官民連携が不可欠。アメリカで進むEV充電ステーションの拡大

[Publisher] Smart Cities Dive

この記事はSmart Cities DiveのDanielle McLeanが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

各都市が電気自動車(EV)を普及させるには、集合住宅や分譲マンションの住民が充電器を利用できるようにする必要があります。しかし多くの場合、夜間にEVを充電できるような車庫やカーポートを持っていないのが現状です。

2022年9月にアメリカの首都ワシントンD.C.近郊で開催された、スマートシティーに関する国際会議と展示会「Smart Cities Connect Fall Conference and Expo」では、この課題を解決するさまざまな方法が取り上げられました。その一つが、道路脇や集合住宅、スーパーマーケット、図書館、公園といった人々がよく訪れる場所の駐車場などへのEV充電器の設置です。

しかし、パネルディスカッションに登壇したモデレーターのアントワーヌ・トンプソン氏は、EVの消費者ニーズを優先してEVの展開を方向づけるべきか、あるいは、行政が充電器を必要とする地域に確実に設置するための奨励策を提供すべきかについては、議論が分かれていると指摘しました。トンプソン氏は、都市環境問題に取り組む官民連携推進組織「グレーターワシントン地域クリーン都市連合(GWRCCC)」のエグゼクティブディレクターを務めています。

他の登壇者たちは、都市のリーダーたちが民間企業と連携し、こうした地域コミュニティーに進出する機会があると主張しました。

これを一種の「卵が先か鶏が先か」の状況だと語ったのは、EV充電器メーカーであるブリンク・チャージング社で販売担当副社長を務めるブランドン・ジェイコブス氏です。氏は、「多くの場合、EVを所有していなければ人々は充電器を設置したがらないし、敷地付近に充電器がなければEVを欲しがらない」と述べています。

また、集合住宅に充電器を設置するだけでは不十分だとジェイコブス氏は指摘します。道路脇の充電器を設置するには、ブリンク社などのEV充電器企業が都市や公共施設と連携して電力がどこから供給されているかを把握し、どこに「より多く設置」できるかを判断する必要があるということです。

また、ブリンク社が支援するEVカーシェアリング・サービス企業ブルー・エル・エイ社のマーケティングディレクターを務めるベルキス・コーデロ氏は、「企業は地方自治体と連携せずして公道用地沿いに充電器を設置することはできないし、同様に地域社会や地方議会の協力がなければ異なるさまざまな地域にサービスを提供することはできないのです」と指摘します。

コーデロ氏によれば、同社がEV充電ステーションの設置を検討する際、その影響を受ける運輸局などの市各局や、地元のステークホルダーやその他多くの関係者と協力関係を築いていると言います。

「充電ステーションは本当に必要とされているのか。設置を実行して駐車スペースが奪われてしまわないか。そのバランスが大事なのではないでしょうか」と、コーデロ氏は問いかけます。「私は(中略)単一の事業者のみが責任を負うべきとは思いません。誰もが利用できるよう、あらゆる方面の関係者が参加して取り組むことが重要だと考えています」。

米テキサス州サンアントニオ市では、夜間に車庫で自動車を充電できない居住者が多いと話すのは、同市のサステナビリティー副責任者、ジュリア・マーフィー氏です。

サンアントニオ市は、地域的なEV台数の増加予測に対応するため、充電器を増設する必要性が高まっていると判断。さらに、同市の気候大気浄化に関する計画を盛り込むことも検討しました。その上で、図書館、公園、駐車場などの市有地にEV充電器を設置する官民連携体制を構築した、とマーフィー氏は説明します。

プロジェクトの目的は、より多くのEV充電器を利用可能にし、人々がEVをより安心して購入できるようにすることでした。「人々が大きな課題を乗り越えるために、今は充電器が必要なのです。そうすれば、再び開拓時代の西部のようなフロンティアになれる可能性があります」と、マーフィー氏は言います。

モデレーターのトンプソン氏によると、サービスが不十分な地域の住民や自治体に対しては、2021年に可決された超党派インフラ法を通じて、国のEV充電インフラ網を拡張するための数十億ドルを含む、巨額の政府補助金による支援が間もなく実施されるようです。また、2022年8月に可決されたインフレ抑制法による追加的支援も行われる見通しです。

ブリンク社のようなEV充電器メーカーは、ゆくゆくは都市部の住民が公共の充電設備を利用する必要が出てくることを見越して、現在はそれほど需要のない都市部にも積極的に投資しています。同社のジェイコブス氏は、こうした地域を「ブリンク社にとってのホームラン」と呼んでいます。

特定の地域のための充電インフラに投資すべきかどうか確信が持てない市の担当局にとって、民間企業と連携して取り組みを事業化することは、市がその地域で「新しいことを始めてみる」助けになる可能性があると、ジェイコブス氏は語っています。ブリンク社は、そうした地域では充電器10基分の電力を用意するが、最初は2基だけ設置し、需要の増加に伴って増設していく方法で、小さく始める事例が多いとのことです。

「今のうちから、将来の需要に向けて計画することが重要です。そうすれば、市が数年以内に再びコンクリートを掘り起こして導管を通す必要はありません」と、ジェイコブス氏は言います。

トンプソン氏によれば、人々が個人用EV充電器をレンタルできるようにする、エアビーアンドビー社の事業モデルに似たサービスを手がけるテクノロジー企業もあるそうです。

また市の担当局は、集合住宅により多くの賃借人を呼び込む手段として、集合住宅オーナーに駐車場にEV充電器を設置するよう働きかけることができる、とブリンク社のジェイコブス氏は指摘しています。

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