投資リターンの高い企業の共通項は、社会課題への貢献度?

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[Publisher] The Guardian

この記事はThe GuardianのJasper Jollyが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

世界最大の資産運用会社ブラックロックの調査によって、社会課題への貢献度が高く、優れたガバナンス(企業統治)がなされている企業への投資はリターンを生むことが明らかになりました。新型コロナウイルスにより市場が暴落した際にも、こうした企業への投資はレジリエントである(回復力が高い)ことが証明されています。

ブラックロックは、2020年3月末時点で6兆5000億ドル(約711兆9000億円)の資産を管理する世界最大の資産運用会社です。同社の分析によると、環境、社会、ガバナンス(ESG)の問題で高い評価を得ている企業へ投資するファンドのうち94%は、新型コロナウイルスによる経済危機の間も、他のファンドより損失が少なかったことが明らかになりました。

新型コロナウイルスの大流行とそれに伴う世界最大の経済大国である米国のロックダウンは、金融市場に混乱を引き起こしました。株式市場の暴落に伴い、投資家には累計で数百兆円規模の損失が発生しました。米国の指標銘柄であるS&P 500指数は、2020年初めから30%以上下落し、2020年3月に最安値を更新しました。

ブラックロックのフィリップ・ヒルデブランド副会長が共同執筆した分析リポートによると、従業員やサプライチェーンとの関係などの「社会的」スコアの高い企業は、取締役会がより効果的で独立性が高く企業統治が機能していると判断された企業と同じく、今回の混乱においても、高い業績を残したことが明らかになりました。

「持続可能性への配慮が高い企業ほど、それが低い企業よりも業績が大きく上回る傾向がある」と、報告書では述べられいます。

しかし、ESGのうちEにあたる「環境」要因は、コロナ禍における業績向上の要因にはなりませんでした。また、原油価格の下落が石油会社の株価を圧迫していますが、ESGファンドには石油会社が相対的に組み込まれていなかったことがその要因と考える人もいますが、これも違うと、報告書は述べています。

ブラックロックによると、2015年から2016年、そして2018年に市場が低迷した時期には、ESG投資ファンドの利益が他を上回ったとのことです。この傾向は、市場の回復後も継続し、2020年4月30日までの1年間では、ESG投資ファンドの88%がそれ以外のファンドよりも損失が少ないことがわかりました。

ESG評価の高い企業が他より良いリターンを生み出すという傾向は、株式と債券においても顕著でした。

こうしたデータは、持続可能性に配慮する企業へ投資する投資家にとってもリターンが高い可能性があることを示唆しています。これは、持続可能性を気にする投資家は「道徳」をコストとして支払う、つまりリターンが少ないのではないかという一般的な認識に反するものです。

世界的な危機のなかで、2020年に投資家はESG関連に投資しています。ブラックロックの試算によると、2020年1-3月には、世界的なESG投資ファンドが405億ドル(約4兆4400億円)の新規投資をもたらしたとのことです。これは前年同期比41%増加になります。このほか、モーニングスターのデータによると、2019年10-12月と2020年1-3月は、米国のESG投資ファンドへの投資額が連続して上昇記録を更新しました。

近年のESG投資の成長の多くを担っているのは、ブラックロックです。1月には、世界が気候問題に直面する中、世界最大の石油会社のオーナーとして強い批判を受けていることから、これに対抗するためにもESG投資ファンドを次々とリリースしました。また、気候変動対策の一環として、収益の25%以上を石炭から得ている企業を投資対象から除外することも発表しました。

ブラックロックは、企業の環境問題に関する意見表明については、他の投資会社に大きく出遅れていると、激しい批判を受けてきました。しかし、同社は「変化を強制するために議決権を行使するのではなく、企業の経営者たちとの対話を重視している」と述べています。

ブラックロックの資産のうち、5000億ドル(約54兆7600億円)弱は、道徳などのさまざまな基準で選定した企業への投資に充てられている一方、厳格なESG基準に基づいて管理されている資産は約1000億ドル(約10兆9000億円)未満となっています。ブラックロックでは、2030年までにこれを1兆ドル(約109兆円)に引き上げるという大きな目標を打ち立てています。

別のリポートでは、資産運用会社のジャナス・ヘンダーソンは「新型コロナウイルスの世界的大流行によって打撃を受けた企業が多く、今年の世界全体の配当金は最大35%減少し、9330億ドル(約102兆1900億円)になる可能性がある」という見解を示しています。欧州と英国は、米国よりも下落幅が大きくなる可能性が高く、銀行、一般消費部門、経済状況に影響を受けやすい工業部門が最も影響を受けるのではないかと同社は述べています。

事業を通じた社会課題への貢献

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