不況期においても「物流の最適化」の歩みを止めてはいけない理由

[Publisher] VentureBeat

この記事はVentureBeatのDoft and Dmitri Fedorchenkoが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。 

※この記事の著者であるドミトリー・フェドルチェンコ氏は、ドフト社の創業者兼CEOです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行から、スエズ運河の封鎖やロシアのウクライナ侵攻まで、この数年、世界の物流網は打撃を受け続けています。さらに、景気後退が間近に迫る今、再び大打撃を受ける見通しです。

しかし一方で、トラック運送業界はコロナ禍に爆発的な成長を遂げました。人々が自宅に閉じこもったことにより、個人消費が急増したからです。EC関連のスタートアップと、ECでの消費が大幅に増加し、ショッピファイをはじめとする既存のオンライン店舗は347%も急成長しました。アマゾンのような大手企業だけでなく、多くの中小企業がデジタルショッピングブームの恩恵を受け、配送方法の改善に動きました。中小企業はスポット市場(長期契約を結ぶことなく、1回限りの配送手配が時価で行われる形態)のトラック運送業者に依存し、2020年7月から現在までに19万5000ものトラック運送業者が市場に参入しました。

しかし現在、人々の買い物習慣は元に戻り、オンラインでの個人消費も減少しています。そのため市場では貨物量が不足する状況となり、ドライバーが飽和状態になっているのです。結果としてスポット価格が下がり、多くの中小運送業者が廃業する現象が起きていて、「大粛清」と呼ばれています。

ただ、景気後退が迫っても慌てる必要はありません。機械学習(ML)を活用し、物流を革新することで、削減ではなく最適化を選択し、顧客満足度を高めることができます。人工知能(AI)の助けを借りれば、嵐を乗り切ってトップに立つことも可能です。

最適化VSコスト削減

不況になると、人々は無意識的に節約を始めます。高価な外食を控え、サブスク(定額型)サービスを解約し、必要な休暇すら取らないかもしれません。多くの場合、消費者にとって節約は最善策ですが、企業にとっては必ずしも賢明な動きではありません。ビジネスにおいては、こうした大きな事態に対応することが不可避だからです。

景気後退は自然なことで、それを乗り切れるかどうかが分かれ道です。最適化に力を注ぐことでビジネスの将来性が高まるだけでなく、顧客に対してもより良い体験を提供できます。顧客維持に集中し、信頼できる良質なサービスを既存顧客に提供すれば、景気後退後も続くロイヤルティーを確保できるのです。口コミは、有料マーケティングと比べて5倍の売り上げにつながるというデータもあるため、質の高い顧客サービスに投資することは、喉から手が出るほどほしいキャッシュフローの維持につながります。

アメリカの小売りチェーンであるホーム・デポなどを顧客に持つトラック運送会社サイア社の、プレジデント兼CEOを務めるフリッツ・ホルツグレフェ氏は次のように述べています。「少し減速しているもかもしれませんが、顧客企業は、それぞれのビジネスでより効果的に目標を達成するため、物流網の見直しを続けています」。多くの業界リーダーが、「最適化」の利点は「削減したいという衝動」を大きく上回ることに気づいています。中小企業各社は、この助言を生かすべきでしょう。では、物流を最適化するにはどのような解決策があるでしょうか?

ラスト・ワンマイルの最適化

企業の物流業務にAIを導入することで、日常業務に革命を起こすと同時に、コスト削減も実現します。AIは急速にビジネスの必需品となりつつある──マッキンゼーが最近発表したリポートには、AI未導入の企業はキャッシュフローが20%低下する可能性があり、結果として、コスト削減を迫られると書かれています。

ラスト・ワンマイルについての計画立案は、顧客と荷主の双方にとって、企業の成功を左右する重要なものです。ある調査では69%の顧客が、約束の配達日から2日以内に荷物が届かなかった場合、その会社には二度と注文しないという結果もでています。また、ラスト・ワンマイルの配送コストは全体の53%を占めます。つまり、ここを確実に最適化できればコスト削減につながり、顧客をリピーターにしうるサービスを提供できるのです。

