるだけでなく、買収する側の人事部門も学び、現行業務をレベルアップさせられる可能性があります。

企業が合併・買収するとき、人事部門にはやるべきことが多々あります。企業文化を重視し、新組織がどのような形をとろうとも、すべての従業員が、話を聞いてもらえている、大事にされている、配慮されていると実感できるようにすることで、M&Aを成功に導くことは可能です。合併・買収時に問題となる文化面での課題を予測し、事前に対策を講じることは簡単なことではありませんが、合併に関わる従業員と人事部門が力を合わせれば、働く人を常に最優先し、企業文化が発展していく道が必ず見つかるはずです。

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