職場に多様性のあるチームを構築し、パフォーマンスを向上させる方法

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[Publisher] Business2Community

この記事はBusiness2CommunityのDean Mathewsが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします

これからの社会で求められる、職場における差別意識の解消。現代の企業は、多様性のあるチームづくりという課題に直面しています。ダイバーシティ&インクルージョンに関する企業内の統計を公表せざるを得ない状況です。多様性のあるチームづくりには、単なる人事の流行や社会的評価を高める以上の意味があります。ダイバーシティ&インクルージョンは業績にプラスの影響を与える、という明確で測定可能な証拠が続々と出て来ているのです。

職場における多様性のあるチームづくりのメリット

職場における多様性というのは、ここ数年に登場した新しい概念というわけではありません。1948年の米国で、トルーマン大統領が軍隊内での人種差別を廃止する大統領令9981号に署名したのが「職場におけるインクルージョンの始まり」だとされています。

各業界のさまざまな組織で職場におけるダイバーシティ&インクルージョンがもたらす効果について研究が行われ、資料として文書化されているのは当然と言えます。

多様性のあるチームで生まれたプラスの効果を最新の数字でご紹介します。

  • 多様性のある経営陣がいる企業は、イノベーションによる収益が19%増加したと報告されている。
  • ガートナー社の調査によると、多様性のある意思決定機関を持つ企業の75%が経営目標を達成しており、多様性のある組織はそうでない組織と比較すると、平均して50%も上回る業績を出している。
  • 本調査では、多様性のある組織の従業員は、インクルージョン(包摂性:企業内すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態)に関する取り組みがされていない企業と比較すると、12%も高い業績を上げていることもわかった。
  • ダイバーシティ&インクルージョンは従業員のエンゲージメントを向上させ、その結果、従業員の定着率が19%、コラボレーションが57%向上するという結果も出ている。
  • Glassdoorの「Job & Hiring Trends(求人と採用に関するトレンドリポート」では、業界のトップ企業がリストアップした事業の成果に最も大きな影響を与えるコアバリューの「九つの文化的価値観」の一つに「多様性」を挙げている。

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良い企業文化というのは一流企業が持つ競争におけるアドバンテージであり、しっかりとした職場文化の基盤を構築する上で欠かせないのが多様性です(画像参照)。

長年の研究や調査をまとめた具体的かつ測定可能なビジネスの成果を考えると、ダイバーシティ&インクルージョンは、単なる対外的な「広報」のコンセプト以上の意味があると言って良いでしょう。

今、社会の関心は「なぜ、多様性のあるチームが必要なのか」から「どうやって多様性のあるチームをつくるか」に移りつつあります。

多様性の促進における人事の役割

資金力もリソースもある企業の場合、ダイバーシティ&インクルージョンのベストプラクティスを組織に取り入れながら、人事部門とも密接に連携することを目的に、ダイバーシティ・インクルージョン担当の最高責任者を採用するケースもあります。しかし、中小企業の場合、専門性の高い責任者を雇用するには、資金面で余裕がないのが実情です。

このような場合、人事が関与する必要があります。

職場に多様性のあるチームをつくる取り組みにおいて、その先陣を切るのは人事部の役割と一般的には認識されていますが、なぜそう言えるのでしょうか。

その質問に対してSHRMの元社長兼CEOのヘンリー・ジャクソン氏は、こう答えます。

「企業内で人材を発掘し、育成し、昇進させる役割を担えるダイバーシティリーダーを会社全体で育成することが人事部の役割です。人事部は、型にはまっていない学歴や職歴を持つ、従来とは異なる新しいタイプの人材を見い出すために必要な「レンズ」(意識)を標準化し、各部門の責任者に提供します。ダイバーシティリーダーやそのリーダーが見い出した人材は、組織にとって最高のアンバサダーであり、リクルーターになります。これまでは埋もれがちだった人材によって戦力を強化することができるのです」

人事リーダーや担当者がダイバーシティ構想をゼロから始める場合、以下の「手間なく始められる」方法や戦略によって、すぐに効果を出せるはずです。

1.採用プロセスを見直す

採用、面接、新人研修のプロセスを見直し、ダイバーシティを妨げる要因がないかを確認する作業です。

例えば、元ニューヨークタイムズのエンジニアリングマネジャーであるテッサ・アン・テイラー氏は、在職中の従業員が推薦した候補者が面接で優先されていることに気付きました。

人事のリーダーは、会社が推薦で採用した従業員の数を調べ、同じような経歴(学歴、人種、性別、所属先など)の人材に偏りがないかを確認します。推薦で採用した人材に共通項が多い場合は、多様性のあるチームをつくるため、推薦の優先順位を下げるなどの対策が考えられます。

以下に、多様性のある人材採用を増やすために採用プロセスを見直す際のヒントを紹介します。

  • 少数派の人材(少数民族、女性、LGBTQ+など)で構成された専門家グループとのネットワークや関係を構築する。
  • 少数派グループからの新規雇用の割合を増やすなど、ダイバーシティの測定基準を制度化する。
  • 社内で複数の人物に求人情報を読んでもらい、偏りが出る可能性のある要件を削除する。「優位」 、 「競争力に優れた」 、「業界トップ」、 「スピードが速い」 などの表現があると、女性が応募しづらくなることが明らかになっている。
  • 面接のプロセスにさまざまな経歴の担当者を加える。性別、性的表現、学歴、社会経済的地位、人種などが異なるチームメンバーをそろえ、バランスをとる。 

