ごみではなく、宝の山だ:3200万本分の箸をリサイクルしたイノベーション

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[Publisher] The Guardian

この記事はThe GuardianのAshifa Kassamが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

そのアイデアは「寿司桶」から生まれました。当時、カナダのブリティッシュコロンビア大学の博士課程の学生だったフェリックス・ベックさんは、解体現場や建設現場の廃材をリサイクルしようと事業提案したものの、周囲の反応は薄く、とまどっていました。ごみというものはこの世に存在しないということを人々にわかってもらうにはどうしたらいいのか?彼は頭を悩ませていました。

そんなとき、のちに婚約者となるタリア・オタメンディさんが、箸を片手にこんなヒントをくれたそうです。「フェリックス、もっと小さなことから始めたら?例えば、箸なんてどう?」。

翌日から、彼は使用済みの箸に第二の人生を与えるためのスタートアップ企業、ChopValue(チョップバリュー)の事業計画を練り始めました。計画はすぐに実行に移されました。バンクーバーのレストランにリサイクルボックスを設置し、箸の洗浄方法のほか、箸(ほとんどが竹製のもの)をタブレットスタンドからテーブル天板まで、さまざまな生活用品に変身させる事業プロセスを確立させました。

4年間で、ChopValueがリサイクルした箸は合計で3200万本にも及びました。埋め立て処理されるごみを救い、40人もの雇用を創出しました。「箸は、6000マイル(約9600キロメートル)もの距離を旅して食卓にたどり着くのに、使われるのはせいぜい20分から30分の間です。」と、ベック氏さんは語ります。「使った後、簡単に捨てるわけにはいかないでしょう」。

同社は、熱、蒸気、圧力を利用して箸を木製のタイルに加工する工程を確立し、北米全域にビジネスの領域を拡大。この工程は現在、カルガリー、モントリオール、ロサンゼルスでも使用されています。

リサイクルの原料となる箸は、数百軒ものレストランのほか、ショッピングセンター、空港、大学などでも回収されています。​ChopValueによると、バンクーバーだけでも、使用済みの箸を週に約35万本回収していると言います。

「レストランに行って、箸のリサイクルボックスを設置させてほしいと頼むと、いまだに事業を始めたばかりの頃と同じようにけげんな顔をされます。」と、ベック氏は言います。「普段は気にもとどめていないささいなことなんでしょう。しかし、それが実は地球にとって切迫した問題なのだと気付いてくれた瞬間、ああ、そうか!と納得してもらえるのです」。

ChopValueと最初に提携した企業の一つがカナダ西部に拠点を置くレストランチェーン、Pacific Poke(パシフィックポキ)でした。「素晴らしいアイデアだと思いました。どうして今まで誰も思い付かなかったんだろう?という感じでしたね」と、共同設立者のダン・ラム氏は言います。「1店舗で1日数百杯売れていますので、廃棄している箸も膨大な数になると想定できました」。

このレストランチェーンは、ChopValueが目指す循環型経済の好例で、ほとんどの店舗では、レストランで使用された箸から作られたアート作品やテーブルが設置されています。

ChopValueが次に重点を置いているのは、このビジネスモデルの海外展開です。「地域に根ざした形で地産地消したいと考えています」と、ベックさんは言います。地域のレストランで回収した箸を近隣の小規模工場でリサイクル加工し、完成品をその地域で販売する。ベックさんが目指すのは、こうしたビジネスのフランチャイズ展開です。

現在、同社の製品は公式サイトで販売されているほか、米国の小売店や百貨店とも提携しています。886本の箸で作られた寄せ木細工や、9600本の箸を材料にしたリモートワーク用の机など、それぞれ元々の素材を意識できるようなデザインがなされています。

「このビジネスモデルは、早々に利益を上げることができています」と、ベックさんは語ります。「利益はすべて会社の成長に再投資しています。このビジネスモデルを広げていくことこそが使命だと思うからです」。

彼の願いは、ChopValue、そしてその裏にある「一見すると風変わりなアイデア」を、ただのごみに見えるものの価値を見直すきっかけにすることです。「陳腐な言い方かもしれませんが、どんな小さなことにも意味があります」と、彼は言います。「私たちは、実用的、かつ面白い方法で、それを証明している最中にいます」。

ストック型・循環型社会の形成

事業を通じた社会課題への貢献

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