[Publisher] VentureBeat
この記事はVentureBeatのPaul Sawersが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。
ソーシャルディスタンス、外出自粛、テレワークといった新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための新たな行動基準が確立しつつある現在、新しい産業やテクノロジーにとっては、さらにステップアップし、真価を発揮するチャンスでもあります。その一つが遠隔医療です。
オンラインやバーチャルな通信手段を介した医療サービスの提供はこれまでも行われていましたが、新型コロナウイルスの世界的大流行によって、遠隔医療の必要性が急速に高まっています。こうした状況を鑑みて、イスラエルをルーツとし、ニューヨークに本社を置く遠隔医療の新興企業、Tyto Careは、Orbimed、Echo Health、Qure、Teuza、Insight Partners、Olive Tree Ventures、Qualcomm Venturesなどの共同出資により、2020年3月25日までの段階で5000万ドルの資金を調達しました 。
遠隔医療
2012年に設立されたTyto Careは、誰でも購入できるコンパクトな検査機器の開発に携わってきました。モバイルアプリと検査機器によって患者と医師がつながり、自宅で診断や処方箋などを受けることができます。
Tyto Careの検査キットは、アメリカでは家電量販店のBest Buy、またはイギリス、カナダ、スペイン、フランス、スイス、ロシア、イスラエル、タイ、ウルグアイなどでは、民間のTyto Care医療システム提携のパートナーから、300ドルで購入できます。
医療従事者は、Tytoの検査機器を使うことで、患者の肺、心臓、喉、耳、皮膚、腹部の検査のほか、耳の炎症、アレルギー、せきや呼吸器系の疾患、風邪やインフルエンザ、発熱など、さまざまな症状の診断に利用できます。
検査機器には、耳の検査用の内視鏡、心臓、肺、腹部の聴診器など、診断に必要なツールがそろっています。
Tyto Careは、ハードウエアだけでなく、プラットフォームを提供するビジネスモデルを構築しています。
新型コロナウイルスの影響
遠隔医療関連のベンチャー企業が相次いで大規模な調達をしていることがアメリカ国内では話題になっています。2020年3月には、K Healthと98point6が、遠隔医療に導入する人工知能(AI)搭載の医療設備に関して、1億ドル近い資金調達を行っています。「MarketsAndMarkets※」の最新レポートによると、世界の遠隔医療市場は現在250億ドル産業と見られており、この数字は5年以内に倍増すると予測されています。しかし、新型コロナウイルスの世界的大流行により、医療業界全体が方向転換を余儀なくされ、実際の数値はさらに大きくなる可能性があります。
Tyto Careによると、2019年の売り上げがすでに3倍に伸びており、さらに新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、自宅療養の患者を遠隔で診察する病院や医療機関からの発注が増えているということです。
「新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大する中、遠隔医療の充実を求める声が高まっています。当社独自のソリューションがウイルスと闘う世界中の医療機関や患者を支えていることを誇りに思います」と、Tyto Careの共同創設者兼最高経営責任者(CEO)のデディ・ジラッド氏は言います。「今回の資金調達は、遠隔診療の発展における重要な転機となるはずです。当社は、今後も最善のバーチャルケアソリューションで世界の医療業界を改革していきます」。
Tyto Careは、これまでにWalgreensを含む大手投資家から5700万ドルを調達しており、今回さらに5000万ドルを獲得したことで、アメリカ、ヨーロッパ、アジアでの事業を拡大するとともに、AIと機械学習を利用した新しい家庭用診断機器の市場投入に向けて、十分な資金を得ることができたのです。
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