普段使っている電力を、再生可能エネルギーに切り替える台湾発のベンチャー企業

f:id:ORIX:20210624124717j:plain

[Publisher] e27

この記事はe27のStephanie Augustinが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

ESG(環境、社会、ガバナンス)を重視する投資家や株主が増え、再生可能エネルギー(RE: Renewable Energy)などのサステナビリティにアプローチする事業への取り組みは、もはや企業の社会的責任や広報活動という枠にとどまらなくなっています。

RE100は、100%再生可能エネルギー由来の電力での事業運営に取り組む世界的な企業主導型の取り組みで、2021年4月現在、3M、アクセンチュア、BMW、ダノン、ペプシコなどの多国籍企業を含め、290社以上の企業が参加しています。これらの企業は世界175の市場に進出しており、年間315TWh(TWh:電力量の単位)の再生可能エネルギー需要を担っています。

しかし、再生可能エネルギーを企業や個人に供給するのは、簡単なことではありません。電力事業は世界各地で規制が厳しい上、市場が独占的で、参入障壁が高く、再生可能エネルギー由来の電力が利用者に直接届く市場は多くありません。

電力のオンラインマーケットプレイスのパイオニア

そこで登場したのがKiWiです。台湾のスタートアップ企業であるKiWiは、個人や企業の再生可能エネルギー調達に変革を起こそうとしています。アプリをワンクリックするだけで、再生可能エネルギー由来の電力を直接購入できるようにしたのです。

台北を拠点とするこのスタートアップ企業は、ブロックチェーン技術や人工知能(AI)による分析、ソーラーパネルの発電効率をモニタリングする技術を駆使して、従来の電力供給モデルからの脱却を目指しています。

「当社のAI搭載型再生可能エネルギー取引プラットフォームは、利用者と生産者が直接つながり、地域の太陽光発電所や風力発電所から電力を調達することができます。AIを活用して利用者の電力消費パターンを分析して、電力需要予測を提供することで、誰もがスムーズに移行できるのです」と、共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のスティーブ・フアン氏は語ります。

KiWiは、オンラインベースの電力マーケットプレイスを実現したスタートアップ企業です。同社の電力に関する豊富な知識は、再生可能エネルギー分野で15年以上の実績を誇りいくつもの企業を立ち上げてきた連続起業家のフアン氏の専門知識に裏打ちされたものです。

Gintech Energy社とE-ton Solar社という二つの太陽光発電企業を台湾証券取引所へ上場させたのもフアン氏の実績です。

世界中で電力事業やエネルギー源の革新を目指す人々は、エネルギー市場における独占企業、高い再生可能エネルギー変換コスト、そして6カ月以上の期間を要する煩雑な行政手続きという三つの課題に直面しています。

AIによる支援、ブロックチェーンによる検証

スピード、効率性、透明性の高い再生可能エネルギーを調達できる点がKiWiの特長です。申し込みに必要な時間はわずか3分。ワンクリックでアカウントを作成でき、すべての取引はブロックチェーンによって記録されます。完全に分散化されたプラットフォームを用いながら、利用者は電力使用状況を分析し、需要を予測することができます。

KiWiは、長期的な電力購入契約(PPA)を通じて再生可能エネルギー由来の電力を購入し、ブロックチェーンで記録を行います。エンドユーザーである一般家庭や企業は、KiWiのウェブサイトから電力や証明書などを直接購入します。待ち時間はほぼゼロです。電力置き換えコストもゼロで、AIがエネルギー調達経路の最適化を行います。

再生可能エネルギーの調達プロセスは、まず発電から始まります。KiWiでは、太陽光発電所や風力発電所のデベロッパーなど、主要なEPC(設計、調達、建設)企業から、長期にわたる大量の再生可能エネルギーを確保しています。例えば、KiWiは台湾電力会社(TaiPower)から電力を調達しており、これらのEPCは、TaiPower社と余剰電力のPPAを締結します。

​次に、KiWiとTaiPowerが再生可能エネルギーの送配電契約を結び、TaiPowerは発電側と利用者の両方にスマートメーターを設置します。

その後、KiWiに申し込んだ利用者はオンラインPPAに署名し、同社のプログラムに参加します。KiWiのSmart Energy AIが、利用者ごとのエネルギー使用モデルを分析し、最適化します。

最後は、KiWiのSmart Energy Monitoring(スマートエネルギーモニタリング)というユーザーインターフェースです。リアルタイムでエネルギー使用データが確認できるもので、利用者は個々の使用実績データに基づいて節電し、コストを削減することができます。

東南アジア諸国連合(ASEAN)へのゲートウェイとしての資金調達、パートナーシップ

​KiWiは企業認知の強化と、2021年6月までにモバイルアプリをオンライン化することを目標としており、まず台湾で展開し、その後、シンガポールを経由してASEANでの展開を計画しています。また、このプラットフォームは、米国のプロジェクトチームとエネルギー交換モデル受け入れに積極的な州の方針にも支えられ、2021年後半にカリフォルニアでの展開を計画しています。

「KiWiが米国と台湾で500MW以上の再生可能エネルギーの供給を確保できたのは、15人の技術者、エンジニア、プロジェクト管理のエキスパートで構成されるコアチームの努力のたまものです」と、フアン氏は語ります。

KiWiは、アジアを中心とした資金調達を終え、再生可能エネルギー銘柄に興味のある投資家への打診を検討しています。フアン氏は、来年には大規模なシリーズA(最初の重要なベンチャーキャピタル出資を受ける段階)を完了できると考えています。

「当社では、シンガポールでESGに取り組んでいるEPCと企業、特にRE100加盟企業との提携を考えています。KiWiを関連会社や顧客のネットワークに提供するため、大手企業とのパートナー提携による共同マーケティングを検討しています。シンガポールは、マレーシア、タイ、インドネシアなど、大規模なエネルギー市場を持つ近隣諸国に進出するための第一歩であり、出発点となるでしょう」と、語ります。

クリーンでグリーンな未来を目指して

世界保健機関(WHO)の統計によると、2021年現在、毎年約700万人が汚染された空気にさらされて死亡しており、そのうち420万人は環境大気汚染が原因とされています。

こうした統計からも、政府や企業、個人に対して、大気汚染の原因となる石炭火力発電所からの撤退を求める声が高まっています。

2019年、世界の再生可能エネルギー由来の電力の調達量は200GWに達し、その価値は3000億ドルに達しました。企業向けPPAは市場の25%(50ギガワット、750億ドル(約8.2兆円))、中小企業や一般家庭向けは10%(10ギガワット、150億ドル(約1.6兆円))を占めています。

「私たちは、再生可能エネルギー由来の電力がエネルギー源の主流となる未来に向かって進んでいます。電力を切り替えた企業のうち、87%は販売先企業からの要望、76%は株主からESGに対する要求があったことがきっかけだということです。再生可能エネルギー由来の電力を導入する企業の80%以上はコスト削減が目的で、84%は長期的なリスク管理が目的です」と、フアン氏は語ります。

この記事は、STPIが後援するe27チームが制作し、e27に掲載されました。

事業を通じた社会課題への貢献

環境エネルギー事業・サービス

脱炭素社会への移行

ストック型・循環型社会の形成

ページの先頭へ

ページの先頭へ