クルマに埋もれている大量のデータを使うと、何ができるようになる?

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[Publisher] VentureBeat

この記事はVentureBeatのPaul Sawersが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします

世界中を走るコネクテッドカー(インターネットへの常時接続機能を有した自動車)の数は2020年までに2億台になると予測されていますが、その数は2025年には米国、ヨーロッパ、中国だけで5億台近くまで増加すると言われています。これらのコネクテッドカーの大きな副産物の一つが、位置データ、診断データ、ドライバーの行動データといった豊富なデータであり、膨大な数のアプリケーションやサービスに大きなメリットをもたらすと考えられています。

実際に、コネクテッドカーデータの収益化は2029年までに7500億ドル(約82兆1475億円)規模の産業へと成長するという報告もあり、すでに多数の企業が市場進出に乗り出しています。その一つ、スタートアップのMojioは資金の新規調達において4000万ドル(約43億8000万円)を調達したと発表しました。Kensington Capitalがメインの出資者となり、他にもAmazon Alexa Fundなどが出資しています。

2012年にカナダのバンクーバーに設立されたMojioは、携帯電話会社や自動車メーカーと協力して、ソフトウエアとハードウエアを組み合わせて、コネクテッドカーの通常は利用できない埋もれたデータを利用可能にする技術を持っています。Mojioのプラットフォームは、標準的な自動車であれば、専用デバイスを経由して「接続」できるようになっています。6カ国の通信事業者6社を含め、多数のパートナー企業を介して展開されます。

Mojioは自社ではハードウエアの製造には携わっておらず、第三者のメーカーに製造を委託しています。通信事業者はこのハードウエアコストを消費者側に上乗せし、月額約10ドル(約1100円)の料金を請求し、Mojio は自社のクラウドベースのソフトウエアプラットフォームの収益を通信事業者から受け取るという仕組みです。

クルマのデータで何ができるのか

このハードウエアは、どんな車でもWi-Fi接続を可能にすると同時に、車の盗難追跡やドライバーが駐車した場所を記憶するGPSトラッカー機能も備えています。さらに、車の動きを認識する加速度計機能も備えており、衝突事故を自動的に検知したり、その深刻度を判定したりすることができます。事故の発生場所をGPSで緊急通報センターに送信し、必要に応じて救急車を手配することも可能です。

さらに、Mojioはエンジンの問題を追跡し、このデータを活用することでサードパーティー(例えば、自動車ディーラー)が顧客専用アプリケーションを開発したり、自動車メーカーが遠隔診断評価を行ったりすることもできます。また保険会社は、運転者の行動データの一部を活用して、運転者の急発進や急ブレーキなどのリスクを可視化します。

そのほか、コネクテッドカーのデータの収益化を進めている企業として、ミネソタ州に拠点を置くZubieは、2600万ドル(約28億4800万円)以上の投資を集めています。他にも、イスラエルのテルアビブを拠点として活動するOtonomoは、コネクテッドカーなどからデータを収集し、事業に役立てるためのプラットフォームとして、4000万ドル(約43億8000万円)以上の資金を調達しています。

これらの事例は、モバイルソフトウエア企業が、膨大なデータからビジネスに使えるアイデアを生み出そうとするプラットフォーマーを目指す、大きな流れの中の一例だと言えます。2019年2月、マッピングと位置情報プラットフォームのHere Technologiesは、位置情報データを産業規模で処理する新しい機械学習研究所に2800万ドル(約30億6700万円)を投資することを明らかにしました。同研究所は、産業的な規模でジオロケーション(位置情報)データの大量処理を行います。ほかにも、Microsoftは、アプリケーション開発者が複数の輸送手段のデータを統合管理できるようにすることを発表しました。また、StreetLight Dataという企業は、アプリケーション開発者がユーザーの位置情報を匿名化して利用できるソフトウエア開発キット(SDK)を提供しています。

広報担当者によると、Mojioはこれまでに約1700万ドル(約18億6000万円)の資金を調達していましたが、さらに4000万ドル(約43億8000万円)を調達したことで、「法人顧客のニーズの高度化」に対応する人材獲得と技術開発を強化するということです。

Mojioの資金調達が最初に発表されたのは2017年のことで、2300万ドル(3000万カナダドル、約25億2000万円)という規模でしたが、同社はしばらくの間、この資金調達を受付可能な状態のままにしておくことを選んだようです。投資家の中にはMojioの顧客である事業会社も多く、今回の新規の調達を事業戦略に位置づけている企業もいます。今回の資金調達の中心的存在であったAssurantは、運転中の万一の故障・事故への対応サービスの他、さまざまな車両保護サービスや保証延長サービスを提供しています。顧客の車両から正確かつリアルタイムのデータを収集することができれば、さらにサービス品質は向上し、顧客から高く評価されるでしょう。

「これらの戦略投資には、投資家との緊密なパートナーシップだけでなく、当社の従業員、製品、コネクテッドカーの将来像に対する投資家の信頼が感じられます」と、Mojioの最高経営責任者(CEO)、ケニー・ホーク氏はプレスリリースで語っています。「今回の追加資金により、自動車業界全体をサポートする取り組みを加速し、スマートかつ安全で、便利なカーライフをグローバルにお届けいたします」

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