米国の自動搬送ロボット最前線

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[Publisher] VentureBeat

この記事はVentureBeatのKyle Wiggersが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

研究施設・企業向けに自動運転ロボット技術・サービスを提供するOtto Motors(オットーモーターズ)は2020年6月、2900万ドル(約31億7600万円)の資金調達を完了したと発表しました。オットーの親会社であるClearpath Robotics(クリアパス・ロボティクス)の最高経営責任者(CEO)、マシュー・レンダル氏は、この資金を獲得したことで、コロナ禍が続く間、そして収束してからも、顧客のニーズに応えることができると語ります。

新型コロナウイルスの感染拡大による人出不足を受けて、一部の小売業、フルフィルメント(配送代行)、ロジスティクス企業では、自動搬送ロボットの導入を進めています。例えば、Gap(ギャップ)の自動ピッキング(取り出し)システムの数は3倍に増えて106台になり、Amazon(アマゾン)はピッキング作業の大部分を自動化していると報じられています。ABI Research(ABIリサーチ)によると、2018年には業務用ロボットが設置されている倉庫は世界で4000棟に満たない数だったものの、2025年までに5万棟以上の倉庫に400万台以上のロボットが導入されると言うことです。

オットーは、こうした急増する需要に対応できる位置付けにあります。GE、ネスレ、ベリーグローバルなどの企業を顧客に持ち、製造業や倉庫施設内でのマテリアルハンドリング(製品・部品の搬送)用の自律走行型搬送ロボットを提供しています。予想通りではありますが、食品、飲料、医療機器製造など、コロナ禍に関するリスクに対応する企業からの関心が高まっていると同社は語っています。

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上図:シェルフを搬送するOtto 100
画像クレジット: Otto Motors

「新型コロナウイルスの感染拡大によって、事業継続性(BCP)に注目が集まりました」と、レンダル氏はVentureBeat誌の取材に答えています。「自動化に投資していた企業は、事業を継続できているため、他の企業もこの流れに追いつこうとし始めています。2020年時点では5カ年で段階的に導入していこうと計画を立てていた企業も、1年や2年で完了させようとする企業も増えています」。

オットーは、地雷を探知・除去するロボットの開発を目指していたウォータールー大学の卒業生が2009年に設立したClearpath(クリアパス)社から独立し、設立した企業です(クリアパスは、現在も研究施設向けサービスを提供しています)。オットーのチームは、2014年、プロトタイプの1号機(材料の搬送を自動化する無人車両)を開発し、その後、生産ラインへの材料の搬送、工程間での部品の移動など、主に産業用途に事業展開しました。

現在、オットーは、AMR(自律走行搬送ロボット)、フリートマネジャー(車両管理)、Otto Care(サポートサービス)で構成された搬送プラットフォームを提供しています。Otto AMRは、Otto 100(最大約100キログラムまで運搬可能)からOtto 1500(3トン以上の運搬が可能)まで、3種類の構成から選べますが、どのタイプにも周辺環境をレーザースキャンするLiDARセンサーが搭載されています。Otto Careでは、ファームウエアのアップグレードや現地技術サポート、オプションでAMR車両(ロボット)のハードウエアとソフトウエアのメンテナンスを年間で受けられるサポートを提供しています。

フリートマネジャーは、車両交通整理、作業管理などのタスクを処理し、施設を継続的にマッピングしてAMRの現在地を可視化します。管理者は、速度制限の設定や歩行者の多いエリアのマーキングなどのルールを適用して、建物内でのロボットの動作をカスタマイズすることができます。また、継続的に車両に関するデータを処理して、すべての車両の状態(充電量、現在地、積載量、車両能力など)を追跡します。フリートマネジャーは、材料の受け取りや引き渡し、バッテリー充電などの作業を無駄がないように割り当て、Slackなどを介して作業時間やスループットを管理者に通知します。また、HTTP RestやWebSocketsなどのプロトコルを介して、既存のシステムとも連携します。

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上図:Boston Dynamics(ボストンダイナミクス)製のHandleと並んで作業するOtto 1500ロボット
画像クレジット:Otto Motors

31億ドル(約3400億円)規模と言われるインテリジェントマシン市場では、オットーの他にも、自動化ロボット技術をフルフィルメントセンターにリースするロサンゼルスのロボットスタートアップ企業のInVia(インヴィア)、TransferWise(トランスファーワイズ)の共同設立者であるターヴェット・ヒンリクス氏が支援するクロアチアの産業用スタートアップ企業のGideon Brothers(ギデオンブラザーズ)、ロボットシステム企業のGreyOrange(グレイオレンジ)、AIとロボットの融合で小売業者、eコマース、ロジスティクス企業のマルチチャネルフルフィルメントを自動化するBerkshire Grey(バークシャー・グレイ)などの競合が存在します。フルフィルメントだけでも90億ドル(9900億円)規模の産業で、米国では約6万人の従業員が注文を処理しています。また、Appleの製造パートナーであるFoxconnなどの企業は、海外の組立工場に数万台のロボットを導入しています。

オットーは、ボストンダイナミクスなどの最先端のパートナーと提携関係を結んでおり、共同で段ボール箱のピッキングとパレタイズ(パレットに荷物を積み付ける作業)のソリューションを開発しています。また、2020年6月から数カ月間のAMRの納入先の70%がフォーチュン500の企業であり、過去3年間の成長率は70%から100%に達するなど、同社の事業は非常に順調です(レンダル氏によると、オットーが納入・設置したロボットは3000台以上に上るということです)。

医療機器の機能テストや保証サービスプログラムの管理を行う米国ミルウォーキー近郊のGE Healthcare(GEヘルスケア)の修理センターでは、オットーの自動運転車両が修理用部品を積み込んで作業員に届けたり、材料を発送したりといった作業を行っています。ミシシッピーのToyota Motor Manufacturing(トヨタ・モーター・マニュファクチャリング)では、カローラの組立工場でOtto 1500型ロボットが常用タイヤの搬送を行っています。最近では、ケンタッキー州にあるベリーグローバルグループの工場に19台のロボットを設置し、24時間態勢で、自動生産マシンとの間でケースの受け渡しを行っています。

オットーの最新の資金調達(シリーズC)は、Kensington Private Equity Fund(ケンジントン・プライベート・エクイティ・ファンド)が主導し、BMO Capital Partners(BMOキャピタルパートナーズ)、Export Development Canada(EDC/カナダ輸出開発公社)、前回の投資家であるiNovia Capital(iNoviaキャピタル)とRRE Ventures(RREベンチャー)が参加したことで、同社の調達総額は8300万ドル(約90億9000万円)に達しました。調達した資金の一部は、技術、製品、営業、マーケティングサポート、アカウント管理チームなどの260人の従業員の増員拡大に当てますと、レンダル氏は語っています。

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