M&Aの各ステップにおける戦略と回避すべき落とし穴を解説

[Publisher] TechBullion

この記事はTechBullionのAngela Scott-Briggsが執筆し、Industry DiveのDiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

M&Aは、ビジネスにおいて長らく重要な役割を果たしてきました。世界情勢やトレンドが移り変わるなかで、企業のレジリエンス(回復力)や計画性、戦略的なアジリティー(機敏性)を象徴するものになっています。M&Aには成長や、市場での支配力獲得というすばらしい魅力がありますが、一方で実際のプロセスは複雑で困難を伴います。計画通りに進まない場合、財務や評判に悪影響を及ぼし、従業員の士気を低下させる可能性もあります。

この記事では、M&Aを成功させるうえでカギを握る戦略について掘り下げ、回避すべき落とし穴は何か、説明していきます。

1. 「買収による起業(ETA)」について理解する

M&Aに着手する前に不可欠なのは買収による起業(Entrepreneurship Through Acquisition:ETA)の基本的な考え方をよく理解することです。買収による起業(ETA)とは、新しいビジネスをゼロから立ち上げる代わりに、既存の会社を買収して事業取得を試みることです。この方法なら、より早く利益を上げられますし、顧客基盤はすでに確立済みで、業務もそのまま継続できます。

ただし、起業家は買収後の明確な経営戦略を持たなければならず、買収した企業をさらなる成功に導くのは難しいことです。

  • 戦略:買収対象となる企業について、徹底的にデューデリジェンス(適正評価手続き)を行いましょう。財務状況、社風、市場ポジションを把握しなければなりません。
  • 回避すべき落とし穴:すべての企業が買収に適しているわけではありません。買収が可能だから、あるいは、安く買収できるからといった理由だけで踏み切ると、予期せぬ問題を抱え込むおそれがあります。

2. 買収すべき戦略的根拠を明確に定義する

衝動的にM&Aに手を出してはいけません。買収を検討する際には、その戦略的な根拠を必ず明確に定義しましょう。

  • 戦略:買収によって得られるシナジーと成長の可能性を具体的に考えましょう。新しい技術の獲得や市場への新規参入、さらには高度な技術を有する労働力の獲得まで、さまざまなことが考えられます。
  • 回避すべき落とし穴:明確な戦略もなく、競合相手だからという理由だけで買収するのは危険です。いざ統合する段階になって難題に突き当たったり、既存市場での製品間のカニバリゼーションにつながったりするおそれがあります。

3. 専門家の力を借りる

M&Aのプロセスは、法律や財務、運営を巡る込み入った問題が絡んで、複雑になることがあります。

  • 戦略:M&Aの金融アドバイザー(FA)や法律顧問、業界専門家に相談しましょう。専門的な意見に耳を傾ければ、バリュエーション(企業価値評価)やデューデリジェンスの進め方、潜在的な規制上の障害が明確になります。
  • 回避すべき落とし穴:誰の力も借りずに買収に臨んだり、専門家のアドバイスをないがしろにしたりしてはいけません。留意すべき注意点を見落とし、法的に複雑な問題を招く可能性があるからです。

4. 社風の統合を優先する

財務的かつ戦略的な相性の良さは不可欠ですが、社内文化の調和も同じくらい重要です。

  • 戦略:買収相手の職場文化や価値観、生活習慣を理解しましょう。人材交流やチームビルディング活動、ワークショップに力を入れ、双方の結びつきを強くすることが大切です。
  • 回避すべき落とし穴:社風が合致するはずだと思い込んだり、明らかな相違点があるのに見て見ぬふりしたりしてはいけません。社風がかみ合わないと、従業員のモチベーション低下や離職率の上昇、業務の効率低下を招くおそれがあります。

5. 情報の伝達経路を確立する

M&Aには、不安や臆測がつきものです。先が見通せないことに対する不安のせいで、獲得しうる利点を見失う可能性があります。

  • 戦略:ステークホルダー、従業員、顧客、パートナーと、できるだけコミュニケーションを図り、透明性を心がけましょう。相手が抱く心配事に真摯(しんし)に対処し、買収後のビジョンを共有し、開かれたコミュニケーションを維持する必要があります。
  • 回避すべき落とし穴:従業員やステークホルダーが、情報がないまま放置される状態を避けましょう。うわさや誤った情報は士気の低下を招き、統合プロセスに悪影響をもたらします。

6. 出口戦略(EXIT)を用意しておく

M&Aは、必ず成功するわけではありません。計画どおりに事が運ばなかった場合に備えて、綿密に考え抜かれた出口戦略(EXIT)を用意しておくことが大切です。

  • 戦略:出口戦略が必要になる状況を、おおまかに想定しておきましょう。例えば、業績の悪化や市場の変化、統合を巡る難題などが原因で起こりうることです。明確な評価基準や期限を事前に準備してください。
  • 回避すべき落とし穴:自己のプライドやサンクコスト(埋没費用)などに惑わされ、どう考えてもうまくいかないと見られる買収計画にしがみつくことは避けましょう。リソースを浪費し、収益性のある他の事業がうまくいかなくなるおそれがあります。

7. 買収完了後のマネジメントを大切にする

M&Aは、あくまでも始まりにすぎません。本当の挑戦は、買収完了後の企業経営です。

  • 戦略:M&A完了後の100日間の計画を立てましょう。すぐに得られる成功実績を見極め、短期的および長期的な目標を立て、リソースを適切に配分してください。
  • 回避すべき落とし穴:買収成功の余韻に浸ってはいけません。買収後のマネジメントがまずければ、いかに有望な買収であっても失敗することがあります。

まとめ

M&Aは、戦略や見通し、エグゼキューションが複雑に絡み合った難しい作業です。成長の加速と市場シェア拡大という可能性を秘めてはいるものの、一連の課題が伴います。明確なビジョンを描き、専門家の力を借りつつ、社風や業務上の差異を意識して臨めば、買収が成功する確率は高くなるでしょう。

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