7割が銀行口座を持たない東南アジアの可能性を引き出せ

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[Publisher] e27

この記事はe27のTanvir Zafarが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。

東南アジアの6カ国は、世界最大かつ最も急速に成長している地域の一つで、人口は6億6800万人、国内総生産(GDP)は2025年までに4兆7000億ドル(約514兆7900億円)に達すると予測されています。その中でも、金融サービスは非常に大きな可能性を秘めています。

同地域の成人人口のうち、給与の振り込みに銀行口座を利用している人は18%、借り入れをしている人はわずか11%です。そして70%がアンバンクド(unbanked)またはアンダーバンクド(underbanked)と言われる、銀行に口座を持っていなかったり、あるいは十分な金融サービスを享受できていなかったりする人たちなのです。また、数百万もの中小企業(SMB)が資金不足に陥っています。

オンラインの送金・決済といったデジタル金融サービスがこの状況を変えるポイントとして注目されています。東南アジアでは、金融サービスの利用者数よりもスマートフォンの利用率の方が高くなっています。eコマースや配車サービスなどはすでに普及しており、これは今後のデジタル金融サービスにとって最適な状況と言えます。

あらゆる金融サービスにおいて、こうした劇的な変化が2025年までに発生すると予想されます。オンラインの送金・決済はいずれも実現しつつあります。

最先端のサービスであるデジタル決済は、2025年までに取引額が1兆ドル(約109兆円)を超えると予想されています。融資、投資、保険などの他の金融サービスもまだ発展途上ではありますが、いずれも2025年まで年率20%以上の成長が見込まれています。

テクノロジーを活用した金融サービス

テクノロジーを活用して、銀行を利用しないアンバンクドやアンダーバンクド向けの金融サービスを提供することで、GDPがインドネシアやフィリピンでは2〜3%、カンボジアでは6%向上するという経済効果が期待できます。

特にカンボジアやミャンマーのような比較的小規模な市場では、今後の金融サービス業界のあり方そのものを一気に変えてしまう可能性があります。金融サービスに対するニーズの中で、事業者が対応しているのは、現時点ではごく一部に過ぎないのです。

「国境を越えた決済システムが整備されていないため、東南アジアの中小企業はグローバルな競争力を持てず、住民はグローバル企業で働く可能性を考えることすらできません。多くの制限をかけられ、金融から排除されている層が生まれているのです」と語るのは、ブロックチェーン技術を利用してミャンマーから世界へ金融の架け橋を作るSkybit社の創業者兼最高経営責任者(CEO)であるフィリップ・リム氏です。

先進的な技術を用いて個人や企業にデジタル金融サービスを提供することは、国の経済にとってだけでなく、これまで金融サービスを利用できなかった多くの個人にとっても、可能性を無限に広げます。

「ブロックチェーンによって、インターネットを介して貨幣価値が全世界に自由に行きわたり、ミャンマーのような国にも参入しやすくなります。ブロックチェーンを国内のモバイルマネーのプラットフォームと組み合わせて利用すれば、銀行口座を持たない地方の人々でも国際的な取引や金融を利用できるようになります」

フィンテックが与える影響

フィンテックとブロックチェーンのソリューションは、金融サービスに大きな影響を与えるでしょう。例えば、こうした革新的な技術によって、顧客の識別やKYC(本人確認)スキームなどの検証プロセスを迅速かつ低コストで実現できるようになるからです。

顧客の識別技術は、スマートフォンや販売時点情報管理(POS)機器のようなオンライン通信可能な端末を介した、ラストワンマイル物流などのオンラインとオフラインを組み合わせた利便性の向上を生み出し、サプライチェーンに変化をもたらすこともできます。

デジタル金融サービスは、決済関連のシステム全体に応用されていく可能性があります。例えば、給与など会社から従業員への支払い、年金など政府から個人への支払いなどの利便性が向上し、会社や政府などの業務革新を支援します。

金融サービスにブロックチェーンを組み込むと、金融サービスをこれまで利用できなかった層にもサービスを提供することができるようになります。ブロックチェーンは顧客管理、不正行為検出、信用リスク評価に応用できます。

スマートフォンと連動したオンライン口座や貯蓄目標額を設定する自動積立商品など、貯蓄にもデジタル金融サービスは活用できます。また、安全が確保されたKYC(本人確認)は、アンバンクドやアンダーバンクド層が貯蓄口座にアクセスする場合にも役立ちます。

「ブロックチェーンとフィンテックは、ミャンマーの企業や国民がグローバルな競争に参加するための地位を向上し、仕組みを整備します。NGOやNPOなどの支援団体は、世界中から寄付金を集めることができるようになります。現地の住民がオンラインビジネスを生み出したり、リモートワークの職を探したり、国境を越えた取引を行うことができるでしょう」と、リム氏は説明します。

デジタル金融サービスの未来

デジタル金融サービスは、2025年までに380億ドル(約4兆1600億円)以上の収益を生み出し、金融サービス業界全体の11%を占めるようになると予想されています。潜在的な収益を現実のものにするには、継続的な投資や普及を促進する奨励策など、複数の施策が必要です。そのうちでも最も重要なのは、規制改革と政府に対する支援です。

つまり、仮想銀行などの新たな金融サービスを実現するには、デジタル化、ライセンス、eKYC(電子化本人確認)などを協調して推進する必要があります。また、デジタル化された国民識別システム、リアルタイム決済システム、効果的な信用情報機関などのインフラの確立も必要です。 これらのインフラは、デジタル金融サービス業界を発展させ、東南アジアの可能性を引き出すことになるでしょう。

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