IoTの実験場となる米国の大学キャンパス

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[Publisher] Education Dive

この記事はHigher Ed DiveのKatie Pyzykが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

※この記事は2018年当時の内容となります。

広大なキャンパスを持つ大学は、小さな街のようなものです。構内規則が整備され、建物が整然と立ち並び、独自の移動手段、専任の警備員やセキュリティー機器を導入している大学も多くあります。

古くからイノベーションの研究拠点とされてきた大学ですが、テクノロジーの導入やサステナビリティへの取り組みが進むなど、大学キャンパスの都市化とも言える現象が進んでいます。

大学にも設置が進むCIO

米国では、大学でも最高情報責任者(CIO)を迎え入れ、セキュリティーに優れたテクノロジーをキャンパス全体に導入するケースが増えています。ノースウェスタン大学やボストンカレッジ、ダートマス大学など多数の大学がCIOを設置しているほか、スタンフォード大学でも2018年にCIOが設置されました。

現代のキャンパスにおけるCIOの役割は10年前と比べると大きく変わってきています。構内のコンピューターを正しく機能させるには、IT部門を管理するだけでは足りません。今やCIOは、ほぼすべての部門と連携しながら、円滑かつ効率的なデジタルツールの運用やテクノロジーの統合を図るのが一般的です。さらに、学生や大学全体の利益となるような戦略構築を主導することも当たり前になっています。

IoTを活用したキャンパス運営

eブックや電子黒板などのテクノロジーは、教室内での講義に使われるほか、教室外にもさまざまなテクノロジーが導入され、スマートキャンパスとも言える新しい運営が行われています。

スマートキャンパスがうまく機能するのに欠かせないのが、信頼性の高い堅ろうなWi-Fiネットワークを基盤とするモノのインターネット(IoT)です。こうしたネットワークには、キャンパスのインフラに加え、学生が持ち込む数千や数百万もの電子デバイスにも対応できる拡張性が求められます。そうした中、アーカンソー大学やオハイオ大学など複数の大学がここ数年でWi-Fiをアップグレードしたほか、アクセスポイントを増やし、教室の内外を含むキャンパス全体の接続性を向上させました。

都市と同じく大学でも、スマートプロジェクトの実施においてはデータ収集がベースとなります。アリゾナ州立大学では、構内随所に設置されたセンサーやカメラでデータ収集を行っています。これは主に、同大学のサンデビルスタジアムの運営に活用されているようです。例えば、同スタジアムに取り付けられたセンサーの一部は、気温や騒音に関するデータのほか、トイレの水道が出しっぱなしになっている場所を検知します。またカメラを活用し、売店やトイレに並ぶ列の進み具合をトラッキングしています。

ニューヨークやラスベガスなどの都市では、情報やサービスを提供するデジタルキオスク(売店)が浸透しています。ミネソタ大学では、10年ほど前にスマートキャンパスの取り組みが始まって以来、300台近くのデジタルサイネージやキオスク端末が導入されてきました。拡張性のある同システムは、システムに加えられた各学部の情報を頻繁に掲示するほか、各キャンパスに一斉に緊急速報を送ることもできます。

また2017年には、ネブラスカ大学リンカーン校に28台のスマートキオスク端末が試験導入されました。これにより学生は、接続された端末やクラウドアカウントを通じて遠隔で印刷ができるようになりました。同キャンパスにはもともと、コネクテッドロッカーやセルフサービスレジなどのスマートテクノロジーがあり、ここにキオスクが加わる形となりました。

自動運転車の実験場としてのキャンパス

自動運転車も、スマートシティーの関連分野として勢いが増している分野の一つです。この分野では、接続性が重要とされます。ウィスコンシン大学マディソン校は2018年1月、同年3月までに路上の信号機にセンサーを取り付けてAV実験ゾーンを作ると発表しました。そこでのシミュレーションを通して、コネクテッドカーとキャンパスのインフラ間や自動車同士の相互通信のあり方が研究されています。

またミシガン大学も、約13万平方メートルに及ぶ自律走行コネクテッドカーの実験施設「Mcity」を建設し、大きな注目を集めました。ここでは、定員数15名の自動運転電気シャトルバス2台を使ったシステムの実証実験が行われます。

環境負荷低減の実証実験も

エネルギー使用の削減や環境負荷の低減においても、大学が最先端を走ることは多いものです。シアトルのワシントン大学は、エネルギーの使用状況をリアルタイムでトラッキングする200個以上のスマートメーターを構内の建物に設置し、スマートグリッドのプロジェクトの実証実験を行っています。集められたデータをコンピューターソフトウエアで分析し、学生のエネルギー消費状況を可視化することで、最終的には、エネルギー使用量の削減やコスト削減、環境負荷低減が期待されています。

クレムソン大学でも、ソーラーパネルの設置など、さまざまな省エネ・再生可能エネルギーの取り組みが進められています。2017年には、蓄電池の使用やシステム制御を自動化する予測制御ソフトウエアを活用したエネルギー貯蔵システムを導入しました。またカリフォルニア州立大学ドミンゲスヒルズ校でも、キャンパス用のエネルギー貯蔵システムの建設が始まりました。

従来の電力網に代わるサステナブルな手段としてマイクログリッドも広まっており、すでに導入した大学も多数あります。テキサス大学オースティン校は、キャンパス全体の電力や空調のニーズを満たすため、専用の電力系統を構築しました。

イースタンメノナイト大学でも、2018年3月に新たなマイクログリッドの稼働が開始され、電力需要の高い時間帯には地域の電力系統から独立して構内全体の電力需要を満たせるようになりました。さらに、コスト削減にもなると期待されます。

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