誰もが安価に移動手段を提供できる「ユニバーサルベーシックモビリティー」へと踏み出すアメリカの事例

[Publisher] Smart Cities Dive

この記事はSmart Cities DiveのJason Plautzが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

概要:

  • アメリカ・ペンシルバニア州の都市ピッツバーグでは、公共交通機関や共有モビリティーサービスへのアクセスを提供する新しいMaaS(Mobility as a Service)プラットホームを導入し、誰でもモビリティーサービスを利用できるように計画している。
  • Transit Appが設計した「Move PGH」は、Spinの電動スクーター、Zipcarのカーシェア、Scoobiの電動モペット(ペダル付きオートバイ)、Waze Carpoolによる相乗りサービスなど、各パートナーによるサービスの予約空き状況・稼働状況や、TransitScreenのバスや電車のリアルタイム運行情報をユーザーに提供するもの。また、このプラットホームは、カーシェアなど複数の移動手段を集約し、新たに50カ所に追加した拠点で利用できる。
  • ピッツバーグは「ユニバーサルベーシックモビリティー」(政府がすべての住民に安価で利用しやすい交通手段を提供すべきだという考え方)という計画の試験運用の一環として100人を対象に、助成金で賄われる「Move PGH」パートナーサービスの月額利用料を6カ月間無料で提供する。また、現地の地域開発組織であるマンチェスター市民団体は、サービスの活用方法を習得してもらうための体験会を提供予定だ。「誰もが交通とモビリティーを利用できるようにすることは、市民の経済活動を安定させるための第一歩だ」と、ピッツバーグのモビリティー・インフラストラクチャー局(DOMI)のアシスタントディレクター、キム・ルーカス氏は語る。Move PGHは、「自家用車を所有するよりも手頃で持続可能な移動手段を奨励したい」と付け加えた。

洞察:

新しい移動手段が都市に溢(あふ)れる中、すべての選択肢を整理し、個人の行動計画をまとめるワンストップアプリを提供する民間企業が現れました。UberLyftなどの企業は、サービスと交通情報を独自のプラットホームにまとめようとしており、TransitCubicは都市や交通機関との提携を模索しています。さらに、チケット発行や決済情報を統合し、本来ならプラットホームを横断して行う処理を一元化しているものもあります。

「Move PGH」は、DOMIおよび公共交通を統括するピッツバーグの港湾局と、さまざまな民間パートナーを連携させ、同市が主導するアプリを通じて電気スクーターを含む複数の交通手段を提供します。最近可決された州予算法案の文言により、これまでペンシルバニア州で違法だった電子スクーターがピッツバーグで許可されることになりました。

Spin、DOMIと協力してプラットホームのデータ共有に取り組んだ交通データ会社ポプリュス社のCEO、レジーナ・クルーロー氏は、複数のサイロ化したデータと管理情報をまとめた「オープンエコシステム」モデルから、都市が学ぶことは多いと述べています。さらに、既存技術を活用することで、ピッツバーグは「プラットホームの成果を上げる」ことができると語りました。

このプラットホームは、車両の使用頻度や乗車人数の多い場所を検出し、利用者がアクセスしやすい場所の特定もサポートします。

カーネギーメロン大学の「メトロ21:スマートシティー研究所」のエグゼクティブディレクターであるカレン・ライトマン氏は、DOMIはさまざまな官民パートナーを一元管理することで、市の交通目標に沿った、安全で持続可能なモビリティーを促進することができると述べています。

「Spinだけでも、港湾局だけでも実現は難しい。官民の連携なしには成り立たなかったはずです」 とライトマン氏は語ります。同研究所は「Move PGH」プラットホームに関する初期の意見交換に参加していました。「これまでインフラのほとんどは自動車を中心に考えられたものでしたが、このプラットホームは人間を中心に移動を支援することに重点を置いています」。

MaaSプラットホームは、ピッツバーグが推進するユニバーサルベーシックモビリティー(政府がすべての住民に安価で利用しやすい交通手段を提供すべきだという考え方)の実現に向けた重要なステップです。米国交通統計局によると、2019年の家計支出は、医療費などの特別な支出を除くと、交通費が住宅に次いで2位でした。

交通にかかる支出を抑えられれば、低所得者層に新たな雇用と医療の機会を提供できる、とルーカス氏は言います。「Move PGH」で移動手段の選択肢が増えることや、低所得者層向けのモビリティー拠点設置への関心が高まることは、費用のかかる自家用車に頼らず、便利で持続可能な選択肢を模索する世帯を後押しするはずだと彼女は指摘します。

「すべての住民が最善の方法で移動できる体制を作りたいのです。車を持っていなくても、好きな時に新鮮な果物や野菜が買えるような環境にするべきでしょう」とルーカス氏は言います。

また一部の交通機関では、コロナ禍からの回復に伴い、低所得者向けに無料または割引運賃を検討しています。半年にわたるユニバーサルベーシックモビリティーの試験結果は、今後の低価格のモビリティーに向けた取り組みの指針となり、割引による月額利用料の売上減少の懸念はほとんどないと、ルーカス氏は付け加えました。

「交通の利便性を高めることができれば、住民の経済状況を改善できるという事実を、説得力のある形で示したいと思います」と、ルーカス氏。「利用者に金銭的な負担をかけることなく、システムをサポートできる資源が今後見つかるかもしれません」 と語りました。

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