世界で進む「15分都市」構想。未来の都市の姿とは?

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[Publisher] Fast Company

この記事はFast CompanyのAdele Petersが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。 

フランスのパリは「15分都市」(日常のほとんどの用事を徒歩や自転車で済ますことができる都市計画)を最初に提唱した都市の一つで、現市長が改革を進める前から車を使わずとも移動しやすい都市構造となっています。対してアメリカの一般的な郊外の住宅街は、自動車ありきの都市構造を変えるのは難しいのが現状です。そこで、ユタ州の州都ソルトレイクシティ郊外にある都市・ドレイパーでは、住民が車を持っていなくても生活できる地区をゼロから設計しようとしています。

アリゾナ州のフェニックス郊外でも「自動車禁止(car-free)」と称する街を建設中ですが、「ザ・ポイント」と呼ばれるユタ州でのプロジェクトは、住民が完全に車を手放すというわけではなく「運転する機会を大幅に減らす」ことを目指しています。「私たちの目標の一つは『車1台あれば十分な地域(one-car community)』を作ること。複数台の所有を希望する住民もいると思いますが、それが必要ないようにできると考えています」と、国有地で行われる同プロジェクトを主導する政府機関、マウンテン州立土地管理局の「ザ・ポイント」事務局長であるアラン・マシソン氏は語ります。

2022年の夏に取り壊しが決まっている州立刑務所があるこの場所は、約2.4平方キロメートル(600エーカー)強の広大な敷地を有しています(モナコ公国の全土や、ニューヨークにあるセントラルパークの70%よりも広い)。また、この広さは「15分都市」のコンセプトにもぴったりと言えます。「歩く速さにもよりますが、街の中心部から端までは10〜15分程度です」と、世界的な設計エンジニアリング企業のスキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル社で都市設計・計画担当主任を務めるピーター・キンデル氏は語ります。 同社は、7400世帯が居住予定のこの地区の都市計画の策定を担当しました。

この計画では、オープンスペースを構築し、居住者は、車の往来がないリニアパーク(河川や線路、高速道路などの跡地に計画される公園)を歩くことでオフィスや学校、店舗などに行けるようにするというもの。「オープンスペースシステムによってエリア全域を徒歩で移動できるようにします」とキンデル氏は言います。道路は車も通れますが、自転車レーンや広い歩道を優先的に確保します。また、近隣都市のソルトレイクシティやプロボへはバス・ラピッド・トランジット(高速バス)で移動することが可能で、徒歩や自転車を使わず急いで用を済ませたい人のために、自律走行の小型シャトルが近場を巡回する予定です。車や自転車、スクーターなどをシェアすることができるモビリティ拠点も用意します。

また、高速道路の上に架設された歩道橋を通って川に隣接するレクリエーショントレイルにつながる小道が作られ、向かい側には、ハイキングコースやサイクリングコースもあるとのこと。「これは多くの都市にとっての将来の形ともいえる、人々が自然とのつながりを求める『生物形態学的都市主義(バイオモーフィックアーバニズム)』と言われる考え方です。逆に、住民は自動車通勤で1日を無駄にすることは望んでいません」と、キンデル氏は言います。川と山をつなぐ道は、野生動物がオープンスペース間を移動するのにも役立ちます。

この土地は国が所有しているため、政府は地域住民に対して都市開発に求める方向性を長期間にわたり尋ね回りました。「私たちは彼らから、より便利で、車中心ではなく、もう少しコンパクトで、設備が豊富なコミュニティーが魅力的であるという明確な意見を聞いたのです」と、マシソン氏。また、ユタ州の人口は急速に増加しており、「住民は、この人口増が何を意味しているのかを心配しています」とも話します。「人口増は、彼らが理想とする質の高い生活に、どう影響するのか?この地域の美しさを守り、空気の質を向上させ、交通渋滞を最小限に抑えながら、私たちが思慮深い成長を遂げる方法を検討することに、地域の人々はますます前向きになっていると考えます」。

中には、車の所有を見送る人も出てくるでしょう。「この構想は、ハイテク分野や科学分野の若い労働者を引きつけるための求心力にもなります。彼らがよくある郊外の街に住みたがらないことは明らかです」と、キンデル氏は語ります。「彼らはより都会的な機能を求めながらも、隣人と知り合うことでコミュニティーの一員になりたいと考えています。一日中、車で移動する生活は望んでいないのです」 。

この場所は他にはない特徴があり、アメリカで初めて作られる、真の「15分都市」となりそうです。しかし、このアイデアは他の都市でも再現できるとキンデル氏は言います。「アメリカの他の郊外における都市開発の先行事例になりうると考えています。特に西部は新しい都市が多く、デンバーやダラスなどでは、急速な発展によって中心部から周辺へと無秩序・無計画に市街地開発が広がる『スプロール現象』が進んでいます。これらの都市には遊休地や古い工業用地も多く、600エーカーまではなくても100/200エーカー(約0.4/0.8平方キロメートル)の広さはあるかもしれず、このコンセプトを転用できそうです。しかし、歩きやすさや、オープンスペース、道路設計の見直しに取り組む必要があるでしょう」。

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