IoTプロジェクト成功の明暗を分ける「スキルギャップ」の打開策

[Publisher] TechRadar

この記事はTechRadarのMike Carterが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

※本記事の著者であるマイク・カーター氏は、インマルサット社の法人部門のプレジデントです。

IoT(モノのインターネット)という言葉が1999年に生まれて以来、その市場は非常に大きく成長・成熟しています。今なお急速な進化を続けており、その勢いが衰えることはありません。市場調査会社のオムディア社によると、世界の衛星IoT接続数は当面の間、年平均成長率(CAGR)25%で増加を続ける見通しです。

企業にとってこの動向は、IoTデータを保存・送信・解析する回線クラウド、接続、アプリケーションを管理・維持する必要性が今後増す一方であることを意味します。これらすべてを可能にするには、数え切れないほどの専門知識を結集させる必要もあります。一人の従業員が、この業務に必要とされる、広範なスキルをすべて備えることは困難と言えるでしょう。企業がIoTに専念するチームを持つこともまだ現実的ではないので、深刻なIoTスキル不足が依然として存在しています。

英ロンドンに拠点を置く衛星通信事業者インマルサット社が行った、農業、電気事業、鉱業、石油・天然ガス、輸送物流の各部門を対象に最近実施した調査では、こうした実態を浮き彫りにしました。多くの企業が、社内のスキル不足がIoT導入の障壁になっていると指摘しています。その割合は、3分の1以上にのぼりました。さらに、サイバーセキュリティー人材が不足している、データ分析・解析やネットワーク技術に関するスキルを持つ人材が必要だと回答した企業も、全体の半数近くだったと言います。

興味深いことに、IoTに関するスキル不足は企業内のあらゆる階層で存在しており、多くの企業では、経営幹部であっても、経営戦略に必要とされるような理解が不足していました。自社は必要なスキルをすべて備えている、と回答した企業は、調査対象全体の3分の1足らずにとどまっています。スキルの需給ギャップにより、企業がIoTを経営戦略全体に統合することができなくなっているのです。

では、IoTのスキル不足を痛感している企業ができることとは何でしょうか。

IoTを経営戦略における最優先事項にする

IoTがもたらす持続可能性、効率性、安全性を理解している人々は、IoTを取り入れたい意欲が高いものの、多くの企業では、IoTを戦略的に考えるスキルが不足しています。それは現場だけでなく経営幹部層も同様です。

例えば取締役会は、自社の経営戦略においてIoTを最優先事項と意思決定する絶好の機会です。ここに、技術に関して豊富な知見を持つ専門家のような人材を取り込むことができれば、IoTが持つすべての潜在能力を発揮できる戦略的な意思決定ができ、非常に有益でしょう。IoTの知識に、それを裏打ちするスキルが増強されることによって、取締役会の場で組織が抱えるIoTスキル不足を理解してもらえます。そして、社内のあらゆるレベルで適切なスキルを備えることができれば、企業は自社が持つIoTデータを最大限に活用し、IoTプロジェクトを自社のより幅広い業務に、効果的に取り入れられるはずです。

スキルアップと再教育に投資する

IoTは比較的新しい技術のため、今日の専門家の中には、この分野を突き詰めようと計画していた人や、正式に教育を受けてきた人はほとんどいません。むしろ、情報科学や工学、ソフトウエア開発などの分野で経験を積んだ人がほとんどであり、その多くは仕事を進める中でIoTスキルを身に付けているのです。そのため、企業がIoTスキル不足を克服するための最も直接的な方法は、従業員の研修にIoTを取り入れることです。

現従業員のスキルアップや再教育への投資は、個人がより上位の役割や、技術的な役割を担えるようになるだけでなく、すべての従業員がIoT技術そのものと事業におけるIoTの役割を確実に理解できるようになることを意味します。従業員がIoTに精通するほど、企業のIoT戦略はより強力になり、プロジェクトの成功につながるのです。

研修プログラムを実施するためのリソースが不足している中小企業は、次の選択肢を検討できます。自社の助けになる可能性がある、外部の専門家を探すことです。

外部の専門家と連携する

IoTのスキル不足は今日の企業にとって重大な懸念の一つですが、ある調査では、エンドツーエンドのソリューションを支援し、その計画・実装・維持を担うIoTサービス提供会社との連携を行っている企業は、全体の3分の1にとどまることが明らかになっています。

ここまで述べたように、IoTプロジェクトの成功を持続させるには、関連する一連のスキルを組織のあらゆるレベルで利用できるようになることが重要です。IoTに関するスキル不足を自社内で補うためのリソースがない場合、必要なスキルを提供している外部企業に頼るとともに、長期にわたる協力関係を築くための適切な仕組みを作る必要があります。恐れず社外に目を向けて、必要なツールを探し求めることは不可欠です。スキル不足で企業のIoTプロジェクトが頓挫してしまうと、リモート業務などに関して多大な影響が出る可能性があるからです。

さまざまな規模の企業がすべての部門で、戦略化・従業員教育・専門企業との連携を通じて自社のスキル不足に対処することにより、IoTへの投資を最大限に活用することができます。これら三つの解決策は非常にシンプルですが、きっと大きな成果をもたらすでしょう。

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