ワークスペースの未来:ポストコロナのオフィスはどうなる?

f:id:ORIX:20201112141929j:plain

[Publisher] e27

この記事はe27のNarita Cheahが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

新型コロナウイルスにより、世界は大打撃を受けました。それに伴い、自宅を仮オフィスにしたり、ワークライフバランスを整えたり、職場ではマスクの着用やソーシャルディスタンスが求められたりするなど、私たちの働き方は、あらゆる面で変化しました。

数カ月のリモートワーク導入を経て、中には在宅勤務を年内いっぱい続けると発表した企業も出てきています。その一方で、徐々にオフィス勤務を再開しようと検討している企業もあります。

リモートワークを求める声が高まり、導入事例も増えてきているのは確かです。しかしオフィスはこれからも必要だという調査結果もあります。経営者25名へのインタビューとともに、アジア太平洋(APAC)地域全域の従業員500名以上にアンケート調査を実施しました。。アンケートでは、回答者らがオフィス勤務をするかどうか選べるようにしたいかに加えて、柔軟なワークスタイルを支援し続ける能力をどの程度求めるのかが調査されました。回答者の99%が、柔軟なワークスタイルへの支援は「重要」と答えました。

その他の関心事項としては、職場の安全や経営層によるサポートなどがありました。

オフィス勤務の再開とリモートワークのバランスをとる際には、自社の従業員がコロナ禍で身に付けた新しい働き方や行動を認識・特定することが大切です。これにより短期的にも長期的にも、オフィスのあり方やその根本的な目的が大きく変化することもありえます。

では企業は、これらの知恵をどのように生かせば、試練を乗り越えられる未来志向の職場を作っていけるのでしょうか。

1.目的がはっきりしたダイナミックな職場を作る

パンデミックにより、組織にレジリエンス(復元力:さまざまな環境・状況に対しても適応し、生き延びる力)を持たせることの重要性を痛感した人も多いのではないでしょうか。レジリエンスがあれば、危機や変化のときにも迅速に適応できる可能性が高まります。レジリエンスの概念は、デジタルでない現実世界のオフィスにも当てはまります。

そして今、企業はかつてないほどに、自社のオフィスを新しい視点で見る必要に迫られています。状況に応じて柔軟に生産性を高める職場環境を作るため、場所の概念を超えたオフィス戦略を練らなければなりません。

APAC地域全域を対象に行われた経営者へのインタビューと従業員への調査で明らかになったのは、大半の人々や組織が短期的にはリモートワークにうまく適応できた一方で、オフィスで働くことの良さに対する認識やさまざまな期待が高まったということでした。

リモートワークの期間を過ごす中で、人々はオフィスでの予期しない、有機的なコミュニケーションがいかに協力や創造性、文化の基盤となるかを実感しました。そして同調査では、そうしたコミュニケーションがなくなったことで人々が不自由していることも明らかになりました。未来の職場を作る際には、こうしたリモートワークでは実現できないやりとりが生まれやすい環境を作らなければなりません。

これを高いレベルで実現するなら、個人用の固定席を減らして、代わりにコラボレーションのためのスペースや交流が活性化しやすい社内カフェなどのエリアを増やすことで、多くの組織に見られる基本的なフロア構成を根本から変える必要があります。

またオープンスペースや開放的な吹き抜け空間、共用エリアのコワーキングスペース、座る場所がある階段、野外ワークスペースといったオフィス内の各所に必要な備品を置いておくことも、協働が生まれやすい環境を作るのに役立ちます。チームワークや協働を推進するために勤務時間を通して「雑談」を促すのも効果的です。

従来のオフィスにレジリエンスを組み込むことで、組織は、未来に向けて学び、備え、適応し続けるためのアジャイルなオフィス戦略を作ることができます。

2.何よりも人を大切に

どの組織でも人が中心です。また従業員は、組織が設計する職場空間のエンドユーザーでもあります。オフィス戦略に新しいアイデアを取り入れようとするとき、従業員のニーズを中心に据えることは絶対に欠かせません。

従業員の気持ちを理解してデザインする

同調査の中で、オフィス勤務再開の一番の懸念事項として、従業員と経営者の両方が「健康と安全の確保」を挙げています。これは当然のことです。喫緊の課題である安全な環境を作ることに加えて、ストレス対策が講じられた快適なオフィスを実現することはとても大切です。

