建設の脱炭素化を担えるか。低炭素コンクリートが、業界に「根本的な変化」をもたらす可能性

[Publisher] Bloomberg

この記事はBloombergのMichelle Maが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。 

(Bloomberg)──急成長を続けている「低炭素コンクリート」のスタートアップであるカーボンビルト社は2023年5月17日、提携するコンクリートブロック製造業者のブレアブロック社と共同で、「気候に優しいコンクリート」の商業生産を開始したことを発表しました。両社にとって最初の顧客になる企業もすでに複数社決まっており、創業から3年が経過したカーボンビルト社にとっては大きな前進になります。

コンクリートは、世界で最も広く利用されている建築材料ですが、その生産を脱炭素化しようとする取り組みは、最近まで限られた範囲にとどまっていました。既存のソリューションとしては、高価で実用化には程遠いカーボン・ネガティブ(CO2の除去量を増やし排出量をマイナスにする)技術か、すぐに利用できるものの排出削減量が限定的な代替案のいずれかだったのです。

しかしカーボンビルト社は、2021年に「NRG COSIA Carbon XPRIZE」を受賞した同社の技術について、コンクリートがその生産中に排出するCO2の量を70〜100%削減できる一方で、生産コストは従来のコンクリートと変わらない、と説明しています。

コンクリート生産における主要材料の一つであるセメントは、世界のCO2排出の7%以上をもたらす要因となっています。これは、セメントが生産される時の化学反応と、生産に必要な高温によるものです。コンクリートが、CO2を大量に排出する建築材料である理由の一つはここにあります。

カーボンビルト社の技術は、二つの面で炭素削減に取り組んでいます。まずは、コンクリートに使われるセメントの大半を、地元で調達した低炭素材料を独自に混合したものと置き換えること。次に、養生室(curing chamber:蒸気によって半製品の硬化を行う施設)に炭素を送り込むことです。これにより、炭素を固体の状態で永続的に保存できるようになります。同社によると、ブレアブロック社のリニューアル後の生産ラインでは、年間のCO2排出を少なくとも2000トン抑制できるそうです。さらにこの工場では、年間500トン以上のCO2を大気から除去します。

この量は、往復3000マイル(約4800キロメートル)の飛行で、乗客1人あたり約1トンのCO2が排出されるのに比べて、極めて小さいものです。しかしこの試みは、カーボンビルト社の実証実験における「次のステップ」を示しています。カーボンビルト社の成功に欠かせないのは、コンクリートブロックの生産コストが、従来のコンクリートと同等であることです。さらに同社は、カーボンクレジットを販売して追加収入を得ることもできます。これまでの顧客として、eコマース企業のショッピファイ社や、金融サービス企業のストライプ社などが、炭素排出を実質ゼロにするという自社の公約を果たすために、同社のサービスを購入しています。

カーボンビルト社の最高経営責任者(CEO)兼取締役を務めるラフル・シェンドレ氏は、「この技術の利点の一つは、生産の経済性が良くなることです」と述べています。「私たちは、最も高価な材料の一つであるセメントを取り除き、CO2と組み合わせることで必要な特性を提供し、低価格で入手しやすい工業材料の組み合わせに置き換えています」

カーボンビルト社と提携する企業にとっては、投資にリスクが伴わないわけではありません。同社とブレアブロック社は、200万ドル(約2億7,700万円)を共同投資して、ブレアブロック社の四つの生産ラインのうちの一つをリニューアルしました。両社は、コンクリートブロックとカーボンクレジットの販売によって、これらの投資を回収できると期待しています。

ブレアブロック社の共同オーナーで副社長を務めるマット・ブレア氏は、「これまでに両親と行った話し合いのなかで、最も難しいものでした」と述べます。彼の両親は、2007年に同社初の工場を開設し、現在も事業に深く関わっています。同社は、2016年にアラバマ州バーミングハムに二つ目の工場を開設し、現在は同州で2番目に大きなコンクリートブロック生産事業者となっています。

低炭素コンクリートの生産に踏み出すことを、ブレア氏たちに決意させたのは、同社の利益につながる可能性があったからです。米国地質調査所のデータによると、セメント価格は2011年以降、毎年上昇しています。ほとんどのコンクリート生産事業者は、ごくわずかな利益率で経営しているため、それを改善できるのであればどのような技術でも役に立つと、ブレア氏は話しています。

「人生の半分をブロック作りにささげてきた人たちに対して、『セメントを使わずにやってみよう』と告げるのは、極めて過激な変化です」

カーボンビルト社の低炭素コンクリートブロックは、従来のコンクリートブロックとコストが同程度であるだけでなく、同じ仕様を満たしているため、既存および新規のプロジェクトにそのまま組み込むことができます。新しい生産ラインから初めて出荷される製品は、地元アラバマ州の建設業者C&Cメイソンリー社によって、消防署をはじめとする州内各地のいくつかの公共プロジェクトで利用される計画です。

C&Cメイソンリー社のオーナーであるスコット・カニングハム氏は声明のなかで、次のように話しています。「ブレアブロック社とカーボンビルト社のおかげで、ビジネスの手法を変えたり、作業員に以前よりも重いブロックを扱うように頼んだり、依頼主に追加費用の支払いを求めたりすることなく、顧客へより持続可能な選択肢を提供できるようになりました」

カーボンビルト社のシェンドレCEOによると、同社はすでに数十社を超える他のコンクリート生産事業者と、生産ラインのリニューアルについて協議中とのことです。カーボンビルト社では、同社の技術を米国内にあるおよそ800カ所のコンクリート工場のすべてに、迅速に組み込むことができると考えています。

カーボンビルト社には、ブレアブロック社以外にも2023年に入って操業を開始した別の工場がアリゾナ州にあります。他にも、複数のフィジビリティ・スタディ(新規事業が実現可能かどうかの事前調査)を実施中です。2023年後半に向けた同社の大きな焦点は、さらなる契約書に署名することであり、2024年には次の工場リニューアルが行われることになっています。

シェンドレ氏は、自社の生産ラインのリニューアルに加わろうとしないコンクリート生産事業者がいたとしても、それは時間の問題にすぎないと考えています。「多くの事業者は、利益率の拡大と、妥協のない持続可能な製品の組み合わせに意欲を示しています。それがブレアブロック社で実際に実現するのを目の当たりにすることが、彼らが契約に踏み切るきっかけになるはずです」

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