食品パッケージは安全衛生とサステナビリティを両立できるか

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[Publisher] The Guardian

この記事はThe GuardianのOliver Pickupが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

新型コロナウイルス感染が拡大し、世界では多くのコーヒーショップが再利用できる陶器のマグカップをやめ、使い捨てカップで提供するようになりました。同様に、通常は包装されていないスーパーの商品も、安全性と衛生面を考慮して包装されるようになっています。ロックダウン中は、食料品の配達や料理の持ち帰りの機会が増えるため、それだけ包装も増えることになります。

このように、パッケージ材が増えたことで、徹底した衛生対策と不要な廃棄物増加のトレードオフというジレンマが顕在化しています。

企業も個人も生きることを最優先するモードで、環境への影響を考える時間もエネルギーもない状態だったため、生活のさまざまな場面で、サステナビリティの進捗(しんちょく)は、少なくとも一時的に停滞しているように見えました。しかし、このような危機対応モードから徐々に回復し、コロナ禍は「地球規模の既存システムのリセット」として捉えられるようになると、環境問題が再び議論されるようになりました。

気候変動に関する政府間パネルによると、温室効果ガス排出量の37%を占めるのは、世界の食糧システムであり、パッケージ材を通じたサステナビリティの向上は非常に重要です。食品包装のための材料の選択もまた重要であり、再生可能な繊維ベースの材料は、プラスチックに対する衛生的かつ安全な代替品となります。

食品のパッケージは安全・安心に不可欠なもの

「コロナ禍によってパッケージの使い方が一変しました。それは、必ずしも良いことばかりではありません」と、英国公認マーケティング協会の食品、飲料、農産物部門のマーク・ドッズ氏は言います。「オンライン購入や店舗受け取りのネット通販サービスは、今後成長が期待できる販路ですが、移動時の振動などに耐えられるよう包装を二重にするなどの対策がされています。これはサステナビリティの観点では、理想的とは言えません。消費者が『ニューノーマル』に慣れると、小売業者のプラスチック削減の取り組みに再び注目が集まるはずです」。

消費者情報プラットフォーム「Toluna」が2020年10月に発表した英国のサステナブルなパッケージに関する調査によると、過剰包装は「最も差し迫った問題」と認識されていることが明らかになりました。約半数(47%)の人が、パッケージがリサイクル可能であることが重要と回答しています。また、このようにサステナブルなパッケージを「非常に重要」と回答した人のうち、36%が18~25歳で、55歳以上は26%であることが明らかになりました。

消費がサステナビリティの原動力

ドッズ氏は、個人の消費行動が企業の変化を起こす原動力になると考えています。「コロナ禍の前まで、パッケージや環境問題が重視されていましたが、その傾向が復活するのは間違いないでしょう」と語ります。「消費者はもっと声を上げ、環境への影響が購入を決める際の重要な要因になることをメーカーに知らせるべきです。簡易パッケージの製品を選び、最近増えている詰め替えステーションなどを活用してほしいです」。

生産者は今後も過剰包装の削減を推し進めるべきであり、それが利益につながるはずだと、彼は言います。「革新的な小売業者は環境認証が収益にもたらす影響を理解しています」。

Pro Catron(European Association of Carton and Cartonboard Manufacturers)のゼネラルマネジャー、トニー・ヒッチン氏は、これに同意し、特に紙繊維ベースのパッケージ材を高く評価しています。「環境にやさしい選択肢ですし、可能な限り使うべきですね」。

2020年10月のEuropean Carton Excellence(欧州最優秀カートン賞)では、食品や飲料品のパッケージイノベーションの「驚異的」な商品が登場しています。ヘルシンキを拠点とする再生可能素材のメーカー、Stora Ensoの顧客がCarton of the Year(年間最優秀カートン賞)とSave the Planet(地球環境保護賞)の二つの部門で受賞に輝きました。特に、Save the Planetを受けた「Eco Fit Lid(エコフィットリッド)」をヒッチン氏は絶賛します。「エコフィットリッドは、Seda International Packaging Group(セダ・インターナショナル・パッケージ・グループ)がStora Ensoの段ボールを使って開発したもので、マクドナルドなどで使用されています。完全リサイクル可能で堆肥化できるので、ファーストフード店で使用されるプラスチック製のふたに対する究極の持続可能な代替案になります。」

紙繊維パッケージの優れた例として、Stora Ensoの飲料用カップ素材「Cupforma Natura」も挙げられます。3層構造の繊維を使用しており、中間層にはケミサーモメカニカルパルプが入っています。また、抗菌バリアー加工にもさまざまな選択肢があるのも魅力の一つでしょう。

紙ベースの段ボールへの移行は今後も続くだろうとヒッチン氏は予想します。「サステナブルな新しい抗菌バリアー素材の開発が急ピッチで進んでいます」

このような技術革新が進めば、安全衛生とサステナビリティのトレードオフを心配する必要はなくなりそうです。

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