ESGのS(社会)に投資する企業は今後、ビジネスを大きく飛躍させる

[Publisher] HR Dive

この記事はHR DiveのDavid Kimが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

筆者のデイヴィッド・キム氏は、データソリューション企業ネットアップ社の最高ダイバーシティー責任者(CDO)です。本記事は同氏の個人的な見解を示しています。

現代の企業経営者はここ数年、社会的・地政学的・経済的な混乱に見舞われており、ESG(環境・社会・ガバナンス)を巡る重大な転機を迎えています。職場の柔軟性・平等性・多様性に関する問題や気候危機などが待ったなしの局面に達したことで、私たちは実質的な成果をあげるよう迫られています。企業は、ESGへの取り組みがビジネスの成功に欠かせないことだと理解し、受け入れなくてはなりません。

ESGは、いまや道徳的な義務だけではなく、ビジネス上の義務にもなりました。また、ESGを巡るこれまでの議論は主に持続可能性への取り組みを軸として交わされてきましたが、現在は「社会(ESGのS)」へと焦点が移りつつあります。企業が社会的な面でどのような目標を掲げ、達成に向けてどう取り組み、どう情報を発信しているのかが注目されるようになっているのです。以下では、企業が今後取り組んでいくべき社会的な重点分野を三つ説明しましょう。

従業員のウェルネス(心と体の健康)と個人的成長

この2年間、米国で働く1億6000万人近くが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で在宅勤務が増えた結果、公私の境が曖昧な状況下で働いてきました。そのため彼らはときに孤立感を覚え、燃え尽きてしまう者も多くいます。米心理学会の調査では、2022年だけを見ても、労働環境が自身のメンタルヘルスに悪影響を与えたと答えた労働者は5人中2人(39%)に上りました。そればかりか、高いストレスを抱えている従業員は、仕事を休んだり、エンゲージメントが低かったりする傾向が強いことも分かっています。いずれも、会社の業績に影響を及ぼしかねないものです。

幸いなことに、従業員のメンタルヘルスや個人的な成長を優先することに前向きな企業リーダーであれば、企業文化を改善することができます。例えば「メンタルヘルスについての意識向上デー」や「ノー会議デー」を設けたり、ウェルネス休暇制度や短期間の傷害給付金といった福利厚生を導入したりすることは、従業員の意欲向上に大きな効果があります。先行きが不透明な時代には特に、信頼関係に支えられた柔軟な企業文化を構築することが従業員エンゲージメントを高め、生産性の向上や人材の保持、全体的な満足感につながることが示されています。

職場における平等、多様性、アクセシビリティー

多くの企業が「社会(ESGのS)」に関して掲げるゴールとしては、平等性、多様性、包摂性、アクセシビリティーといったものが一般的です。人種、文化、世代、性別、さらには、インターセクショナリティー(異なる個人のアイデンティティーが重なり合うことによる差別の概念)も含むさまざまな違いに関して、平等性が確保されているかを調査し共有することは、現在の企業にとって当然のことです。実際、求人情報サイト「グラスドア」の調査では「多様性が確保された職場かどうかは、将来の雇用先を選ぶ際の重要なポイントだ」と回答した求職者は76%にも上りました。多様性に満ちた企業は、従業員1人あたりのキャッシュフローが2.5倍も多く、特にジェンダーの多様性がある企業は、同業種の平均以上の収益を上げる可能性が15%も高くなっています。

従業員のやる気とエンゲージメントを向上させるうえでは、若手を支援するメンター制度や対象となる女性従業員の個別指導を提供するスポンサーシップ制度も、極めて効果的です。事実、包括的なメンターシップ制度は、多様な人材の獲得と維持に役立つと最新調査で示されました。女性と少数派は「メンターシップ制度とスポンサーシップ制度はキャリアアップにとって有益だ」と答える傾向がより強くなっています。

コミュニティーと環境に変化をもたらす

「変化をもたらす」ことを目指す企業が2023年以降も大きく注目されることになるでしょう。従業員も消費者も、自ら支援する企業が何らかの社会的な意義を持つことを望んでいます。マッキンゼー社の調査によると、「自分の目的意識は仕事によって定義されている」と回答した従業員は70%に上ります。

企業は、従業員の目的意識を把握しながら経営判断を下し、その従業員からの期待をどのくらい果たしているかを継続して確認する必要があります。そうすることで従業員は、自分が働く企業のリーダーは口先だけでなく、有言実行の人物だと考えるようになるでしょう。簡単にできる取り組みとしては、全従業員が参加できるボランティア活動を行ったり、募金活動やマッチング寄付(企業が従業員の行う寄付を上乗せして支援すること)を行ったり、気候危機に取り組むことを企業として公約したり、といったことが挙げられます。これらはみな、素晴らしい助け合いの形であり、全従業員と地球にとって大きなメリットがあります。

ESG新時代の幕開け

2020年代のはじめに世界を襲った混乱は、さまざまな意味でこれまで長く変化を必要としてきた問題への取り組みを加速させました。従業員、株主、消費者が一様に最も関心を寄せるべき事柄について、はっきりと声をあげています。企業はそれにひたすら耳を傾け、行動を起こす必要があります。

「社会(ESGのS)」をめぐる取り組みについて慎重に考え、着実に投資し、その成果を計り、進捗(しんちょく)状況について発信する企業が成功を収めます。あなたの会社は、そうした会社の一つになるでしょうか。

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