プライベートワイヤレスネットワークの活用とサステナビリティ

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[Publisher] FierceWireless

この記事はFierceWirelessのMartha DeGrasseが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

企業が自社利用専用に設営する無線回線「プライベートワイヤレスネットワーク」を導入することで、企業は電力消費をきめ細かくコントロールできるようになり、省エネルギーやCO2排出量削減につながることが期待されています。携帯回線(LTE)を使って空調システムを監視・制御することで、エネルギー使用量の削減を実現している企業もあります。

スウェーデンの通信機器メーカーであるエリクソンは、世界初の導入企業です。5G無線通信機器を製造するテキサス州の工場では、生産機器の接続にも5Gのプライベートワイヤレスネットワークを使用しており、同社はこのプライベートワイヤレスネットワークによって工場のエネルギー消費量が25%、廃水量が75%減少したと評価しています。

エリクソンの子会社であるクレイドルポイントでは、空調管理のプライベートワイヤレスネットワーク用途でのルーターの需要が高まっています。「その背景にあるのは環境配慮で、状況をコントロールしてコストを削減するとともに、CO2排出を減らす方法が求められているのです」と、クレイドルポイント最高経営責任者(CEO)、トッド・クラウトクレマー氏は語ります。「現在、大手空調ソリューションプロバイダー数社と協力して、ネットワークによる店舗スペースの空調制御を計画しています」。

空調システム事業者がサービスとしての空調管理を実現するには独自のネットワークを導入する必要があり、プライベートワイヤレスネットワークは、通常回線をリースして接続するよりも高速でコストも抑えられると、クラウトクレマー氏は付け加えます。5Gの普及により今後プライベートワイヤレスネットワークの価値はさらに高まります。「5Gは空調管理だけでなくビル全体の拡張現実(AR)、仮想現実(VR)機能にまで応用できます」と、彼は言います。

小売業はクレイドルポイントにとって最大の市場と捉えており、クラウトクレマー氏によると、この業界では空調システム用のプライベートワイヤレスネットワークが特に注目されているということです。その背景には、空調システムベンダーがハッキングされた事例があります。そのようなリスクを考慮に入れて、一部の小売企業では、顧客データを扱うネットワークと空調システムを分離したいと考えています。

「空調インフラをITと同じインフラに乗せることで、セキュリティーホールが生まれることが明らかになりました」と、クラウトクレマー氏は語ります。「空調システムをシステムとして独立させることで、さまざまなメリットが生まれます。そこで各小売企業の空調システム制御を主要なネットワークから分離する作業を行っていますが、分離する方法の一つはパラレルワイヤレスネットワークを使うことです」。

スマートビルディングの分野では、パラレルワイヤレスネットワークが注目されています。ニューヨークの不動産会社であるルディンマネージメントカンパニーの最高執行責任者(COO)兼最高技術責任者(CTO)、ジョン・ギルバート氏は「プライベートワイヤレスネットワークは、テナントや他の無線信号に干渉しないので最適な選択肢です」と述べています。同社は、スマートビル管理用に Nantum というソフトウエアを開発しています。

ギルバート氏は、建物内部のエネルギー使用量のモニタリングやコントロールにも、CBRS(米国の周波数共有方式:Citizens Broadband Radio Service)のプライベートワイヤレスネットワークを使用したいと期待を寄せています。「FCC(米国連邦通信委員会)がCBRSを商業化したのと同じ頃、各企業のCEOはダボス会議に集結し、カーボンニュートラルな世界を目指すと宣言しました」と、彼は回想します。

ギルバート氏が指摘する通り、世界中のCEOがCO2削減に取り組んでいる現在、データ分析のためのエッジコンピューティングと組み合わせることで、プライベートワイヤレスネットワークは目標達成のための重要なツールとなるかもしれません。

「データを子細に収集・分析できるようになればビルの効率化が進み、CO2排出量や電力消費量の削減にもつながるはずです」と、ギルバート氏は語ります。「これにより、持続可能でカーボンニュートラルな環境が実現するでしょう」。

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