交通や天候、出発地、目的地を監視するアルゴリズムを備えたAI技術があれば、ドライバーに対して最も効率的なルートを示し、走行時間や燃料消費を最小限に抑えることが可能です。これによりリソースの最適化、労働環境の改善、コスト削減につながります。また、ライブ・アップデートによって、物流業者は顧客と最新情報を共有できるようになります。

こうしたAIの利点を生かす簡単な方法として、ウーバー・フレイト(ウーバー・テクノジーズ社の物流サービス部門)、コンボイ社、ドフト社などの「デジタルブローカー」を経由することが挙げられます。デジタルブローカーは荷主と顧客の双方に対して、荷物のルートや到着予想時刻などの追跡サービスを提供しています。さらに、荷主は評価の良いドライバーを選択できるため、安心して荷物を預けられます。

ステークホルダーを一体化するデジタル運送ネットワーク

スポット価格は2021年から11%下がり、契約運送ではなくデジタルブローカーを利用する小売企業が増えています。デジタルブローカーの利用は、会社の規模に関係なく有益です。大量の貨物がない、出荷パターンが不規則という企業には、高価かつ柔軟性に欠ける運送契約を結ぶよりブローカーを利用したほうが大幅なコスト削減につながるでしょう。また、コロナ禍以降でドライバーやアセットの余剰が生じた大企業も、このトレンドに乗じてデジタルブローカーを利用し、自社サービスをスポット価格で提供することで車両利用の最適化を図ることができます。

多くのデジタルブローカーアプリは、ビジネスパフォーマンスを追跡し、コスト削減や物流に関する提案を行う機械学習機能を搭載しています。貨物量に応じて、AI技術がリアルタイムに自動判断し、注文量に合う車両を割り当てることができるのです。判断を自動化することで人的ミスのリスクを排除し、複雑な判断を瞬時に行い、顧客に対して最適なシステムを迅速に提供できるようになります。

持続可能な未来に向けた取り組みを

持続可能性と最適化は、特に機械学習技術の助けを借りることで、密接に連携します。アメリカ人の71%が、気候変動に配慮していない企業からは購入しないと述べており、顧客満足度を維持するために企業がより環境に配慮した選択を行う必要があることは明白です。

電気自動車(EV)は維持費を削減できることから、物流業者のあいだでますます人気が高まっています。アメリカ合衆国エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所による調査では、EVの平均寿命である15年間で計算すると、EVは標準的な内燃エンジンを搭載した車に比べて計1万4480ドル(約200万円)の削減になるという試算が出ています。

EVの欠点としては初期投資の高さにありますが、初期コストは時間とともに低下します。また、公共の充電ステーションもこの5年間で2倍以上に増えているため、物流用EVの普及はそう遠くないと思われます。

また、物流企業で環境対策を実行するための安価な方法として、AIを活用したチャットボットの導入があります。62%の消費者が、人による対応を待つよりAIチャットボットを使うことを好んでいます。AIチャットボットは、購入者の一番の味方になりつつあるのです。AIチャットボットの助けを借りれば、企業は顧客サービス部門を最適化し、オフィススペースを削減できます。オフィスでは年間12兆1000億枚の紙が使用されているため、オフィスシステムのデジタル化とともに企業のカーボンフットプリントを大幅に削減できるでしょう。

不況は景気循環おいて順番に訪れる正常な局面であり、そうでないことをどれほど望んだとしても、企業はコスト削減の決断を急いではいけません。ビジネスの将来性を高めるために、特に物流網の最適化を優先させる必要があります。デジタルブローカーやAI技術を活用することで、高い顧客満足度を維持しながら繁栄を続けることができるのです。

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