アメリカの「再生可能エネルギー100%」への進捗をチェック

[Publisher] Digital Journal 

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アメリカの再生可能エネルギーは、この10年で4倍近く増加しました。

2011年と比べると、太陽光発電の発電量は23倍、風力発電は3倍に増えています。こうした急速な普及は、技術の進歩と規模の経済によるものです。州レベルの政策やインセンティブも、再生可能エネルギーインフラの助成に一役買っています。

再生可能エネルギー発電施設の生産が増加しコストが下がる中、アメリカの報道サイト『スタッカー』は、2050年までにアメリカ全土で再生可能エネルギー100%が達成される可能性について、その課題も含めて描き出しました。データはスタンフォード大学、予測はソリューションズ・プロジェクトから得たものです。

石油、天然ガス、石炭は100年以上にわたって、アメリカにおいて最大のエネルギー源でした。石炭の生産量はこの20年で急激に減少しており、化石燃料からの脱却に向けて大きく前進しています。しかし、近年、ガソリン価格の高騰により社会が大混乱に陥っていることは、私たちが大気を汚染してしまうエネルギーに依存し続けていることを物語る十分な証拠です。

2021年のアメリカにおいて、石炭、天然ガス、石油、その他のガスを含む化石燃料からつくられた電力は、全体の約61%に上ります。アメリカは世界第二位のCO2排出国であり、排出量の75%がエネルギーに関連した化石燃料の燃焼によるものです。一方で、再生可能エネルギーの発電容量に関しても、アメリカは中国に次ぐ世界二位です。

太陽光や風力の価格が急落しているにもかかわらず、再生可能エネルギーが化石燃料に取って代わる動きは、アメリカ全土ではかどっていない状況です。その要因は、既存インフラを利用した発電コストが、多くの場合、新たに再生可能エネルギーインフラを建設するよりも安いからです。それでも3分の2以上の国民が、アメリカは代替エネルギー源を優先し、2050年までにカーボンニュートラルを達成するための対策を講じるべきだと考えています。また、アメリカ人の30%以上がエネルギー源としての化石燃料は廃止されるべきだと考えているようです。

再生可能エネルギーに関するアメリカの世論は、支持政党別に割れています。カーボンニュートラル達成のための対策には、リベラル派の94%が賛成する一方で、保守派の64%が反対しています。化石燃料に依存する労働者や経済は、伝統的に共和党が支持される地域に多く存在しますが、それらの地域は偶然にも、風力発電や太陽光発電の可能性が最も大きい地域でもあります。

Emma Rubin // Stacker

グリーンエネルギーの実現可能性を示すモデル

スタンフォード大学の大気エネルギープログラムを率いるマーク・ジェイコブソン氏は、将来のエネルギー需要を予測するモデルと気象予測を用いて、どうすればアメリカが2050年までに再生可能エネルギー100%を達成できるかを計算しました。分析では現在のエネルギー消費量と、エネルギー源の産業別内訳をもとに、すべて電力で賄った場合の2050年におけるエネルギー需要を割り出しました。そして、ジェイコブソン氏とそのチームは、風と太陽光の量、日陰になる屋根の数、水力発電ダムへのアクセスといった追加データをこれらの計算と組み合わせ、再生可能エネルギーで将来の電力需要を満たすことができるかを判定しました。

風力発電や太陽光発電と一口に言っても、風や太陽の力を利用する製品やプロセスにはいくつもの種類があります。また、風や太陽光の量と信頼性は、地理的な条件に大きく左右されます。

風力発電には、平原を埋め尽くす風力タービンのような陸上風力発電のほか、障害物がない海にタービンを設置する洋上風力発電があります。後者は、高速の風を、障害物がなく、予測可能なパターンで利用できることを特徴としています。

一方、太陽光の利用方法は、住宅の屋根に設置するパネル、ソーラーパネルを利用したソーラープラント、鏡を使って太陽光を集め、タービンを動かして発電する集光型ソーラープラントなどがあります。

さらに、水を利用した水力発電もありますが、ほとんどの州では現在も将来も、再生可能エネルギーに占める割合は大きくないでしょう。


Emma Rubin // Stacker

各州がどのようにグリーンエネルギーを調達するかは、潜在的な資源のバリエーションによって異なる

ほとんどの州では、風力、太陽光、水力を組み合わせて再生可能エネルギー100%の目標を達成することになりますが、それぞれの比率は地域によって異なります。日射量が安定している州では、太陽光への依存度が高くなる可能性があります。一方、平均して風が強いグレートプレーンズにかかる州は、気候が穏やかな南東部などの州に比べて、風力発電への依存度が高くなるかもしれません。

