創業者のメンタルヘルスを考える~燃え尽きず前進を続けるための三つの方法~

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この記事はInc.のDarrah Brusteinが執筆し、Industry DiveのDiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

起業家として15年近く経験を積み五つの企業の立ち上げを行ってきた筆者は、自分を含めて起業家たちのマインドセットには、共通した傾向があることに気がつきました。一つ目は、客観的な見通しが立たない状況でも無邪気なまでに希望を抱くところです。アイデアの種をまけば、収益を上げて長続きするビジネスを実現できるに違いないという信念があります。

また、事業を立ち上げて間もない成長段階では、気持ちが高ぶり、駆け巡る熱いアドレナリンの波に乗ってしまいがちです。たとえ起業家仲間が壁にぶつかり、疲労困憊(こんぱい)しているのを見たとしても、立ち止まることはしません。自分もいずれはああなるかもしれない、とは考えないのです。

ライフスタイルを提案するビジネスであれ、投資家の支援を受けた高成長型ビジネスであれ、大きなプレッシャーがかかります。自分の生活がかかっていますし、チームで起業しているのであれば、さらに多くの人の生活にも責任があります。それに加えて、市場の変動や経済の不確実性もあり、ストレスと不安に苛(さいな)まれるのは間違いありません。

2023年4月に発表されたスタートアップ スナップショットの報告書「知られざる対価:スタートアップの創業者とCEOのウェルビーイングにストレスが及ぼす影響」によれば、創業者のうち、自身のメンタルヘルスに悪影響があったと答えた人は72%に上りました。エグゼクティブコーチのマンディ・レート氏は、そうした話をよく耳にしています。高い業績を目指すハイアチーバー(桁外れの成果を上げる人々)たちが燃え尽きないように支援する同氏は、こう指摘します。「創業者は、のしかかるプレッシャーと絶えまない焦燥感で、自滅してしまう可能性があります。そうならないためには、赤信号を見逃さず、自分の心のウェルビーイングを守るためのサポート体制が必要です」

以下では、創業者が燃え尽きることなく前進し、健全な精神を維持しながらビジネスを続けていく三つの方法について説明していきます。

1.ストレスレベルを管理する

創業者には、いくばくかの不安がつきものです。連続起業家であり、フィンテック企業クリアスコア社のCEOを務めるジャスティン・バシーニ氏は、ポッドキャスト「How to Fail With Elizabeth Day」に出演した際に「不安とは、責任を負うことに対する代償です」と述べました。不安を感じるのは、そのことを気にかけている証拠であり、不安は生産的にもなりうるものですが、レート氏は次のように注意を呼びかけています。「手に負えない慢性的なストレスによって、自分の神経系が調整不全に陥っていないか、赤信号が点滅していないか確認してください。例えば、不眠、肌や胃腸の不調、怒りっぽさ、打ちひしがれた感覚などがそれに当たります」

レート氏は、スケジュールにちょっとしたゆとりの時間を組み込むことを勧めています。「一日のスケジュールに、ごく短時間で構わないので、静かに過ごせる時間を確保しましょう。スマートフォンを持たずに20分ほど散歩するのもいいでしょう。瞑想(めいそう)をしたり、手書きでノートに日記をつけたりするのも一案です。現代は、必要以上に働く仕事中毒が称賛されており、生産性をひたすら高めるべく自らを追い込む傾向があります。しかし、ハードに働くことと成功は、必ずしも結びつくわけではありません。創業者は、創造的かつ戦略的に思考するために、ペースを落とす必要があります。ぼんやりしたときにこそ、魔法は起こるのです」

2.ビジネスの孤独感を乗り越える方法

アップル社のCEOであるティム・クック氏は、自身の役割について「ある意味、孤独な仕事です」と表現しました。また、英国で実施された調査では、創業者は一般の人と比べて、5.5倍も孤独を感じていることが明らかになっています。ビジネスの構築は、ときとして孤独な挑戦です。適切なサポート体制なしで責任を一手に引き受けていれば、いずれはひずみが生じるでしょう。

重要なのは、信頼できる従業員を持ち、業務を分担するすべを身に付けることです。そうすれば、起業間もないスタートアップは、一人きりで立ち向かう仕事というよりは、チームで立ち向かう試みだと思えるようになります。レート氏は起業家に対し、他の人に心を開くようアドバイスしています。ビジネスが困難に直面しているのであれば、なおさらです。「計画どおりにいかないときは、一人で押し黙って苦しんではいけません。ビジネスの現状を率直に打ち明け、コーチやセラピストの助けを借り、仕事仲間や友人、家族に相談しましょう。外部の人の意見に耳を傾けることで、健全かつ異なる視野が得られます」

レート氏はさらにこう続けます。「創業者はどうしても、自分という人間とビジネスを一体化して考えがちです。しかし、自分の自尊心と業績を一体視してしまうと、失敗するたびに計り知れないショックを受ける可能性があります。自分自身とビジネスをある程度切り離し、自分と会社は別のものだと捉えるようにしてください。後退が起こったとしても、それは、個人としての自分を反映するものではありません。また、他の人を失望させたということにもなりません」

創業者には、失敗がつきものです。失敗を受け入れ、それについて話しましょう。そして、そこから何かを学び取り、知恵と経験を糧にして、再び挑戦しましょう。

3.言いにくい話を避けない

創業者はしばしば、顧客から投資家、サプライヤー、従業員まで、すべての人を幸福にしなければならないという責任を感じるものです。

対応しなければならないいくつかの問題がある場合、そのなかで最大のストレス要因の一つになるのは、「難しい話し合い」かもしれません。すでに多くの責任を抱えて手いっぱいの創業者にとって、精神的負担が大きい仕事になる可能性があります。エグゼクティブコーチのケヴィン・ライス氏は、業績不振について話し合わなくてならない起業家に関して、こう話しています。「創業者が抱える問題のうち最も多いものの一つが、業績低迷への対応です。創業者はしばしば、自分が専門知識を持っていない部門のリーダーたちを束ねなくてはならないので、この問題は特に難しいものになります。自分が専門知識を持っていないからこそ詳しい人を採用したのですし、スタートアップにおいてはm部門のリーダーとして成果を上げることが求められます」

ライス氏は、相手を尊重しつつ、率直に話すよう勧めています。また、最終的な目標を常に忘れてはならない、と話します。その目標とは「相手に、よりレベルの高い仕事をしてもらうこと」です。「言いにくい話を切り出すときは、時間をかけて準備をしてください。事実を述べるにとどめ、相手に反論する機会を与えましょう。誤解があればすべて解いたうえで、前向きな姿勢で、ともに前進していくために協力し合うことを重視しましょう」と、同氏は助言しています。「嫌われるのではないか、相手を怒らせてしまうのではないかと尻込みしてはいけません。誠実かつ率直に話をすれば、理解と協力への道が開けます。良好な関係を築くための最善の策は、こうした難しい話し合いを先送りにしないことです。相手の不安を軽減し、業務に集中できる状態にすることが大切なのです」

すべてをさらけ出して話し合うことで、プレッシャーが積み重なることがなくなります。コミュニケーションを図ることと、静かな内省の時間。この二つのバランスを健全な形で取ることが、創業者が燃え尽きないための基本なのです。

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