デザイン思考は企業変革を起こせるか?

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[Publisher] Digital Journal

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デジタルトランスフォーメーションは、テクノロジーに限ったことだけではありません。狙った目的に合うように効果的に技術を設計し、技術を使ってビジョンを実現できるように企業文化を変えることです。そのプロセスに活用できるツールや方法はいろいろとありますが、そのうちの一つが「デザイン思考」です。

アクセンチュアのロンドン拠点の同社のスタッフが運営する研修センターで、デザイン思考を使った戦略構築を学ぶワークショップが行われました。

デザインとは?

デザインとは、問題解決の手段といえます。

デザインする対象は椅子のようにシンプルなものもありますが、デジタル技術を用いて事業のプロセスを改善するといったタイプのデザインもあります。
第1段階として大切なのは、ビジョンと戦略を練ることです。今回の研修セッションでは、この段階を中心に取り組みました。

A breakout area at Accenture s London offices.

自分のことをクリエーティブだと思っている人はあまりいませんが、デザイン思考の概念を用いれば、関わるほぼ全員がデザイン思考の持ち主になれるのです。

最終的には、それまで思いつきもしなかったような解決策が生まれてきます。

デザイン思考

デザイン思考が最も効果を発揮するのは、さまざまな部門の責任者を集めたときです。うまくいけば、試行錯誤しながら改善する能力が向上し、製品の開発にもつながるでしょう。

A 3D printer on show at Accenture s London offices.

デザイン思考のプロセスを活用すると、顧客が本当に求めている製品を提供できるようになるだけではなく、このプロセスを採用した企業は事業を成功させやすいという裏付けにもなるのです。

これは、デジタルトランスフォーメーションを始めるにあたり、企業文化の改革も同時に行われるからです。企業の従業員は、新たなプロセスの導入に伴い働き方を変え、部門の壁を壊し、そしてこれが最も重要ですが、顧客との向き合い方を変えていく必要がでてくるのです。

Industry X.0 means continual improvement. Sign at Accenture London.

デザイン思考では、三つの核となる要素に着目します。「技術」「事業」「人」です。
これらの要素を図で表したときの中心が、理想とされる部分です。「技術」は実現可能性に関係し、「事業」は持続可能性に関係し、「人」は顧客にとっての有用性に関係しています。

Design Value Index Venn diagram drawn in Microsoft Word.

デザイン思考はなぜ有効か

スタンフォード大学のデイビッド・ケリー氏が発案したデザイン思考。この思考法の良い点は、チームメンバー間の良好な関係構築を促進し、顧客を中心に考え、最も大切な問題に集中できるように方向付けられる点です。そしてさらには、考え方を変えることにも応用できるのです。

An open office area at Accenture s London base.

そうした効果を得るためには、目的達成までの流れをマッピングする必要があります。
まずは、主要な関係者を決めて、その人たちの考えていること、期待、弱みなどを分析します。

例えば、製造部門の責任者は品質部門から悪い知らせを聞きたくないと思っていますし、品質部門は不良品率が目標値を上回るのを見たくないと思っています。計画を構築するまでのプロセスでは、色の違うポストイットやペンを使って、目に見える形で意見を記録していくことが必要になります。記録をしないと、重要な考えや論点が忘れられてしまい、その先に進められなくなってしまい、労力が無駄になってしまうからです。

記録しない場合は、しないという同意の上で進めていくべきでしょう。

アイデアを書き出す

考えやデータを書き出していくプロセスは、「ブレインライティング(brainwriting)」と呼ばれます。

ブレインライティングは、考える、書く、話すというプロセスとつながり、グループ内で共有すべきアイデアを生み出すのです。考えやアイデアを記録するときに大切なのは、一度につき一つだけ書くことと、そして簡潔に書くことです。

Constructing a process map is key to the development of a new digital product.

ブレインライティングをすると、デジタルイノベーションの実現に向けたプロセスが書き出され、必要な手順や複雑な要素が浮かび上がってきます。

ブレインライティングが重要なのは、前に進めるアイデアを選ぶためだけではありません。この工程を踏むことで、組織内の構造やプロセスに、しっかりとデザインを組み込んでいくことで、後々の開発に向けて準備を整えることができるのです。

企業文化の改革

もう一つ重要なのは、「何をするか」という議論から「どのようにするか」ということを見いだす議論にシフトしていくことです。

ブレインライティングをする中で、異なるアイデアが出てきたときには、グループ内で投票を行うことが次の段階に進むための最適な方法です。そうすれば、最終的なアイデアはグループ全体のものとなります。「実行の簡単さ」「顧客満足度の高さ」「成長の可能性」など、使える判断基準はさまざまです。成功の見込みはあっても問題が潜んでいるアイデアがあれば、それを指摘しても良いでしょう。

例えば、自動化に関する議論なら、「ロボットを導入すれば人員を削減できるけど、開発に時間がかかりすぎる」のように指摘することができます。

A chill out zone at Accenture s London office.

製品開発をする中では、「どうやって目標を達成するか」「どのようなプロセスを用いるか」「成功とはどのような状態か」といった問いを繰り返す必要が出てくるかもしれません。

こうしたさまざまな要素を組み合わせれば、アイデアを掘り下げて構造化し、必要な工程を特定し、作業に集中できる。たった1日の研修でもこれだけのことができるようになるのは興味深いことです。

最も大切なことは、デザイン思考のアプローチをとることで、企業文化まで改革できるということです。文化の改革は、デジタルトランスフォーメーションの成功のためには不可欠なものになるでしょう。

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