2.職場における包摂的な行動を奨励する

多様性のある職場をつくったとしても、インクルージョン欠けていれば意味がありません。「ダイバーシティは、比較的容易な最初の一歩ですが、本当の意味でダイバーシティを活用するにはインクルージョンが鍵になります」とガートナー社のシニアディレクターアナリスト、ダニエル・レイナ氏は語ります。

インクルーシブな行動が徹底されていなければ、多様性あるチームづくりを目指して採用された人材は疎外感を覚えることになりがちです。

インクルーシブな行動を促進するための施策案を紹介します。

  • インクルージョン(包摂性)を会社全体のミッション、ビジョン、価値観、目標にリンクさせる。例えば、「グローバルに認知されるブランド」になることを目標の一つに掲げている場合、グローバルな意識は職場から始まるということを従業員に教育する。
  • 職場で定期的にダイバーシティやインクルージョンに関するディスカッションやセミナーを行う。少数派グループに属する従業員がエピソードを語る機会を設ける。人事リーダーの手配で、各分野のエキスパートを定期的に招き、このトピックに関して詳細なセッションを開催する。
  • 差別禁止と機会均等に関する独自の方針を策定する。
  • 少数派のグループにとって重要なイベントを祝う(例:プライド月間、メンタルヘルス啓発週間、ブラックアウトチューズデー)。

3.全員が大切にされていると感じる環境をつくる

職場における多様性のあるチームづくりの取り組みが単なる見せかけであり、社会的評価を得るための道具と従業員が感じるような状況は、避けたいものです。ダイバーシティ&インクルージョンに真摯(しんし)に取り組む企業は、疎外されるグループの従業員が価値を認められ、評価されていると感じる環境をつくらなくてはなりません。

従業員に対する感謝の思いを伝えるには?

  • 従業員の評価プログラムがランクや部署に関係なく、全員に平等に実施されるようにすることです。頻繁に、そしてインクルーシブな評価を行うことが重要です。現在、頻繁に評価を行っている企業はわずか25%で、インクルーシブな評価を行う企業は34%にとどまっています。この数字は向上できるもので、今後、向上していくべきでしょう。
  • 評価し、評価を受けるには、従業員にとってできるだけストレスのないシステムであるべきです。この概念は、最高責任者レベルからマネジャー、チームメンバーに至るまで、組織全体に適用されるものです。リーダーが自分のチームを評価し、従業員が同僚を評価できるシステムが必要です。お互いを評価する企業文化があれば、帰属意識とつながりが生まれます。

Brandon Hall GroupとAchieversが発表した共同研究によると、お互いを評価する社風を奨励する企業には、さまざまなプラスの効果が生まれているということです。

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頻繁に評価を行う社風の組織では、従業員のエンゲージメント指標が全体的に改善されていることがわかりました (画像参照)。

  • 従業員の業績は、同じ基準を用いて測定し、報酬を与えること。能力給(成果主義)を支給するには、十分な記録が必要です。例えば、時間監視ソフトウエアのようなトラッキング技術は、組織における生産性の定義方法を標準化することができます。経験的データは、従業員の業績を評価する際に先入観が入るのを抑止する効果があります。
  • 報酬や社会的な評価だけでなく、自分の努力で前進できること。雇用主が自分たち固有の問題を真摯(しんし)に受け止めてくれることが伝われば、社会的に少数派である従業員は、職場で大切にされていると感じるでしょう。例えば、人種差別に関する国内の問題に対して声明を発表することで、組織内の有色人種グループは、上層部が自分たちにとって重要な問題を真摯(しんし)に考えてくれていると感じるでしょう。

4.従業員が安心して話し、マネジャーが傾聴する場所を用意する

ダイバーシティ&インクルージョンは、確立することが難しい上、継続させるのもさらに難しい概念です。ダイバーシティに反する従業員が1人いれば、その「毒」はあっという間に広がり、これまでの努力が振り出しに戻ってしまいます。こうしたダイバーシティやインクルージョンに反する行動は、さり気なく、無意識のケースも多く、気付きにくいものです。

組織のダイバーシティやインクルージョンの取り組みを妨げる従業員(少数派であるか否かを問わず)が安心して不満を吐き出せる場所をつくることは、人事リーダーの重要な役割です。差別問題の報告を受け、タイムリーに対処するには、パルスサーベイ(定期的な従業員の意識調査)や24時間365日体制の職場チャットボットを通じて、オープンなコミュニケーションラインを持つことが重要です。自分の声が届き、サポートされていると従業員が感じられる環境をつくるには、従業員からのフィードバックがあった場合には、速やかに行動を起こすことを優先してください。対応の遅れは、上層部への信頼関係にマイナスの影響を及ぼします。

羽根の違う鳥たちも一つの場所に集まることはできます。

職場における多様性のあるチームづくりは、優秀な人材には、人種、民族、性別、宗教、社会経済的地位は無関係であることを認めることです。人事部がダイバーシティ&インクルージョンの改革のかじ取りをすることで、企業は採用プロセスの見直し、職場におけるインクルーシブな行動の奨励、評価と報酬が一体化された制度づくり、コミュニケーションのための安全なスペースの確保など、ダイバーシティの取り組みを飛躍的に前進させることができます。組織はいずれ、それぞれの従業員の違いにこだわらず、さまざまな経歴を持つ全員が一つの目標に向かって取り組み、会社を成長させる存在であることに気付くはずです。

この記事は当初、「The Engage Blog」に掲載されたものです。

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