組織に求められるのは、従業員の心身へのネガティブな影響を抑えながら、こうした新たな働き方を伝えることです。例えば、共用スぺース全体での安全な移動について伝えるためにイラストを使います。ソーシャルディスタンスの指導を強調しつつ、明るく楽しい職場環境の創出につながるようなユーモアを交えた遊び心を取り入れます。

さらに一歩進めるなら、職場に「色彩心理学」を取り入れて、オフィス内の特定の場所における行動を、直接伝えたり喚起したりすることなく促すこともできます。

色分けされたリストバンドを取り入れるのも良いでしょう。リストバンドの色や素材の違いによって各個人が安全と感じられるパーソナルスペースを知らせたり、各エリアでの行動基準を直感的に伝えたりすることが可能です。

労働力のレジリエンスに向けて、従業員のウェルビーイングに焦点を当てる

現在、私たちは不確実な状況で働いており、従業員は日々多くの不安にぶつかります。こうした仕事関連の不安をやわらげるには、まずは仕事における「ニューノーマル」に移行する際に求められる事柄を明確に説明することが何よりも大切です。

オフィスのレイアウトや職場での実践事項、働き方の変化を従業員に受け入れてもらうため、組織は自社のオフィス勤務再開戦略に関する「誰が」「何を」「いつ」「どこで」「どのように」をはっきり示した計画を従業員に分かりやすく伝え、教育し、定期的に注意喚起を行うことが必要になります。

管理職者と部下の間で定期的にコミュニケーションをとるようにすれば、組織は従業員の不安を常に把握したうえで、問題のある領域に迅速に取り組み、新たな働き方への移行をスムーズに進められます。

従業員のウェルビーイング向上をさらに支えるには、私生活と仕事の両方における困難の軽減を助けるメンタルヘルスサポートやウェルビーイング制度の導入を検討することも必要です。

3.実験の文化を醸成する

世界では、多くの企業が同時に職場改革に取り組んでいます。そうした状況では、他社の成功事例をもとに自社の変革に向けた計画を立てたいと考えるのも無理はありません。

しかし、仕事の内容から働いている建物まで、どの企業にも固有の特徴があります。そのため、職場の未来に関してどの企業にでも当てはまる解決策はありません。

オフィス戦略について知らせる際には、従業員が求めるものや最適な働き方に関する信頼度の高いデータを集め、徹底的に調べることが必要になります。

その調査結果をもとに組織は、職場に導入するソリューションを段階的に試していくことになります。例えば、全社に展開する前に、建物内の1~2フロアで実験的に変化を取り入れる、などです。

こうすることで、短・中期的な組織の目標を達成できるアジャイルな職場をつくりだせると同時に、各段階で学んだことを次の変革に生かすこともできます。

組織に必要なのは、変化の機会をすばやく見極め、解決策の試行と結果の評価を行うというプロセスを繰り返すことです。そうすることで、自社の事業と従業員に最も良い結果をもたらす最高の戦略を見い出せます。

数カ月にわたりリモートワークを続ける中で、私たちは互いに離れて仕事をする方法を身に付けました。ですが、オフィス勤務が過去のものとなるわけではありません。同調査とこれまでの体験から、オフィスの同じ空間で働くことには、リモートワークではどうしても再現できない要素があることがはっきりしました。

文化や行動、政府からの指令は違っていても、この調査が提案する3本柱の取り組みは同じです。それは、場所よりも人を大事にすること、目的がはっきりしたアジャイルな職場を作ること、全面実施の前に試験的に解決策を導入することの3点です。

細心の注意を払いながらこのアプローチをもとに解決策を練ることで、組織は自社に固有のニーズに最もマッチした変革を導入し、不確実な未来にもレジリエンスを発揮できる職場を作ることができます。

本記事「オフィスの未来:ポストコロナのオフィスはどうなる?(原題:Future of workspaces: What will the post pandemic office look like?)」は、e27に掲載されたものです。

不動産関連事業・サービス

法人金融事業・サービス

事業を通じた社会課題への貢献

スマートでレジリエントな社会の実現

ページの先頭へ

ページの先頭へ