昆虫タンパク質は、人口と食糧のギャップを埋められるか

INSEACTの共同設立者であるティム・ファン・フリート氏(左)とマイケル・バドスキー氏
画像提供: INSEACT社

[Publisher] e27

この記事はe27のSainulが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

シンガポールを拠点とする代替タンパク質の製造企業、INSEACT社は2021年初めに、ADBベンチャーズ、Loyal VC(カナダ)、INSEAD Asia Angels Clubなどの投資家から応募超過でシード資金を集め、130万米ドル(約1億4200万円)を調達したと発表しました。

ここには、世界的な大手エビ養殖業者やヨーロッパ系の資産家のファミリーオフィス、クラウディア・ツァイスベルガー氏(INSEADビジネススクールのプライベート・エクイティ論 教授)、イドガー・キップスルイス氏(ヨーロッパに拠点を置くスタンダードインベストメントの共同設立者)などの個人投資家も参加していました。

INSEACT社はこの資金を足がかりに、シンガポールにクロバエのパイロット生産・研究開発拠点を建設し、そこで生産された製品を飼料として販売します。

世界的に見ると、食料生産に適した土地のほとんどがすでに使用されており、天然魚介類などの資源も乱獲され、増加傾向にある人口を賄うことができなくなっています。つまり新しい食料供給源の確保が急務であり、INSEACTは「タンパク質と人口」のギャップを埋めるべく設立されました。

INSEACTのコンセプトは、共同設立者であるティム・ファン・フリート氏とマイケル・バドスキー氏が、INSEADビジネススクールでMBA対策講座を受けていたときに生まれたものです。

同社は、エビの餌をはじめとする養殖用の持続可能な昆虫タンパク質の生産に特化し、パーム油の廃棄物を原料として昆虫の餌を製造しています。その最先端のソリューションは、パーム油の製造過程で排出される廃棄物を、クロバエを利用してバイオコンバージョン(生物を触媒とした物質変換)するというもの。これにより、完全なサーキュラーエコノミーを実現できます。

この過程で、高品質のタンパク質、油、有機肥料の三つの製品が生成されます。タンパク質製品には、XFprotein(クロバエの幼虫を乾燥・粉砕した栄養豊富な飼料原料)、XFoil(養殖クロバエの幼虫から抽出し、精製した昆虫油)、XFfrass(クロバエの幼虫の堆肥化の副産物)などがあります。

これらのタンパク質製品は、エビや魚の飼料原料として高性能で、養殖用飼料となる天然魚への依存を低減します。

また同事業は、カーボンネガティブと廃棄物ゼロをうたっています。

養殖飼料市場は、2022年までに世界で1560億ドル(約17兆900億円)に達すると予測されている急成長市場です(CAGR13.3%)。そして、その市場の89%はアジアで構成されています。INSEACT社はこのような市場にサービスを投入しようとしているのです。

同社のCEO、ティム・ファン・フリート氏は次のように語っています。「持続可能な昆虫由来の製品は、さまざまな環境問題を解決する鍵になります。当社のタンパク質製品は、エビの成長に有効だというデータをお客さま自身が実証されており、大幅なコストと飼料消費量の削減を実現しています。INSEACTは世界のほぼすべての養殖水産物業者と取引しています。これまでのやり方では魚やエビの養殖コストは跳ね上がる一方です。一方で魚介類のニーズは留まるところを知りません。このような産業構造のため、記録的な速さで産業規模の昆虫タンパク質の生産を実現できると考えています」。

INSEACT社は、生産能力の規模を柔軟かつ予測可能な形で変更できるように設計された、モジュール式昆虫飼育システムを開発しています。このシステムでは、生産能力を増強するタイミングや場所を根拠に基づいて判断できるため、推測や希望的観測で規模を拡大しなくて済むのです。

この次世代の垂直飼育システムは、クロバエ飼育関連企業のこれまでのやり方から教訓を得て、同社の資本コストを削減することで運用効率を向上させています。

COOのマイケル・バドスキー氏は「昆虫業界はまだ歴史が浅く、目まぐるしいスピードで技術革新が進められています。数年後の生産方式は、現在とはまったく違うものになっているはずです。生産体制を拡大する『Flexibility-by-design(設計段階からの柔軟性)』が業界をリードする効率性につながっています」と、語ります。

「アジアでは、持続可能で安価な食糧供給に対してのニーズが高まりつつありますが、代替タンパク質が重要な役割を果たすでしょう。INSEACT社独自のソリューションとアプローチは、今後も発展・拡大していくと思います」と、ADBベンチャーズのキーン・ン氏は語ります。

INSEACTはINSEADベンチャーコンテスト(Venture Competition)でを受け、2019年3月には雑誌『Poets and Quants』に「最も創造的破壊に取り組むMBAスタートアップ企業」として掲載されました。

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