宇宙ゴミの被害をなくせ。持続可能な宇宙環境の構築に向けた、日本企業の取り組み

[Publisher] Digital Journal

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レーザービームや木造の人工衛星から宇宙空間におけるレッカー車サービスまで、日本ではいくつかのスタートアップが、重大な環境問題となりつつあるスペースデブリ(宇宙ごみ)に対処する方法を開発しようとしています。

運用が終わった人工衛星やロケットの部品、衝突によって生じた残骸などのスペースデブリは、宇宙時代が始まってから蓄積し続けており、問題はこの数十年間で加速しています。

「宇宙の持続可能性の確保」を掲げるアストロスケール社で、ゼネラルマネジャーを務める伊藤美樹氏は、「これから多くの人工衛星が次々と打ち上げられる時代となり、宇宙はますます混雑していきます」と語ります。

「このままでは宇宙を利用できなくなるというシミュレーション結果もあるのです」と、伊藤氏はAFP通信社に述べています。「ですから手遅れになる前に、宇宙環境を改善しなければなりません」。

欧州宇宙機関(ESA)によれば、地球の軌道には1センチメートル以上のスペースデブリが100万個近くあると推定されています。これは「宇宙船の機能を停止させる」のに十分な大きさです。

スペースデブリにまつわる問題はすでに発生しています。2022年1月、ロシアの対衛星ミサイル実験で生じたスペースデブリが、中国の人工衛星とニアミスするという事案がありました。2021年には、国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアームに5ミリメートル程度の穴が開いていたのが発見されています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)で上級研究員を務める山元透氏は、「スペースデブリの量がどれほど速く増加するかを正確に予測するのは難しい」と述べています。

しかし「宇宙の持続可能な利用について、現実的な懸念を抱かせる問題です」とも語りました。

人工衛星は今や、GPSやブロードバンド、銀行取引データなどに不可欠な存在となっており、スペースデブリとの衝突事故は地球上で重大なリスクをもたらします。

東京に本拠を置く衛星通信事業者のスカパーJSAT社でエンジニアとして働く福島忠徳氏は、自身の業務のなかでこの問題の大きさを目の当たりにしてきました。

「静止衛星(地球の自転と同じ角速度で公転し、地上から見ると停止しているように見える人工衛星)1基が、1年間に受ける『スペースデブリ接近』の警告は100件近くに及びます」と、福島氏はAFP通信社に語っています。

国際的な「人工衛星廃棄ガイドライン」には、使用済みの人工衛星を「墓場軌道(使用中の別の人工衛星と衝突しスペースデブリが発生することを防ぐための、同期軌道より高度の高い軌道)」に移すなどの規則が含まれていますが、スペースデブリが増加するとさらに多くの規則が必要になると専門家は指摘します。

─課題解決への万能薬はまだない?─

福島氏は2018年に社内スタートアップを立ち上げ、レーザービームを使ってスペースデブリの表面を気化させ、エネルギーのパルスを作り出してスペースデブリを新たな軌道に押し出すという構想を練っています。

レーザーを照射する際には、一般的におよそ秒速7.5キロメートルという弾丸よりもはるかに速く移動するスペースデブリに、直接触れる必要はないそうです。

このプロジェクトは現時点で実験段階にあり、福島氏は複数の研究機関と協力して、2025年春には宇宙でこのアイデアのテストを実施したいと考えています。

福島氏によると、日本企業に加えてヨーロッパやアメリカの数社が、この問題のソリューション開発に率先して取り組んでいるとのことです。

また、アストロスケール社の「宇宙用レッカー車」のように、磁石を利用して使用済みの人工衛星を回収するプロジェクトも先行して進んでいます。

同社の伊藤氏は、「車が故障したらレッカー車を呼ぶと思います。同様に人工衛星が故障した場合、その場にとどまるとスペースデブリと衝突する危険性があるため、早急に回収する必要があるのです」と説明します。

アストロスケール社は2021年、本プロジェクトの実証実験に成功しました。将来的には顧客の人工衛星にレッカー車のフックに相当する「ドッキングプレート」を装備し、使用後に回収できるようにすることを計画しています。

ESAと契約を結んでいるアストロスケール社は、2024年末までに2回目の実験を計画しており、その後早期にサービスを開始したいと考えています。

さらに、問題の根源にアプローチする取り組みもあります。それはスペースデブリ自体を発生させない人工衛星を作るというものです。

京都大学と住友林業は、木造の人工衛星の打ち上げを目指しています。木造人工衛星をロケットに収納して軌道に乗せ、役目を終えて大気圏に突入する時は安全に燃え尽きる、というものです。

同プロジェクトも、まだ初期段階にあります。2022年3月、宇宙線との反応を調べるために、数種類の木片が国際宇宙ステーションに送られました。

各宇宙機関には、それぞれ独自の計画があります。JAXAでは、3トンを超える巨大なスペースデブリに焦点を当てています。

国際的には、アメリカのオービット・ファブ社や、オーストラリアのニューマン・スペース社などの企業が、人工衛星の寿命を延ばすための軌道内燃料補給などのアイデアを提案しています。

宇宙空間における諸問題は非常に複雑であり、さまざまな解決策が必要だと、JAXAの山元氏は述べました。

「万能薬はないのです」。

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