メリンダ・ゲイツが男女格差解消に10億ドルを投じる理由

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[Publisher] TIME

この記事はTIMEのMelinda Gatesが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。

ビル・ゲイツともに世界の貧困に立ち向かうためにビル&メリンダ・ゲイツ財団を立ち上げたメリンダ・ゲイツへのインタビュー。

「2018年、フォーチュン500企業のなかで、ジェームスという名を持つ男性Chief Executive Officer(CEO)は、女性CEOの合計より多かったそうです。有色人種の女性は1人だけでした。米国議会では、女性は米国人口の51%を占めるのに、女性議員の割合はわずか24%にすぎません。

この事実を知ったとき、私は怒りと楽観が混ざり合った複雑な気持ちになりました。私は一人じゃない。仲間がいる。そう思えたのです。この国で、さまざまな形で女性への抑圧が続いているのを目の当たりにするのは、いら立ちだけでなく、苦痛さえ伴います。

とは言うものの、これまでの歴史で、女性が権威や影響力のある地位に就いていないということは、当然すぎてニュースにもなりませんでした。こうして男女の格差が話題に上ること自体、進歩の兆しなのかもしれません。

変革への扉が開きました。もっと正確に言うなら、この扉は数十万もの人々の血のにじむような努力によって、こじ開けられたのです。全米でデモに参加してくれた人々、勇気を出して#MeTooの体験談を告白してくれた数百万もの女性たち、2018年、選挙に出馬して当選を勝ち取った記録的な数の女性たち、そして仕事を掛け持ちし、愛する家族のために家事をこなす女性たち。このような人たちは、抗議したり、政治の世界に入らなくても、目の前の壁に挑戦できたりすることを証明してくれました。私たちがここまで来たのは、大げさな身ぶりやしぐさのおかげだけではありません。日々、勇気を積み重ねてきたおかげです。

それでも、このような動きが永遠に続く、いつまでもこの変革への扉が開いているという根拠はどこにもありません。いつか行動しようと思うのなら、今すぐ行動を起こすべきです。

夜、色んな思いを巡らせて、眠れなくなることがあります。

私は想像します。ある朝、目が覚めると、国全体の関心が男女格差ではなく次なる話題に移っていたら、メディアが制度の不平等性を報道しなくなったら、企業がダイバーシティを優先項目とせず、ただ話題作りの材料にするような状態が続いたら。そして、こうした動きのエネルギーや注目が一時的なものでしかなく、大した変化につながらなかったら、と。

そのような状況を許してしまうことは、非常に大きな問題です。男女を問わず、多くの人々が尽力して、ここまで来たのです。これから打ち出すべき解決策が山ほどあるのです。

だからこそ、今後10年間、米国における女性の権威と地位向上のため、10億ドルを投じたいと考えます。

意思決定するポジション、経営資源を配分するポジション、政策や思想を形成するポジションにいる女性が増えるのを見たいのです。私は、女性が持つ可能性には投資する価値があると信じています。女性の地位向上に取り組んでいる人々や組織もまた同様です。

米国の男女平等運動は慢性的な資金不足に悩まされています。Candidの『Foundation Directory Online』(資金提供者と企業を結ぶサイト)のデータによると、個人の支援者は、女性問題に1ドル寄付するのに対して、高等教育には9.27ドル、芸術分野には4.85ドルを寄付していることになります。さらに、女性に投資される1ドルのうち、90セントがリプロダクティブ・ヘルス(性や子どもを産むことに関わるすべてにおいて、自分の意思が尊重され、自分の身体に関することを自分自身で決められる権利)に使われています。リプロダクティブ・ヘルス は必要な課題ではあるものの、他にも資金が必要なものがあります。

これを考慮し、私が経営するPivotal Venturesでは、女性の権威と影響力を拡大するための革新的かつ多彩なアプローチを採るパートナーに資金を投入しています。パートナーと協力しながら、今後も戦略を調整していきますが、これから話す3つの優先事項に重点を置くことは変わりません。

まず、第一に女性の社会進出を阻む障壁を取り除きます。

現在、ほとんどの女性がフルタイム(あるいはそれ以上)で働いていますが、育児や介護のほとんどは女性が担っているし、セクシュアルハラスメントや性差別も依然、解決されていません。私たちの周囲には、あしきジェンダー規範(性別によって『こうあるべき』という考え)の根源である偏見と型にはまった考え方が溢(あふ)れています。育児・介護ソリューションを生み出す起業家から、女性の社会的地位の向上と女性擁護の政策を提唱するグループまで、この問題に取り組む人々には、画期的なソリューションを大きな規模で提供できるためのサポートが必要です。

第二に、テクノロジー、メディア、公共機関など、社会に大きな影響を与える分野で女性の進出を促進します。こうした業界が男性に適していた理由は、意図的であろうとなかろうと、そうなるように作られているからです。こうした業界に通じる新しいキャリアパスを作り、どんな経歴の女性に対しても門戸が広がるようなシステムにする必要があります。

第三に、株主、消費者、従業員と一丸になり、改革が必要な企業や組織に対して、外部からのプレッシャーを高めていきます。人々を動かすにはデータが不可欠ですが、女性、特に有色人種の女性の生活に関しては、依然として十分なデータがありません。この問題に関しても、資金を増やすことで、変化が期待できるでしょう。

10億ドルは確かに大金ですが、十分ではありません。

現在私が行っている経済的支援は、こうした問題にすでに取り組んでいる専門家やオピニオン・リーダーたちに対する信任票であり、さらに多くの人が運動に参加するよう促すものとして見てもらえたらと思います。男女平等は待っていても実現しません。そして行動を起こす立場にいる人々も、この問題を後回しにするべきではありません。

私たちが怒りを覚えることは当然なのです。しかし、楽観的に受け止めることも間違いではありません。私たちは、氷河期のようにゆっくりとしたペースの変化を受け入れる気はありません。そして、そもそも受け入れる必要なんてない時代に生きていることは幸運だと思っています。」

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