どうすればコーポレートPPAや自己託送を積極的に活用できるか

[Publisher] 日本ビジネス出版

この記事は、日本ビジネス出版『環境ビジネスオンライン/執筆:小嶋 祐輔』(初出日:2023年6月14日)より、アマナのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。

需要家が主導的に再エネを調達する手段として、コーポレートPPAや自己託送の活用が増えている。その急速な普及によって起こる、電源出力と必要需要の調整における課題とは?また、蓄電池などによる電力の制御や事業者間の連携による積極的な活用は可能だろうか。

再エネ電力事業の最前線で、立上げ、運営をリードした小嶋祐輔氏がポイントを解説する。

規制緩和と市場活性化で発展しつつある需要家主導の再エネ調達スキーム

需要家(電力を使う主体)が主導的に再生可能エネルギーを調達する手段として、また、最も汎用性の高いモデルとして、コーポレートPPA(Power Purchase Agreement:発電事業者と直接結ぶ長期での電力購入契約)や自己託送(自社の発電設備で発電した電気を、一般送配電事業者が運用する送配電ネットワークを介して遠隔地にある施設や事業所などに送電して利用する仕組み)の活用が3年ほど前から急速に増えてきている。

需要家が持つ建物に設置するオンサイト型のPPAよりも、立地的な制約がないことが特徴である。

自己託送は2013年に制度化されたスキームで、2021年には発電者と需要家の関係性の条件を緩和して、利用できるビジネスモデルの幅を広げる動きがとられている。ただ、バランシンググループ(複数の小売電気事業者が1つのグループを形成し、送配電事業者と託送供給契約を結ぶ制度)の管理業務が複雑であり、大企業の需要家以外には障壁が高いスキームである。

一方のコーポレートPPAは、3年ほど前から新たに検討が進められているスキームである。非化石証書の取引や需要家・発電事業者間の契約スキームの整理が進み、活用しやすくなってきている。

再エネの直接調達方法の類型(出典:資源エネルギー庁)

再エネ電力の自己託送の急速な普及にはまだ課題がある

自己託送の要件緩和により、その利用幅が広がりつつある状態とはいえ、まだまだFIT(固定価格買取制度)由来の電源が日本の再生可能エネルギー(水力除く)の大半を占める状態を覆すほどには十分に発展していない実状もある。

自己託送は、再エネ賦課金が免除されることになっているが、前述のとおり電力取引の業務が必要となり、中小企業単独の規模ではまず採算が合わないからだ。また、収益の頼みの綱の再エネ賦課金免除は、このビジネスモデルの活性化を促すとともに、一方で、自己託送だけが再エネ賦課金の免除になっていることについて、制度的に論点となっており、その免除が打ち切りになるリスクも否定できない。

コーポレートPPAも、電源側の出力(特に再エネ電源の場合は出力が制御されていない状態の電力)と必要需要のミスマッチを埋める供給体系の確立に、苦労している事業者が多い実状がある。ビジネスモデル上の工夫、またはオペレーション上の工夫が求められ、それらを乗り越えて活性化されていくことが望まれる。

JP202309_07_03.jpg再エネ電力の自己託送は活性化しつつあるがまだ課題がある

課題解決に求められる技術革新と制度設計

とはいえ、需要家が自らの資金で再生可能エネルギーの電源を新たに作る「追加性」に資するアクションが増えてきているのはまぎれもない事実である。上述の課題を解決するために、蓄電池などを使った電力の制御、または事業者間の連携によるオペレーション上の工夫によるさらなる活性化が求められる。

特に自己託送は、個々の事業者の利益の最大化を求めると、なかなか普及に対する協力関係は生まれにくい。

各事業者や需要家が得意分野を持ち寄り、業界全体が協調して積極的な活用を検討すること、また、制度上の後押しが必要である。自己託送は補助金が付くケースや、公共財の送電網の使用があるので、国民負担(=投資)が効用にダイレクトにつながるような制度設計も重要である。

著者プロフィール

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株式会社MakeD 代表取締役社長 小嶋 祐輔 氏

2008年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大手電機メーカー、外資系コンサルティングファームを経て、2014年より株式会社Looopにて、主に電力小売事業の責任者を務め、立ち上げから6年で売り上げ550億への事業への発展をけん引。その他、各種提携、地域新電力設立、M&Aも手掛ける。 2023年4月より現職。エネルギー業界各社を中心に経営支援に従事。再エネ系新電力の業界団体である一般社団法人再エネ推進新電力協議会の代表、蓄電池ベンチャーのPowerX社のアドバイザーを務め、2023年5月より、東京大学大学院工学系研究科学術専門職員も兼務する。

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