インフラ老朽化対策にAIは使えるか?タイ企業の技術革新事例

[Publisher] e27

この記事は、e27のClarisse C. Cullaが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

最近の地域経済の傾向を見ると、インフラが経済成長において重要な役割を担っていることが分かります。しかし経済発展の原動力となる一方で、企業はしばしば、経年劣化するインフラへの対処に追われることもあるのです。

エネルギー、石油、天然ガスなどの巨大産業に属する企業は、インフラ老朽化に対する改修や整備を絶え間なく続ける必要があり、さもなければ事業に重大な損害が生まれることになります。例えばアメリカでは2001~2007年の間、インフラの損傷により107億ドル(約1兆4515億円)の損失が発生しているそうです。

ただ、こうした損失は回避することができます。課題は、回避するための解決策が、近年発達した比較的若い産業の一つである人工知能(AI)に基礎を置いているため、まだまだ普及していないことです。

AIによるインフラの最適化

AIは、石油・天然ガス企業による坑井(こうせい)配置や輸送管路の流れの分析を支援できます。これにより、エネルギー産業のワークフローが最適化されるだけでなく、漏出や偶発事故といった起こりうるリスクの低減につながります。また、同産業の業務改善につながる技術として、データキャプチャ画像が挙げられます。老朽化したインフラを点検する人員を派遣する際、事前に現場の状況を調査するのに役立つのです。

タイのスカイラー社は、こうした産業界の課題を、情報収集と機械学習によって解決することを目指す企業の一つです。同社は顧客企業に、「次の段階」を分析したうえで戦略を立てるためのツールを導入し、安全かつスマート、そしてコスト効率の高い方法でインフラ老朽化に対処できるよう支援します。さらに、輸送管路の検査員の配置や海上プラットホームの配備など、ロジスティクスに関する課題にも対応しています。

現状課題に対する最新の解決策を提供

スカイラー社の共同創設者でもあるシワット・サイブアCEOは、自社のビジョンを社名(Skyller)に込めています。この言葉は「学者」を意味しており、同社の専門家チームは、目の前にある課題に対して賢明な解決策を提示する学者の集団であると言えるのです。

同社はドローン、ロボット、人工衛星などのあらゆる画像データ収集機器を駆使して情報のモデリングを行い、シワット氏が言うところの「デジタルツイン」の作成に取り組んでいます。これにより顧客は、必ずしもファースト・レスポンダー(第一対応者)とならなくても現場の問題を正確に評価できるようになるそうです。

顧客は、スカイラー社が収集するデータから、自社のインフラとロジスティクスに関する具体的な問題を特定できます。また、顧客が自らデータ収集を行い、同社はツール提供とデータ処理のみを支援することもあるようです。今のところ、同社が所有するドローンやロボットを主にタイ国内で提供可能なように確保していると、シワット氏は言います。海外顧客の場合、同社は顧客企業の職員に対して各種ツールの使い方をレクチャーすることもできますが、現地企業とのフリート連携によってサービスを提供することも可能とのことです。

これまで述べてきた事例のほとんどは石油・ガス業界のものですが、スカイラー社は再生可能エネルギー、電気通信、建設などの他業界にも貢献しています。

再生可能エネルギーの場合は、陸上・海上の太陽光発電所、風力発電所、送配電網、変電所などを支援。また、電気通信業界においては現在、そのほとんどが通信塔の点検調査といったインフラ関連の支援を行っています。建設業界における同社の取り組みの対象となっているは、屋外の資材置き場や建設現場です。

こうしたスカイラー社の事業は、各産業の損失を削減することに加え、従業員の定着率や満足度向上にもつながり、業界に大きな恩恵をもたらすでしょう。前者については、データ収集機器によって得られる画像がインフラの問題を特定し、それが悪化する前に対処するのに役立ちます。また、記録されるデータをリアルタイムで分析できるので、問題の調査報告も容易になります。後者については、老朽化した施設を点検する際に従業員の命を危険にさらすことがなくなり、従業員がより有用なスキルを身に付けられるようになるはずです。

スカイラー社にとって、インフラの課題解決に向けたキーワードは「効率」。その課題をリアルタイムで分析するためには、AIが不可欠なのです。

AIを用いれば、例えば配管の不具合やガス漏れなどの重大な脅威を、人の介入を待たずに回避できるようになります。スカイラー社が擁する機敏な機器と専門家の洞察力は、課題を最小化して企業が被る損失額を削減すると同時に、環境被害の防止にもつながるでしょう。

環境への配慮や、その対象範囲の拡張にも期待

環境保全は、事業運営上の危険因子や損失の削減に加えてスカイラー社のビジョンの一つであると、シワット氏は説明しています。一例として、沿岸パトロール中の海洋野生生物の画像収集と分析処理を挙げました。これにより、サンゴ礁の白化や海水温度の上昇などの異常事象を分析できます。

スカイラー社は現在、自社のサービス向上を目指して協働できる世界中の提携先を求めています。同社のツールやサービスが広く利用されるようになれば、顧客企業のビジネスだけでなく、データを通じた環境被害の軽減にも大きく貢献することになるでしょう。損失の削減だけでなく、生命救助につながる可能性があるのです。

スカイラー社の機器の性能を考慮すると、改善や拡張の可能性は無限に広がっています。技術革新は、気候変動がもたらす影響の軽減、企業の効率向上、作業員の安全性確保において、先導的かつ重要な役割を担っているのです。
詳細は、スカイラー社のWebサイト(http://www.skyller.co/)をご覧ください。

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