女性起業家の地位向上を目指すデジタルバンクプラットフォーム

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[Publisher] e27

この記事はe27のAnisa Menurが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

デジタルバンキングは2020年に登場した最も華やかなテーマの一つです。シンガポールなどの東南アジアの主要市場が、企業にデジタルバンキングライセンスを発行したことで、この盛り上がりは今後も続きそうです。

こうした中、あるスタートアップ企業が他とは一線を画すサービスを開発しました。それが「Lucy」というアプリです。

現在、トライアル段階の「Lucy」は、起業家精神と金融包摂を通じた働く女性の権利と地位向上を目的としたデジタルバンクプラットフォームです。他のデジタルバンキングプラットフォームとは一線を画すこのスタートアップ企業は、女性の出稼ぎ労働者や在宅ビジネスオーナーをターゲットにしています。

「弊社では、社会的・経済的地位を問わず、あらゆる女性起業家がビジネスを立ち上げ、成長できるように、きめ細やかなサービスを提供しています。デジタルプラットフォームとして、すべての操作はアプリを通して行います。これにより、金融サービスにアクセスしづらい女性たちの成長と成功を支援する金融サービスとサポートを提供することができます」と、Lucyの最高経営責任者(CEO)、デビー・ワトキンス氏はe27のインタビューで説明しています。

ゆくゆくは東南アジア全域へのサービス拡大を目指しているものの、最初に選んだのはシンガポールでした。共同創設者の拠点であることに加えて、Lucyはシンガポールでとあるチャンスをつかみたいと考えています。

「(シンガポール)の国民は全員、銀行口座に預金していると一般的には思われていますが、実際にはサービスを利用できない層も存在します。銀行口座を持っていても、必要とする金融サービスにアクセスできるわけではありません」と、ワトキンス氏は語ります。

シンガポールでは、こうした問題を抱えるグループが二つあります。女性の出稼ぎ労働者のほか、ウェブデザイナーや銀行家を含む在宅ビジネスオーナーです。

シンガポールにはフィリピン、インドネシア、ミャンマーなどの国からの女性出稼ぎ労働者が約25万人います。こうした女性たちは母国に戻ってビジネスを始めるという夢を持って、資金を稼ぐためにこの国に来ていますが、自然災害や急病などで貯金を使い果たし、高利貸に頼らざるを得ない状況になることも少なくありません。

Lucyは、2021年の始動を目指しています。このスタートアップ企業は、ユーザー獲得の一環としてソーシャルメディアを活用するだけでなく、国内の出稼ぎ労働者と密接に連携している非営利組織(NPO)とも提携しています。

企業経営に必要なものをすべて提供する

しかし、必要な金融サービスへたどり着いたとしても、うまく利用する方法を理解していなければ、行き詰まってしまいます。そのため、Lucyでは教育の整備にも力を入れています。

「中小企業を経営する人々が本当に必要としているのは、メンタリング(メンターによる助言・人材育成)とピアサポート(仲間同士の支え合い)です。これらは、手に入りにくいものです。起業家、特に自分で何かを始めたばかりの人には、孤独と不安がつきまといます。私たちが目指しているのは、企業経営に必要なものをすべて提供することなのです」と、ワトキンス氏は語ります。

Lucyの見込み客は、従来の銀行システムに不便さを感じた人々なので、教育は特に重要です。解決策の一つとして、Lucyはユーザーの個性やニーズに合ったプラットフォームをデザインしようとしています。

「私たちが目指すのは、銀行が提供する一般的なサービスではなく、顧客に合わせてサービスを組み合わせることです。また、多くの女性が、銀行が自分の話を聞いてくれない、あるいはパートナーとして見てくれないと感じており、こうした障壁を壊したいと考えています」と、ワトキンス氏は語ります。

「Lucyをコミュニティのように感じてほしいのです。味方になり、寄り添い、成功を支援してくれる大胆でクールな仲間だと思ってほしいのです。私は、Lucyをちょっとしたアンチ銀行的な存在だと考えています。私たちのウェブサイトを見ていただければわかると思いますが、とにかく安心できることを念頭にすべての活動を行っています」と、彼女は続けます。

女性起業家に女性投資家が参画する

Lucyは、ビジネス、フィンテック、社会事業の経歴を持つ3人の創設者が集まって設立されました。

ワトキンス氏は、わずか16歳で、銀行で働き始め、ビジネスと金融IT分野でキャリアを積んだ後、カンボジアへのボランティア旅行を経て社会起業家に転身しました。

取締役兼共同設立者のハル・ボッシャー氏は、世界銀行に10年間勤務した後、ミャンマーでYoma Bank(ヨマ銀行)を設立し、Ant(アント)グループが支援するフィンテックプラットフォーム、「Wave Money」を共同設立しました。

会長のルーク・ヤンセン氏は以前、オーストラリアを拠点とするフィンテック企業、Tigerspike(タイガースパイク)の創業者として知られていましたが、2017年にその座を退いています

2019年9月、同社は50万シンガポールドル(37.7万ドル/4100万円)のプレ・シード資金調達を確保し、これまでの資金調達総額は100万シンガポールドル(75万ドル/8200万円)強となりました。女性起業家の地位と権利向上という使命に足並みをそろえるように、今回の資金調達に参加した18名のエンジェル投資家は、すべて英国からベトナムまでの国に拠点を置く女性たちです。

これまで、同社の資金源は、創設者やSavearth Fund(セーブアースファンド)から調達したものでした。次回の資金調達に向けて、Lucyは強いジェンダー思想を理念に持つ企業を探しているとのことです。


画像クレジット: Lucy
本記事「女性起業家の地位向上を目指すデジタルバンクプラットフォーム」は、e27に掲載されたものです。


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