再エネ普及の鍵となる、送電効率向上のためのイノベーション

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[Publisher] Fast Company

この記事はFast CompanyのAdele Petersが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。 

アメリカでも、再生可能エネルギーの利用は拡大しており、2020年には風力や太陽光などが発電量の約20%を占め、2000年と比較すると90%増加しています。しかし、送電網インフラ整備は遅れています。大半の送電線は1908年から使用されているもので、簡易かつ非効率的な設計になっています。再生可能エネルギーには適していないのです。

「既存の送電網があっても、新たに建設した風力発電所で500メガワット以上を発電して送電網に接続しようとすると、その電力を吸収できない可能性があります」と、送電網用の高効率導体を製造するスタートアップ、TSコンダクター(TS Conductor)社の最高戦略責任者、エルベ・トゥアティ氏は語ります。「つまり、送電網の容量を増やす必要があるのです」。

TSコンダクター社は、ビル・ゲイツ氏のブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ、ナショナル・グリッド・パートナーズ、ネクステラの子会社からシリーズA(投資家が企業に対して出資をする段階の一つ)で2500万ドルの資金援助を受け、送電線を再設計しています。これにより電柱を変更したり改造したりせずに、2倍の電力を送電できるようにしました。

現在使われている導体は、電気を通しやすいアルミニウムで銅線芯を囲っています。新設計の導体は、飛行機に使われる軽量で強度のある炭素複合素材(カーボンコンポジット)を芯材に使用。銅よりも強度が高いため、送電線が垂れ下がる危険性は少なくなります。また、非常に軽量のため、その分芯材を囲うアルミニウムの量を増やすことができ、送電線の容量を2倍に増やすこともできます。バリエーションの一つとして、山火事を防ぐために送電線を覆う断熱材をさらに増やすというアイデアも実現できます。

2021年の初めに、米国で初めての架設が行われました。ノースダコタ州で新たに開設された風力発電所をサポートするための、送電線の取り換えです。この新しい送電線を使用しなければ、電力会社は60本もの支持構造物を取り換えなければならなかったでしょう。「2020年に旧世代の導体を使ったプロジェクトでは1年の歳月がかかりましたが、当社の導体を使用したプロジェクトは他のインフラに変更を加える必要がないため3カ月で完了しました」と、TSコンダクター社の営業担当副社長、ジョン・レスラー氏は語ります。「さらに期間が1年から3カ月に縮まることで、プロジェクトの資本支出を40%削減できました」。この新しい送電線自体は従来の導体よりも高価ですが、全体的に見ればコスト削減になります。

現在の非効率な送電線の場合、CO2排出量も多くなります。2019年に行われた試算によると、送電中の電力損失を補うための発電によるCO2排出量は、10億メガトンにも上るそうです。新しい送電線は設計上、電力の損失が少ない上に、火力発電と併用した場合でも公害の削減につながります。

また、屋上の太陽光発電を蓄電池につなぐバーチャルパワープラント(VPP)は、新たな送電網のインフラが必要ありません。しかし、電気自動車やヒートポンプなどの家電製品を動かすために電力需要が増えれば、大規模な再生可能エネルギー発電所が必要になり、送電線を延長しなければなりません。「この研究をしている人たちは、(送電網を)2倍に増やす必要があると言います。実際にカーボンネットゼロの目標を達成するには、そのさらに2倍にする必要があるでしょう」と、レスリー氏は語ります。

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