日照のない日が何週間も続くアラスカ州では、再生可能エネルギー100%が実現した時でも、太陽光発電への依存度はわずか6%になる見込みです。


Mark Agnor // Shuttertstock

再生可能エネルギーインフラは、アメリカ全土で雇用を創出する

グリーンインフラ産業は、新たな雇用を創出するでしょう。多くの地域で、再生可能エネルギーが代替する化石燃料業界の仕事に従事してきた労働者を支える可能性があります。

ブルッキングス研究所の分析によれば、アメリカでは2019年の時点で約170万人が化石燃料業界で働いていました。化石燃料関連の仕事が集中している地域の多くは、風力・太陽光発電の拠点になり得る地域と重なっています。例えば、石炭生産量が最も多いワイオミング州ではすでに、化石燃料の仕事に従事してきた労働者の多くが太陽光発電所や風力発電所のトレーニングプログラムに参加しています

2026年までに最も伸びると予想される「グリーンな」職種には、太陽光パネルの設置者と風力タービンのサービス技術者がランクインしています。

Emma Rubin // Stacker

「100%再生可能エネルギー」は、大幅なコスト削減につながる

約10年前は、太陽光発電所や風力発電所を建設するより、化石燃料を燃やす発電所を建設したほうが安上がりでした。2009年当時、太陽光発電の電力コストは359ドル/MWh(メガワット時)で、石炭より223%も高価だったのです。非営利団体アウワ・ワールド・イン・データが分析し、ラザード社が発表した「Levelized Cost of Energy Analysis(均等化発電原価分析)」によれば、2019年における太陽光発電の電力コストは90%近く下がって40ドル/MWh、風力発電も70%下がって41ドル/MWhになりました。

一方で石炭や原子力などの再生不可能なエネルギーのコストは、この10年間で上昇または横ばいのどちらかです。再生不可能なエネルギーの発電コストは、燃やす燃料(石炭、石油など)のコストと、設備の運転コストによって決まります。アメリカでは、一般的な石炭火力発電所の運転効率は約33%です。再生可能エネルギーは、資源調達や処理の必要がないため、運転効率が高くコストも低く抑えることができます。

Emma Rubin // Stacker

31の州が再生可能エネルギーの目標を掲げている

多くの州が再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS:Renewable Portfolio Standards)を設定しており、電力事業者に対して販売する電力の一定割合を、再生可能資源で発電することを義務付けています。RPSに加えて、あるいはRPSの代わりに、炭素排出量ゼロのエネルギー源を義務付ける「クリーンエネルギー基準(Clean Energy Standards)」を定めている州もあります。こちらは、「クリーン」ではあるものの必ずしも再生可能ではないエネルギーの使用を求めるものです。

原子力は、「クリーン」だが再生不可能なエネルギーの一例です。アメリカの10州が、遅くとも2050年までにクリーンエネルギーまたは再生可能エネルギー100%を達成する目標を掲げています。また、各州が再生可能エネルギー開発の可能性に基づいて、RPSの対象となる資源を決定しています。例えばハワイ州では、滝や海流の水も再生可能エネルギー源として認められています。


Emma Rubin // Stacker

すべての州がいまだに、エネルギー消費の大部分を化石燃料に依存

米エネルギー情報局(EIA)の最新データによれば、エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合が100%に最も近いのはメイン州で、全消費量の42%が再生可能エネルギー源から得られています。反対に、再生可能エネルギー100%の未来から最も遠いのはルイジアナ州で、再生可能エネルギーやクリーンエネルギーの目標を掲げていない同州ではエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合はわずか3.7%です。世論と法的措置が、各州における再生可能エネルギー推進の進捗(しんちょく)を大きく左右する要因となっています。

anatoliy_glebanatoliy_gleb // Shutterstock

2050年までの目標達成には、まだいくつかの課題も

再生可能エネルギーの生産を拡大する上で大きな障壁になるのが、利益を上げるためには標準化された設備で大規模な生産を行う必要があることです。再生可能エネルギーインフラの物理的な要件は、地域ごと、さらには建物ごとに大きく異なる場合があります。コスト削減が進んだ結果、設置費用はわずか10年で半分になりましたが、それでも住宅用太陽光パネルの平均設置費用は約2万ドルです。

また、既存のエネルギー事業者を優遇する規制や政策の整備の遅れも、再生可能エネルギーインフラの効率的な拡大を妨げています。最後に、この業界には、顧客獲得や認可といった投資の回収が困難なソフトコストが高くつくなど、さまざまな課題が存在しているのもまた事実なのです。

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