パンデミックと闘うテック系ギーク

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[Publisher] Digital Journal

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ドイツのダルムシュタットという都市に天井の高いワークスペースがあります。ここは、新しい機械や技術を趣味で試してみたいという人から、プロトタイプの改良にいそしむハイテク系スタートアップの社員まで、誰にでも門戸を開いています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、そんなワークスペースに変化が生まれています。ボランティアが自宅で作成したプラスチックパーツを持ち込んだことで、フェースシールドを組み立てる拠点へと様変わりしたのです。ここで作られたフェースシールドは、ドイツ国内の医療従事者のほか、ギリシャの難民キャンプにも送られています。

この動きは、オーストリアやスイスにも拡大し、およそ7000人が参画する規模になっています。彼らは、自宅にある3Dプリンターを活用して、医療用品の制作に熱心に取り組んでいます。

新型コロナウイルスにより、保護シールドやマスク、ガウンは深刻な不足に陥り、世界中の医療従事者が悲鳴をあげています。その需給ギャップを埋めようと、テクノロジー愛好家たちが名乗りをあげたのです。

ふらりと立ち寄れるワークスペースを、ウイルスに立ち向かう拠点に変身させた物理学者のニコ・ノイマン氏は、「叔父が診療時に使うフェースシールドを5枚作ったことが始まりでした」と話します。

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「祖父がいる介護施設からも何枚かほしいと言われたとき、この活動を知ったのです」。

「最初は、手を貸したい一般の方の集まりとしてスタートしました」とノイマン氏は付け加えます。

ノイマン氏率いるチームが地域の利用者に届けたシールドは、2020年4月下旬で約1600枚になりました。

ドイツ国内で180の拠点で同様の活動が展開されていることを考慮に入れると膨大な数となります。数週間で、約10万枚ものフェースシールドが発送されました。

「途方に暮れていた」

ドイツ南部にあるダルムシュタット市外の参加者は、3Dプリンターで作られたばかりの何十枚ものプラスチックパーツを取り出しながら「誰もが途方に暮れるような状況」だと言います。

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「自分のしていることが例えささいなことだとしても、人助けをしたいのです」。

ワークスペース入り口のテーブルには、受注伝票や納品伝票のほかに、届けられたばかりのプラスチックパーツ、組み立てが完了して発送準備が整ったフェースシールド、といったラベルが丁寧に貼られています。

フェースシールドは、しなやかな透明シートでできています。上部は3Dプリンター製のプラスチックパーツで固定され、頭部に装着可能な伸縮性のバンドがついています。また下部には形状を維持する3Dプリンター製のプラスチックパーツがついています。

一部の自家製パーツの中には、壊れやすいものや形がいびつなものもありますが、ここで作られたフェースシールドは、基準を満たしており、消毒や繰り返しの使用にも耐えられる十分な強度を持っています。

医療機関などの施設ばかりでなく、ギリシャにもフェースシールドは送られています。

ワークスペースには、大勢の人に必要とされる器具を生み出すための多様な技術を持つ人たちが参画してくれています、とノイマン氏は話します。

彼自身、本業である光学の研究開発に加え、時間を見つけてはボランティア活動をしています。

3Dプリンターがかなえる柔軟性

今では、フェースシールドの大量受注を行う企業が増えてきており、趣味で始めた人々は、少量の注文やより専門的な製品に取り組むようになっています。

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新たに製作されているものの中には、ある消毒液のノズルを別のメーカーの容器に取り付けるためのアダプターもあります。手に入るものは何でも活用する病院の現状を踏まえて生まれたものです。

ほかにも、フェースマスクを常に装着することで耳が痛くなるので、負担を和らげるプラスチック製フックも提供されています。

「私たちは空き時間に作業できる環境のため、企業が大量生産するよりも柔軟に対応できるのです。3Dプリンターだからこそ、迅速かつ柔軟に需要に対応できるのです」。

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